ダイハツの新型タントに試乗しました。スーパートールワゴンとは思えない安定したコーナリングと、ミラクルウォークスルーに目を見はりました。
新型タントは、ダイハツの新世代のプラットフォームDNGAを初採用し、全面的に新設計されています。プラットフォーム更新の時期でもあったかもしれませんが、軽自動車各メーカー進歩が著しく、競争の激しさを感じます。
近年のダイハツ車は、リアゲートが樹脂製なのが特徴。この車両はNAモデルで、ホイールは14インチです。
こちらはカスタムで、顔つきはだいぶ異なります。富士山型に下広がりのアンダーグリルは、四角いスーパートールワゴンのボディではやや落ち着かない気もします。ただ、カスタム系の軽やミニバンで大流行した、巨大な壁のような大面積メッキグリルでないのは、個人的には歓迎です。
この車両はターボで、15インチを履いています。乗り心地は14インチも15インチもあまり変わらない印象。つまり14インチが予想よりは硬いということです。総じて硬いわけではなく、ミライースよりはしなやかに感じました。
今回驚いたのは、コーナリング性能の高さです。ちょっとしたツイスティなワインディング区間を走ってみましたが、この車高の高さながら、コーナーに入ったときの不安感がなく、ちょっとがんばって走っても上屋がふられず安定しています。スーパートールワゴンでありながら、これだと峠を走っても楽しめそうだ、と思ってしまいました。
DNGAプラットフォーム。全面新設計で各部の配置の最適化などがされているとのこと。サスペンションも、走りを重視して最適な配置へと見直したそうです。ピンク色に塗られたステアリングコラム支持部分も強化されて、剛性を高めています。ダイナミクス性能は現行のムーヴのときにだいぶ向上しましたが、今回DNGAということで、さらに根本的に素性をよくしたので、ポテンシャルはまたかなり上がったようです。次期型ムーヴもまたさらに進化しているのでしょう。
今回エンジンもほぼ新設計に近い進化を果たしていますが、注目はD-CVTと称する新型CVT。ベルト駆動CVTとギアの、二系統の伝達経路を持たせたもので、主として中高速域では伝達効率の優れたギアによる伝達となります。変速比幅が広いのも特徴です。写真の左がCVT経路、右がギア経路。これが連携して動きます。
室内はなかなか落ち着いて趣味のよいデザインで、大人のデザインという感じもあります。
インストルメントパネル。デジタルの数字の字体なども、細かいところですが、あか抜けているという印象です。
今回の圧巻は、ミラクルウォークスルー。最近のトールワゴン系は、後席足下スペースが広大ですが、その広いフロアを、いっぱいまで運転席を下げられるようにしました。これによって、運転席に座ったまま、後席の荷物に手を伸ばしたり、子供の世話ができます。
助手席をこのように前進させればそのまま左側ドアから出入りできます。左側ドアから乗って、そのまま運転席に収まることも楽にできます。そして、スライドドアは自動で閉まり、助手席ドアは半ドアからのロックを自動でするので、楽だし安心です。
(レポート・写真:武田 隆)