JAIA2020試乗会(3)プジョー508SW

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JAIA試乗会で乗ったプジョー508SWの報告です。308SWも乗ったので、それについても。

508SW。まずだいいちにこのクルマ、スタイリングが魅力です。ふつうのセダンの508もよいですが、ワゴンのSWはなおよい。一般にワゴンボディはルーフが長く伸びやかなので、スタイルがよくなるクルマがしばしばありますが、508もそうでした。

全高がやや低いせいもあって、とにかく伸びやか。セダンはファストバック風スタイルで格好よく見せていますが、SWのほうがバランスがよい気がします。508はFF車なので、フロントオーバーハングがやや長い印象がセダンではありますが、ワゴンは後ろにボリュームができたので、バランスよく見えます。それに加えて508は、フロントマスクが目をひきます。デビルマン風のポジショニングライトがありながら、やりすぎでなく粋に見えます。フランスのセンスなのでしょう。

リアから見ても、スタイリッシュ。リアのランプのデザインも個性的ですが、やはりセンスが発揮されています。日本ではできないデザインだとつくづく思います。ドイツでもアメリカでもできない‥。

スマートな外観でも、荷室は潤沢なのが、これまた実用性重視のフランス流。セダンもテールゲート式ですが、もちろんSWのほうが、荷室は大きい。

後席居住性もセダンと異なります。ホイールベースは同じなので、違いはヘッドルームだけですが、セダンは頭上がやや制限されるのに対し、このSWはそれがない。この車両はオプションの開閉式ガラスサンルーフ付なので、目の前にタンコブ(突起)が天井からぶら下がる形になりますが、オプションなので、ガラスサンルーフなしも選択できます。

ちなみに、プジョーの上級セダンはフランス政府の公用車で使われてきた過去がありますが、最新の508セダンはどうなるのだろうとひとごとながら心配になります。SWを使えばいいか、とも思いますが、実際はどうなのか‥。

コクピットのデザインは、外装と同じく、少し未来的で、乗り物として魅力的です。機能性が感じられる範囲に収まっていますが、やはりパーソナルユース優先のデザインだとは思います。しかしやっぱりセンスがよいと思います。

508もプジョー得意のiコクピットで、ステアリングの上方からメーターを見る構成です。例によって右側のメーター(タコメーター)は逆回転します。丸でなく、横長の楕円にして上下を薄くすれば、ステアリングの上からもっと見やすいようなデザインになるのに、と思いますが、508のメーターは液晶表示になったので、そうできるはずですが、相変わらずそうはしていません。ちなみに液晶なので、メーターの表示は数種類、変えることができます。

シートは良好です。座面はしっかりしていながらクッション生もあり、またサイドのサポートも充実して、それなりにスポーティーなつくりになっています。後席は今回乗れませんでしたが、同乗者によると、良好とのことでした。

エンジンは、2リッター・ディーゼル。177ps/400Nm。カタログ上の最大出力は3750rpmですが、レッドゾーンは5000rpmとなっています。MTモードでなくても、アクセルを踏み込むと5000rpm近くまでひっぱることがありました。変速機は定評あるアイシン製8速ATです。

走りについては、以前に長距離を乗ったセダン(ガソリン1.6リッターのGTライン)と比較して、だいぶ時間がたっているので直接比較はできませんが、ほとんど遜色ない感じをうけました。今回は2リッター・ディーゼルなので、前が重いはずですが、リアに重さが加わるワゴンボディになって、バランスはよいのかもしれません。ちなみに同じGTブルーHDiサンルーフ仕様で比べると、SWが1700kgに対し、セダンが1660kgで、40kgの差があります。

セダンで感じていた走りの良さが、スポイルされていませんでした。非常にしなやかで、足がよくストロークして、しっかりもしています。タイヤは235/45ZR18です。これが1.6リッター・セダンのアリュールだと、17インチになるので、もっとしなやかになりそうです。

508はセダンも実はハッチバック式なので、実用性が売りですが、乗り味も差がほとんどないとなると、SWのほうが実用性はさらに上ですから、価値が高いと思います。もちろん、セダンならではの身軽さもありますが。

BMW3シリーズのツーリングと並んで。3シリーズはセダン/ワゴンの定番で、スタイルがよいクルマですが、508のほうがスリークでスマートに見えます。流派の違いということになりますが、スポーティーで粋なブランドのBMWが質実剛健に見えます。広角レンズの歪曲収差もかなりありますが、並べると508はやや華奢でもあります。やはりドイツとフランスなのだなという結論になります。

今回308SWにも乗りました。スタイルは508SWに比べると、いかにもオーソドックス。なんというかフォルクスワーゲンとマセラティぐらいの違いを感じます。この308SWも、ドイツ・プレミアム勢に乗ったあとに試乗したのですが、最初、ステアリングが小径で細身だったりで、かなり素朴には感じたのですが、プジョーの飾らない素の良さがすぐに伝わってきました。乗り心地も非常にスムーズで、ドイツはいいけど、やっぱりこのフランスのこれがいいなと思わせるものがありました。

高速域ではやや高出力仕様車だったドイツ勢のほうが、安定感があり軍配が上がりましたが、308も直進性などは悪くなかったです。プジョーはプレミアムブランドではないので、そこを比べれば見劣りはしますが、ファミリーカーとしては、やはり良好でした。308でも、最新のプジョーは運転支援システムも充実しており、ステアリングアシストが常に効いているのが感じられます。

(レポート・写真:武田 隆)

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