2020JAIA試乗会(2)アルファロメオ・ステルヴィオ

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JAIA試乗会で乗った、ステルヴィオ2.2ターボ・ディーゼル Q4 スポーツパッケージについての感想です。

外観は、いかにもアルファロメオらしい顔つき。最新世代のジュリアとも共通性が感じられます。アルファの盾のグリルが縦方向なので、現代のクルマでは落ち着きがなくなりがちですが、ジュリア同様の横長のヘッドランプとの組み合わせが、なかなかよい感じ。ステルヴィオはSUVで車体の上下方向の厚みがあるので、縦長グリルもよく収まっているようです。

内装は比較的落ち着いています。この車両は黒の内装なので、とくにそう見えます。着座位置はいかにもSUVらしく、高い位置に座ります。乗り心地も比較的マイルドです。アルファらしく熱々キャラのSUVなのだろうと思っていたので、第一印象はやや肩すかし。エンジンもディーゼルなので、快音というわけにはいきません。

ただ、ディーゼルはトルクがあるので、周知のとおり、スポーティな走りには向いています。基本的に力があります。210ps/470Nm。

そして、裏山の道をゆっくりめではあったけれども、走った印象では、やはりジュリアを思い出させるような、クイックな操舵感です。ステアリングを切ったらどんどん曲がる感触があります。

ジュリアはナイフのようにスパスパ曲がり、前に同じコースで乗って驚いた記憶がありますが、ステルヴィオはSUVなのでそこまでではありません。しかし血筋はひいているようです。ちなみにホイールベースは同じで、2820mmです。全長は4690mm、全高は1680mm。

対面した最初の印象は意外に地味でしたが、ステアリングに付くパドルでこのクルマの目指すところが理解できました。ステアリングではなくコラム側に付くパドルは、縦長の金属製で、ハードなドライビングでも操作しやすいもの。こんなパドルが付いているということは、やはりワインディングで熱く走ってほしい、というクルマなのだと解釈しました。

このパドル、もしかしてフェラーリからの流用かと思い、広報スタッフに聞いてみたところ、いや違いますよと一蹴されてしまった次第。それはともかく、実は今回、2日の試乗で、2回乗れたのですが、1回目はペースがかなりゆっくりめということもあり、きっと熱く走ることで良さが出るクルマなのだろうと、推測しただけで終わりでした。

2日目にややペースに乗って走ることができ、もちろん熱くなれる環境ではなく、本領発揮のはるか下のペースですが、それでもコーナーを曲がるのが楽しいとは体感できました。実は初日には、クイックすぎるというか、やや人工的にクイックにしている感触が、かすかに違和感もあったのですが、2日目は同じ傾向のクルマにいろいろ乗ったあとだったせいか、それを感じませんでした。

走行モードを選ぶことができ、今はdに入っています。このクルマは4WDですが、あとでおさらいしてみると、基本は100%リア駆動の、RWDとのこと。よく曲がる感触にはそれが活きているのでしょう。当日はうっかりボンネットを開けるのを忘れていましたが、縦置きエンジンのRWDが基本のレイアウトで、ジュリアと同じわけです。そのほか、前後重量配分も50:50で、ジュリア同様ハンドリング重視の基本設計ということのようです。

そういう基本設計で、ハンドリングが楽しいとはいえ、あくまでSUVであってもということで、車高の低いジュリアのようにスイスイとコーナーをクリアするわけではありません。ただ車高の高いSUVならではの走りのリズムがあり、楽しさがありそうです。

もうひとつ感心したのは、乗り心地の良さ。当然それなりに太い重いタイヤ(235/55R19)をつけていますが、段差を越えたときもつき上げがなく、マイルドな乗り味をものにしています。感動するようなスムーズさではないですが、SUVでダイナミック性能を重視していながら、不快な硬さがないのは、たいしたものだと思います。

たとえばドイツ・プレミアム・ブランドだと、もっと緻密に洗練され、いかにも優秀なクルマになっています。ステルヴィオはそれと直接比べると、洗練度では及ばないと、乗った直後に感じました。ただ、別に洗練を欠いているということでもない。開発で、力を入れるツボが違うのでしょう。

やはりキャラクターがはっきりしていて、魅力があるクルマだと思います。アルファロメオというブランドの力が大きく、SUVでもそれを発揮しています。それがすぐにわかるのが、スタイリング、とくにやはりフロントマスクです。今回は十分には感じられなかったものの、走ってもそれがあるクルマなのだと思います。

(レポート・写真:武田 隆)

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