スバルXVに試乗

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スバルXVに試乗した感想です。グレードは1.6i-Lアイサイト。

今回は550kmほど走行。うち200kmほど高速で、あとはうらびれた田舎道や山道を走りました。シーズンたけなわで、山間部ではたくさんの兄弟(XV)に出会い、駐車場で隣に並ぶことも。さすがにアウトドア好き御用達のブランド、そして車種だけあると実感。ただしまだ旧モデルがほとんどであり、門外漢でありながら新型を乗り回すというのはやや恐縮した次第です。

この佇まいですから、気分的には自然の中に出かけて行くのにいかにもよい雰囲気。世の中SUVやクロスオーバー多しといえども、これほどアウトドア好きの心をうまくつかむクルマもそうはなさそう。中身はしっかりした実績があり、なおかつデザイン的な仕立てが的確であると思います。

ボディカラーもよい選択がされていると感じます。こういった演出のうまさは、さすがクロスオーバーSUVを早くからつくっていた、パイオニア的メーカー。

もう少し外観の話を続けると、ただし先代モデルのほうが、クロスオーバーSUVとしてはよりキャラクターが立っていたと感じます。XVはインプレッサにブラックのオーバーフェンダーなどを追加して仕立てていますが、ベースのインプレッサが、現行モデルではやや洗練されてスマートになったので、XVはスバルいうところの「タフギア」としての雰囲気が、ややスマートにおとなしくなった感があります。まあわずかの違いでかもしれませんが。そもそも先代XVと新型XVは、ぱっと見た感じではそっくりです。実際比べるとまったく新規のデザインですが。

さて乗った印象ですが、今回は1.6リッター・モデルだったので、エンジン出力は控えめでした。ターボなしの1.6リッターで85kW(115ps)、148Nm。通常街中を走るかぎりでは十分ですが、「スポーツギア」とうたうモデルとしては、もう少し欲しいところ。インプレッサではなく、あえてこのクルマを選ぶのであれば、やはりスポーティーに走ってほしいものであるはず。極端にいうと羊頭をかけて狗肉を売る!?という言葉が一瞬よぎったほど。エンジン以外は完全にXVなのに、、ということで。もちろん、雪道や悪路の走破性能も同じです。こういうクルマを選ぶからとっても、ロードでの運転はごくおとなしくゆっくりという人もいるわけだから、もちろん存在意義はあると思いますが。

実際のところ、山へ向かってたとえば登坂車線が出てきたところで、やや遅い前のクルマを抜きたくても、ちょっと躊躇してしまいます。ダッシュの加速力はありません。基本はインプレッサゆずりの優れたシャシーなので、ハイペースでワインディングを走るのは不得意ではなく、速いクルマ相手でもついてゆくだけなら可能です。現行XVは、当初からインプレッサだけでなく地上高の高いXVにも合わせてシャシーを開発しているとのことです。

2.0のほうが、より足回りのマッチングがよいという話も人づてに聞きましたが、2.0はまだ乗っていないので未確認です。ちなみに現状ではやはり2.0のほうがずっと多く乗られているとのこと。運転をよほど達観しているのでなければ、どうせXVに乗るならやはり2.0がオススメといえそうです。

タイヤは標準で225/60R17を装着しており、インプレッサよりもややサイズは大きめ。そのせいか、乗り心地は路面によってはややタイヤがばたついている印象がありました。サイズが大きめでもサマータイヤなので、悪路走破性については本格SUVには及びません。とはいえ地上高が高く、雪道での発進や悪路での急坂走行時に使える「X-MODE」も標準搭載されており、そもそも全車種4輪駆動なので、そこはやはり安心感はあります。

いっぽうで、より本格的SUVのフォレスターのほうも、オンロードでの走りが意外に洗練されており、雪や悪路に踏み込む頻度が高いならば、迷わずフォレスターを選ぶべきです。いたってあたりまえの感想ですが。

前回の更新で書きましたが、XVにM+Sのタイヤを装着したらどうなのかとは思います。地上高などの基本は確保されているし、この佇まいはやはり魅力です。

このほか、CVTはスバルオリジナルのリニアトロニックですが、ほとんどストレスなくエンジン回転一定で加速するという、まさに「リニア」な走りが気持ちよいものでした。今どきのCVTは、加速時に急に回転が上がることもないですが、ただしエンジンが比較的ローパワーのため、先を急いで走ろうとすると、加速が始まるまでにいちど「キックダウン」をしたりしてややタイムラグがあり、回転も上げて走らなければならず、ストレスはちょっとあります。まだ進化の余地はありそうです。

CVTにはスポーツモード的なSIドライブの変換モードは用意されていませんが、パドルシフトは装備されており、走っている途中で加速したいときなどパドルでシフトダウンをすれば、元の「ギア数」に戻るまでは、そのままMTシフトができるようなので、これは便利です。

この車両はいわゆるオートハイビームがオプションで付いており、十分に使えるものでした。最初にスバルが採用したフォレスターのオートハイビームは遮光板を使うタイプだったせいか、やや反応が遅かったですが、このクルマはストレスがありませんでした。

ただし、ロービーム時に強制的に手動でハイビームに切り替えようとしてモードのスイッチを回すと、現状のモードがオートなのか手動なのかわからないので、スモールランプモードに切り替わってしまうことがあり、そうすると真っ暗になるので一瞬冷や汗をかきます。急いでハイビームにしたいときは光が欲しい場面なので、そこは改善を叫びたい心境でした。

アイサイトは、Ver.3ですが、今回はレーンキープを少し使ってみましたが、車線をはみ出しそうなときに、自然にすっとステアリング介入してきて、洗練された動作という印象です。

燃費は約550kmのトータルで、おおよそ12km/l前後。車載のメーターで12.4km/lでした。標高をわずかに下げながらの高速道約130km区間では、ほぼ追い越し車線を走りながら、車載メーターで15.2km/l。

今回のXVのトータルの感想としては、スバル自身も言っていますが、今の時代の気分にあったところを非常にうまくついたクルマと思います。今や世界的にSUVがますます人気上昇中ですが、奇をてらったデザインのクルマも多いし、都会的な雰囲気に寄りすぎて、セダンやワゴンとあまり気分が変わらないようなクルマも多い感じがあります。その点でこのXVは、フィールドと都会の間をとったクルマでありながらも、アウトドアの流儀をうまく持ち合わせており、セダンとは違うクルマとして楽しみ、使うことができるクルマと思います。スバルはさすがこの分野の勘どころをうまくおさえているブランドだと思う次第です。

(レポート・写真:武田 隆)

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