ルノー・メガーヌRS(マイナーチェンジ版)に試乗

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

マイナーチェンジしたメガーヌRSに試乗しました。“痛快なコーナリングマシン”は健在でした。

マイナーチェンジをしても、外観に大きな変化はありません。唯一、前後のランプの光り方が、変わっていますが、ライトのベゼルの形状に変わりはなく、ボディ外板は変わっていないようです。よけいなコスト上昇を抑えようという意図もあるのでしょうか。

細かくいうと、ノーズの菱形マークの下のR.S.の文字の横に、ルノー・スポールのロゴであるダブルの菱形マークが入りました。

こちらがマイナーチェンジ前の外観。マイナーチェンジ前のほうが「R.S.」の文字が目立ってたようではあります。

こちらは新型のリアビュー。たぶんオーナーでなければ変化はわかりません。相変わらず、バンパー下のディフューザーで、迫力を出しています。

今回、エンジンが強化され、21ps加わって300psの大台に乗りました。従来のRSトロフィーのエンジンが搭載されたわけです。ターボが違うなど、いろいろありますが、乗った印象としては、違いはわかりませんでした。同時に比較すればわかるかもしれませんが、とにかく相変わらず刺激的でトルクフルだなという印象です。

運転席まわりは少し変化があります。メーターパネルの表示が変わっていますが、これは、最近のクルマで最も進化が著しいところだからなのでしょう。

また、エアコンのスイッチ類のメインダイヤルが3つになり、これは操作性のためとのこと。大きなダイヤルのほうが、運転中に操作しやすいわけです。ドライブモード選択ボタンも、ダッシュパネル上から、コンソール上へと移されていて、これも運転中に操作がしやすいと思います。

そのほか、ステアリングの上と下の部分が、バックスキン状のアルカンタラになっています。

こちらがマイナーチェンジ前のコックピット。

シートはサイドサポートがかなりしっかりした、よくホールドするシートです。快適性も十分で、良好な乗り心地に貢献していそうです。

リアシートも表皮は同じようで、アルカンタラとなっています。5ドアなので、RSでも実用車として使えるので、買う敷居を低くしていると思います。ただ、硬派なトロフィーでもそれは同じで、最近ではRSのなかでトロフィーが一番売れるのだそうです。どうせRS乗るなら、ということなのでしょう。MTがトロフィーにしかないということも大きそうです。

さて乗ってみての印象ですが、4WSの4コントロールで、相変わらずよく曲がるというのが一番の感想です。箱根の会場へは、国産のスポーツワゴンに乗って行ったのですが、そのクルマも非常にシャシーがよいのですが、同じコースを同じ調子でコーナーに入ったら、オーバーに言えばそのままアウト側に直行してしまうのではないかというような感じ。ワゴンということもありますが、メガーヌはなんのストレスもなく、外へはらもうという雰囲気のかけらもなく、ズンズンと曲がっていきます。

非常に走りやすいクルマです。ただ、今回、一瞬、なんと自分で運転しながら車酔いを起こしそうになってしまった次第。ほとんどレースモードを選択していましたが、スロットルの反応が早いので、ハーフスロットル程度でも思った以上に急激にトルクが出て、調子が狂ったのが原因ではないかと思います。トロフィーのエンジンの凄さなのでしょうか。コロナ禍で体力が落ちていたというのもありそうですが……。

比較的、乗り心地がよいのも、4コントロールを採用したメガーヌの長所です。ただ、マイナーチェンジ前のクルマで、以前に高速を主体に長距離走ったときは、意外に硬めで、最初に箱根で乗ったときとは印象が違いました。今回再び箱根で乗って、やはり最初と同じしなやかさを感じました。箱根で走ると、積極的な気持ちで走るので、硬さを感じにくいかもしれないし、箱根みたいなところが、このクルマには、一番合うということなのでしょう。今回も芦ノ湖畔の市街地などをのろのろ走ると、やはり少し硬いなと感じるときはありました。

スポーツでは確固たる支持のあるルノー・スポール・モデルなので、その走りは、やはりまったく魅力的でした。ただ、思い起こすと、今ではこのメガーヌにしかRSはありません。その原因はやはり、ヨーロッパの厳しい燃費規制があるようです。広報の方に聞いたところ、フランスではRSの場合、プラス100万以上の税金の類が課せられるのだそうです。日本ではまだそういう状況になっていないので、ルノー・スポールにとって日本などは目下頼みの綱なのかもしれません。

もうひとつ、ルノー・スポール自体が、今後縮小する可能性があり、先ごろ、アルピーヌの下にルノー・スポールが組み込まれることが発表されました。将来的にスポーツモデルは、アルピーヌに統一されてゆきそうな気配です。純ガソリン・エンジンのRSモデルは、ことによるとこれが最後になることもあるのでしょうか……。

(レポート・写真:武田 隆)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする