2022年のオートサロンは、サプライズ的な展示が多くありました。メーカー・ブースの展示で気になったものを、紹介します。今回は日産とホンダのブース。
日産ブースの目玉はもっぱらフェアレディZでした。このルーフラインなど、初代Z30を彷彿とさせます。
ヘッドランプのあたりも、Z30が感じられます。四角く大きいグリルが特徴的ですが、このシンプルなデザインのためになんとなくコンセプトカーのような印象でもあります。モダンな感じです。
シートに座りましたが、大きな驚きはありません。メーターパネル全面液晶が新しいですが、その表示はごくオーソドックスなデザインです。ダッシュ中央の3連メーターは伝統的なアナログ式。そのほか全体のデザインは、先代から刷新とはいえオーソドックスで、変に奇抜なところもなく、Zらしい感じです。
リアビューは、これもZ30らしさに回帰です。テールランプなどは、より正確には4代目Z32を再現しているようですが、Z32までのリアデザインはZ30の継承・進化だったので、結果的にZ30らしく見えます。5代目のZ33からリアデザインが、大改変されていたわけです。
会場ではカスタマイズ仕様も初公開。Z432Rをモチーフにしたボディワークや塗装です。販売計画はないものの、検討する考えもないわけではないようです。Z自体がヘリテージ重視に生まれ変わったので、それに沿う形で、これもつくればよいと思います。となると尖ったノーズの240ZG仕立てもよさそうですが、安全法規もあるので難しいか‥。このカスタマイズ仕様のグリルは、上下2分割でシャープだし、オリジナルのS30に近い感じですが、むしろ標準型の大開口グリルのほうが、高出力車のように見えなくもない?。
ホンダはシビック・タイプRのプロトタイプを展示していました。すでにおなじみのカモフラージュ柄のままでの展示です。近年はカモフラージュ車両がショーに展示されることが多いようですが、このタイプRは、展示スペースもそれで飾られていました。もはやカモフラージュというより、PR用デザインという気がします。そもそもカモフラージュするくらいなら、展示しないのが本当。それにしてもこの柄は、Rの文字を散らしたうえに、歴代タイプRのサイドビューが並べられているようです。
ホンダは新型ステップワゴンも展示されていました。見た印象としては、初期のステップワゴンのような、シンプルなデザインになったのは好感が持てます。ホンダのデザインは、こういうすっきり系が本来の姿ではないかというイメージもあります。数年前からホンダのデザインはこういう方向に変わってきており、とくにミニバンのステップワゴンならこれでよしという感じがします。近年のミニバンや軽ハイト系ワゴンで目立つ、大型グリルをやめているのも新鮮な感じ。スタンダードモデルの「エア」の場合さらにシンプルな顔ですが、この「スパーダ」は適度にバンパーに厚みが表現されているようですが、それでもプレーンな造形。四角いボディは、室内空間も広くとることを意識したようで、ホンダのM・M思想(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)が徹底されています。
(レポート・写真:武田 隆)