ジャパンモビリティショー2023(ホンダ SUSTAINA-C Concept)

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10~11月に開催されたジャパンモビリティショーの見聞記です。地味な部分ですが、各社のコンセプトカーで、サステナブルな車体素材の採用に目が行きました。今回はホンダのコンセプトカーについて。

今回のショーは、次世代コンセプトカーはほぼBEV一色という感じ。燃料電池はトラックと電車には文字どおり大きな展示がありましたが、乗用車にはごく一部しかなかったようで、カーボンニュートラル燃料の提案もあまり目立たなかった。

BEVは、高性能電池の展示や提案はありましたが、自動車メーカーのコンセプトカーでは中身が入ってないようなものも多く、デザインの提案が目立っていた印象です。

そんななか目についたのが、サステナブルな車体素材の提案。リサイクル素材や生物由来素材の、内外装への採用です。ほとんど話題になりませんが、自動車メーカーのコンセプトカーに、多く使われていた印象です。

パワーユニットでのCO2排出削減は、巷でも議論されていますが、車体技術も重要。もちろん今までも、軽量化や空力での燃費改善による環境対応技術は、常に進化してきましたが、ここへきて製造工程も含む、ライフサイクルまで考えた環境対応技術、CO2削減の取り組みが目立つ氣がします。

サステナブルな内外装素材は、欧州では早くその取り組みが目立ち始めたのに対し、日本はあまりそうではなかった。それが、いよいよ表に出始めているように感じます。社会的要請がより厳しくなり、それに応じて消費者の認識も変わりつつあることが背景にあると思われます。

今回のショーの、サステナブルな素材の提案で、最も大規模だったのは実はレクサスですが、まずはホンダの展示から見ていきます。

ホンダのコンセプトカーのひとつは、その名も「SUSTAINA-C Concept」でした。

かつての初代シティに似たスタイル、ボディ色、そしてシティの相棒だったモトコンポ風の小型バイクといっしょに展示されていたので、そのことで注目を集めていましたが、キモは車体技術にありました。

車体の外板パネルにアクリルを使っているのです。アクリルは水族館の巨大水槽に使われるくらいで耐久性が高い。紫外線で劣化しにくく、塗装も必要ない。ただし弾力性がなく割れやすいのでクルマの車体には向かないが、それを柔軟性のあるようにしたのが今回のアクリル。従来からホンダが三菱ケミカルと共同開発してきたものだそうです。まだ実用化の段階ではないようですが、アクリル車体は世界で初の試みだとのこと。

このアクリル車体がサステナブルな理由は2つ。ひとつはリサイクル可能なこと。樹脂は単一素材であれば永遠にリサイクル可能になる可能性がありますが、アクリルもそうなります。

もうひとつの理由が、塗装が不要だということ。実はこれの方がCO2削減の効果が大きいようです。塗装工程は、自動車の製造工程のなかで、CO2排出量が非常に多いのだそうです。

塗装なしということは、いわゆる在着で、成型する前に材料に着色します。今回の展示車は赤でしたが、成型工程で色が流れて混ざる途中の段階で硬めると、しゃれた模様のデザインになります。そのパネルも展示されていました。

着色しなければ透明なので、窓ガラスにも使えます。ポリカーボネートでは既に実用化されていますが、アクリルでもできるわけです。

この車両ではリアゲートを1枚パネルで成型して、リアガラス部分だけでなく、ランプ部分も一体成型。さらに、コミュニケーションランプも仕込まれていました。

やや地味なコンセプトカーともいえますが、ホンダの技術に積極的な姿勢、ユニークな提案力が感じられた展示でした。

(レポート・写真:武田 隆/日本自動車工業会)

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