JAIA輸入車試乗会2023(マセラティ・レヴァンテ)

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毎年恒例のJAIA輸入車試乗会。マセラティ・レヴァンテGTに乗った印象です。

 

マセラティ初のSUV。2016年に登場しました。GTというグレードはマイルドハイブリッドの4気筒2リッター・エンジンを搭載。試乗車両の価格は1183万円。

 

フロントマスクは最新のマセラティらしいもので、精悍です。下半分がふくらんだグリル形状が印象的。グリルの位置は低く、正面からだとあまりSUVらしく見えない感じです。ただ全高は1680mmと、それなりにあります。とはいえ全幅も1985mmもある。

 

全長も5020mmもあり、ようは大きなクルマです。ただ、ぱっと見では、大きさ不詳といえます。これは乗った印象でも同じでした。スタイリングはとくにリアからだと丸みを帯びて、おとなしくも見えます。ただし、サイドにはフェンダーに沿ったラインも強調されており、やはり血筋にふさわしい躍動感は刻まれています。

 

この角度からだと、タイヤが幅広であるのもわかり、細部のデザインと合わせて、やはり弩級スポーティのブランドだということが理解できます。タイヤは265/45R20で、銘柄は畏れ多くもピレリPゼロでした。

 

内装はマセラティらしいものですが、誤解を恐れずにいえば、思ったより洗練されているというのが印象。マセラティには、匂い立つほどに本革をふんだんに使い、ときにゴージャスというイメージを抱いていましたが、このクルマは革をふんだんに使っているとはいえ、スマートに見えます。ただ、この車両は内装色が黒だし、しかもこの写真はやや露出オーバー。

 

逆に露出アンダーのこの写真だと、ステアリングのエンブレムも効いて、黒い内装の妖艶で高級な世界も感じられるようです。メーターは今では貴重ともいえるアナログ。スピードと回転計のふたつがシンプルに並び、スポーティであると同時に趣味の良さを感じさせます。

 

ダッシュボード上の時計。時計は瑣末な部分とはいえ、ブランドの個性が感じられると思うのですが、趣味がよい。

 

さて乗った印象ですが、これが非常に洗練されていました。マセラティは、高級スーパースポーツとしての世界観に他ブランドにない魅力があるいっぽうで、エンジニアリングは古典的で、荒削りなところがある、というのが個人的なイメージでしたが、このクルマはそれを裏切りました。

 

足は引き締まっていながら、ばたついたりするところがなく、やはり硬めとはいえ、非常に洗練されている。可変ダンパーのスポーツモードで、ちょっとしたカーブの続く道を走っても、しなやかでスポーティ。しかもSUVでこの身のこなしというのは、さすがスポーツカーのブランドでした。

 

エンジンはマイルドなモーターアシスト付きの2リッター4気筒ターボで、V型エンジンのような官能はないですが、悪くない。パワーはアシスト付きとはいえ2リッターとしては高出力な330ps/450Nmで、車重が2280kgあるので、速さはそれなりですが、しかし十分パワフルさを感じられます。

 

マセラティというと、昔F1ドライバーなどがプライベートで乗ったという話を聞きますが、いかにも派手なフェラーリなどよりは、地味目でありつつもやはりサラブレッドの血筋のマセラティが、好まれていたようです。そんな資質は、まさにこのクルマに受け継がれている印象です。GTというグレードはレヴァンテの中ではいちばんジェントルマンなので、F1ドライバーなら上のグレードを選ぶのかもしれませんが……。

 

(レポート・写真:武田 隆)

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