フォルクスワーゲン・ゴルフ8に試乗

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

新型のゴルフ8に試乗した印象です。当日は悪天候のため、十分な試乗体験ができませんでしたが、それでもわかったのは、ゴルフの良さは変わっておらず、なおかつ先代モデルより、また少し、確実に進化しているようだということです。

当日はごらんの悪天候で、我々の次の組の試乗が中止になったほど。あとで気象庁ホームページを確認してみたところ、瞬間最大風速20mを記録していました。

ゴルフ8は、車体に関していえば、近年にも増しての、正常進化型モデルチェンジという印象です。ただフロントノーズがかなり低くなっています。先に写真で見た印象では、スラントノーズがまるでスポーツカーのように思えましたが、実物を見ると、そんなに極端なデザインという印象ではありませんでした。

定かではないものの、スラントノーズにしたのは、空力のためだろうという話も聞きました。CD値は旧型の0.3から0.275へ向上しています。

超ドイツ的?ともいえるような車体色のこの車両は、eTSI R-ライン。バンパー・デザインがダイナミックです。

新型のデザインで変わったのは、ショルダーラインが強められて、先代ではフラットな平面だった、ゴルフ・デザインの看板部分、Cピラー部分を横切っているということです。それにしても、ボディ表面の仕上げが精緻で、高品質感に満ちています。

テールランプなども少し従来から変わっています。天気は大荒れでも、ゴルフのボディはクリーンそのもの‥。

ダッシュボードのデザインは大きく変わりました。センターの大型パネルに加えて、メータークラスター部分、それに右側の照明スイッチ類が、すべて液晶パネル化され、段差はありますが同じサーフェイスでつながっています。

写真はR-ラインものですが、ステアリングがスポーティー仕様になっています。シフトレバーは、ついにゴルフもシンプルな前後に振るだけのものに変わりました。MT操作は、パドルシフトで行います。そのパドルが操作しやすく、つくりの良さを感じました。

R-ラインのシート。サポートもしっかりし、通常モデルよりはつくりが上質です。

走った印象では、1.5リッターのeTSI R-ラインでは、まずはパワーは十分。とくに中低速トルクは十二分にあります。eTSIは、48Vのマイルドハイブリッドですが、これはスターター兼ジェネレーターをハイブリッドのモーターアシストとして活用するタイプで、アシストそのものは文字どおりマイルドなので、ハイブリッドらしさはほとんど感じられません。踏み始めの反応のよさなどに、モーターのトルクの恩恵がありそうに感じるくらいです。

こちらが、eTSIの概念図と、パワーユニット。

副次的なはっきり体感できるメリットとしては、DSGの変速ショックが減じられています。変速時の谷間を、モーターのトルクで穴埋めしているので、ふつうのペースで走っているときは、変速ショックがほぼまったくない感じです。ただ、パドルのMT操作で、高回転まで回して変速したときは、それなりのショックはありました。

あと、試乗中は、観察を忘れてしまいましたが、eTSIでは、アクセルオフ時にエンジンを停止するコースティングモードに入りますが、忘れるくらいの、違和感のないものといってよさそうです。

さらに1.5リッターでは、4気筒のうちの2気筒休止も行いますが、これについては従来型から、気づくことができないままです。

足回りは、GT-ラインは少し締め上げられているので、低速では硬さも感じますが、ペースにのれば快適。なによりピタリと路面に張り付いたように走り、スポーツドライブにかきたてられる感じです。

豪雨の中、高速道路も少し走りましたが、外は雨でも、中は意外に静かで、遮音が充実しているようです。

写真は、上が4気筒1.5リッターのeTSI R-ライン、下が3気筒1リッターのeTSIアクティブ。試乗車とはボディカラーが逆なのでややこしいですが、見た目はほとんど区別がつきません。ヘッドの上のカバーは、どちらも4気筒のように見えるデザインになっています。

こちらはeTSIアクティブの室内。シートは比較的シンプルな仕立てです。

ステアリングは、このベーシックモデルでも、従来型と少し形状が変わった印象です。写真ではわかりませんが、メインディスプレイ周辺の操作は、タッチやスライド式の新手の操作法が採用されて、スマホ操作に通じるようなものになっています。短い試乗時間ではちょっと試してみただけでしたが、実際の使い勝手が果たして、クルマでも優れているのかは興味深いところです。

1リッターeTSIの、走った感想は、パワー的には、街中をふつうに走るにはまったく十分というものです。モーター出力/トルクは1.5と同じなので、相対的にアシストはより充実しているということになります。

1リッターモデルは、後日、ごく短時間だけもう一度、乗る機会がありましたが、巡航から意図的にアクセルを強く踏み込んだときに、少しレスポンスが鈍い感じがあり、それはもしかしたら、エンジン停止のコースティング状態だったのかもしれません。

ゴルフでエンジンが3気筒なのは、理想論としては優等生でも、果たして現実的にどうなのかとも思っていましたが、乗った印象では、とくにどうということはないようです。この3気筒ターボエンジンは、下位モデルには既に使われており、基本はゴルフのハイブリッド用も同じようです。エンジンらしい快音が楽しめるということで、個人的には気に入っていたのですが、ゴルフでは、似たような良い音質も聞きとれましたが、遮音が下位モデルよりおそらく効いているようで、音自体は小さく、よくも悪くも存在感がなく、気筒数がどうこうという感じではありません。

タイヤがR-ラインより1インチ小さい16インチで、乗り心地はあきらかに、よりソフトでした。

フロントエンドを貫く水平線は、先代モデルにもありましたが、これがクロームではなく、LEDランプになっているのが、新しいところです。この水平線よりもヘッドランプは下に配され、ノーズは先代より明らかに低くなっています。そしてグリルは、もはやグリルと言えるのかどうかというくらい、天地が薄くなり、顕著なスラントノーズになっています。けれども、実車を見ると、意外にも、良くも悪くも、先代モデルとの違いをそれほど感じません。

ゴルフはゴルフのまま少しずつ確実に新しくなっていく。そのさじ加減の塩梅が、ゴルフのひとつの名人芸のように思います。フォルクスワーゲンにとっても特別なゴルフは、相当推敲してクルマづくりをしているのだろうということを、あらためて感じました。

(レポート・写真:武田 隆)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする