オートモビルカウンシル2018、マツダの展示

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8月3日から5日まで、千葉県幕張メッセで開催されたオートモビルカウンシル2018のレポートです。毎回見応えあるマツダのブースでは、ファミリアのラリーカーが印象的でした。

マツダのプレスカンファレンスは、歴代ファミリア、アクセラのデザインに関わった師弟デザイナーによるトークでした。左が土田康剛氏、右が鈴木英樹氏。鈴木さんは1980年のFFファミリアにも関わり、ミスターファミリアと呼ばれるとか。土田さんは、初代アクセラの頃新人で、後に置かれている魁コンセプトを手がけています。

魁コンセプトを見て鈴木さんは、「やられた」と思ったそう。とくにCピラーとリアにかけてがインパクトあるとのこと。東京モーターショーでも展示されていますが、シャープなキャラクターラインを使わずに、リフレクションだけで見せる、というところに新しさがあります。次期アクセラの予告版になるモデルですが、市販車がどれくらいこれに近い形で出てくるのか期待されます。

マツダ・ブースの展示テーマは、歴代のコンパクト・ハッチバックで、魁コンセプトにちなんだものです。この白いクルマはランティス。奥の赤いのは通称FFファミリアの5代目ファミリア。1993年誕生のランティスは当時かなり個性的で存在感のあるデザインでしたが、今の目で見ると意外にふつう、というか曲面が単調に見えます。現代のクルマの立体的造形が複雑で微妙になっているからでしょう。FFファミリアは、昔京都の大学へ行った友人が、まさにこの赤色のぼろい中古車に乗っていて、皆で京都周辺を走り回った思い出があります。FFファミリアの体験としては、絵に描いたような事例でしたが、ちなみに映画「幸福の黄色いハンカチ」の赤いファミリアは、これのひとつ前のFRハッチバックのモデルでした。

最も印象的だったのはBF型の、いわゆるB6ファミリアのグループAラリーカーです。実際にWRCを走ったマシンで、91年モンテカルロにフィンランドの女性ドライバー、ミーナ・シランコーヴァが乗って出場、その後同氏はこのクルマが気に入り、今まで保有し続けているのだそうです。先に雑誌でも取材されていたようですが、今回のためにわざわざ海を越えて日本まで持ってきたとのこと。

このファミリアは、1.6リッターながら、ラリーのグループA時代の当初は、まだ希少な4WDターボ車ということで、イベントをしぼっての限定的参戦ながら、WRCで活躍しました。1980年代後半、セリカは比較的早く走り始めましたが、三菱やスバルがまだ腰を上げていないときに、ファミリアはフルタイム4WDターボとしては日本車で最初にWRC勝利を飾っています。マツダは、この頃ルマンに専念しており、WRCプロジェクトはごく少人数でやっていたとのこと。日本では基本的にはエンジン開発ぐらいだったようです。

マツダとラリーというのはあまり結びつきませんが、「和製クアトロ」をいちはやく市販化したために、自然な流れでWRCにも参戦することになったのでしょうか。なにしろ1980〜90年代当時、WRC参戦「しなかった」メーカーは、日本ではスズキ、ダイハツ、ホンダくらいのものでした(いすゞもですが)。

この次のBG型のBG8Zファミリアは、不利だった排気量を1.8リッターに拡大し、引き続き参戦しましたが、あまり続かず撤退になりました。当時エンジン開発をしていたという解説員の方に話をいろいろと聞けましたが、ルマン重視の時代、思うように活動できず苦労したとのこと。ただ排気量1.8リッターというのは必ずしも不利には感じていなかったそうで、実際には1.84リッターあったので、ライバルの2リッター勢に対してとくにハンディになるほどではなかったとのことです。

ちなみに、この展示車、BF型で典型的だった青白のみのワークスカラーとは少し違い、後部が次のBG型時代と同じ紫になっていますが、以前には第一線ワークスカーとして走ったマシンだそうで、ティモ・サロネンかハンヌ・ミッコラがドライブしたとのことでした。

(レポート・写真:武田 隆)

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