東京オートサロン2018(1:国産メーカーのスポーツ)

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1月12~14日に恒例の東京オートサロンが開催されました。会場で目に止まったものなどをレポートします。今回は自動車メーカーブースのモータースポーツ関連を中心に。

メーカー系のブースでは、今回の目玉はトヨタ・ガズーレーシングのコンセプトカーの発表です。大変な人の集まりようでした。広いスペースに、奥(左)から、ルマンを走ったTS050ハイブリッド、それをベースにしたテスト車、そしてそのロードバージョンのショーカーが並びます。

TS050は、昨2017年も残念ながら、優勝濃厚と見られながら勝てませんでした。これによってトヨタは結局、アウディにもポルシェにも、ガチンコで勝つ機会を逸しました。トヨタのこの数年のマシンは、十分勝つ実力があっただけに残念です。しかし、ポルシェやアウディがいなくなっても、トヨタは今シーズンも参戦することを既にアナウンスしています。

トヨタは結局まだ勝てていませんが、とくに2016年の負け方が劇的で、注目度は抜群になりました。昨2017年は社長もルマンに初めて姿を見せて、ルマンへの注力度がトヨタとしても高まったように見えます。そして今回、TS050をベースにしたロードゴーイングのスーパースポーツカーの開発が発表されました。その中身は、ハイブリッド機構をはじめ、TS050のメカを現状ではほぼそのまま活かしているようです。市販化が実現するとしてもまだ先になりそうですが、その頃までにはトヨタのルマン・マシンは勝利を収めて、しっかり箔をつけていることでしょう。

アンヴェイルのプレスカンファレンスは、ガズーレーシングカンパニーのプレジデント、友山茂樹氏がプレゼンを行いました。豊田社長とともにガズー、ガズーレーシングのキーマンとなる人です。写真は、友山氏がプレゼン終了後に写真撮影のために移動中のところ。白いマシンが、今回のショーモデルのGRスーパースポーツコンセプト。外観も、TS050とは細部をアレンジしたくらいの違い、という印象です。

メルセデスもF1技術を投入したメルセデスAMGプロジェクト・ワンを市販化しましたが、そういうレースカーベースのスーパースポーツをつくるのが、世界的なトレンドなのかもしれません。また、今後ルマンのトップカテゴリーのレギュレーションが「市販車」をベースにしたマシンになる可能性もあり、それも背景にはあるようです。

トヨタに負けず劣らずホンダもレーシングマシンをいろいろ並べていました。そのなかで、最近は各所で展示されて珍しくないとはいえ、やはりスターはインディ500で佐藤琢磨選手が勝ったダラーラのマシン。F1が厳しい状況にあるホンダにとって、インディ500での日本人ドライバーによる勝利は大きな励みになるできごとだったのではないかと想像します。見る側にとっても、そうかホンダはインディではずっと強かったのだと、思い直しました。

今年2018年は、新しいパートナーのトロ・ロッソと組んでF1に挑みますが、今回のプレスカンファレンスでも、ひとこと期待が述べられていました。見る側としても、実績はなくてもチャレンジ精神のあるチームと組むことで、心機一転期待できる、と思いたいですが、昨2017年に「今年こそ」と思って裏切られた経緯もありますから、安易な期待はしないのがまずは賢明。しかしホンダなら(いつか)やってくれると、期待したいと思います。余談ながら、もうひとつの世界戦、ツーリングカーのタイトルを昨年とりこぼしたのにはややがっかりしました。

今回のオートサロンでは、ホンダのプレスカンファレンスは、スーパーGTの参戦体制の発表が主体でした。その中にはホンダF1をドライブしたジェンソン・バトン選手が含まれており、チーム・クニミツからの参戦が決定したようです。特別な紹介はなかったものの、居並ぶトップドライバーの中で一人だけ、客席(記者席)に向かって手を振ってファンサービスしていたのはさすがでした。その後たまたま、ホンダブースの裏で、ドライバーがブースの壁にコメントを書き込んでいるのに出くわしました。

スバル(とSTI)のブースにはかつてのWRCマシンが2台展示されていました。1990年代のマシンで、今年STIは30周年ということになりますが、この時代は、日本車にとっては黄金時代で、WRCを席巻していました。個人的には右の初代インプレッサは実車の走りも目の当たりにしましたが、レガシィもインプレッサも、外観はまったくエアロパーツもなくノーマルのままですが、いかにもよく走りそうないい形をしていると感じます。

タバコの「555」のスポンサーは、WRC参戦の途中で撤退しましたが、スバルは「555カラー」を気に入って、その後もロゴを変えて似たようなカラーリングを続けました。去ったスポンサーの宣伝を続けるなど、なんて愚かな、と当時は思いましたが、ブルーのボディカラーはスバルのテーマカラーとしてすっかり定着しています。青はスバルによく似合う色だと思う次第です。

このクルマは銀色ですが‥‥。ブースの主役がこのクルマ、ヴィジヴ・パフォーマンス・STIコンセプト。昨年のモーターショーで展示されていたヴィジヴ・パフォーマンス・コンセプトをベースに、外観をよりスパルタンに仕立てた成り立ちです。モーターショーでは、スバル全体を象徴しているのだとしたら、スパルタンすぎて納得がいかないと、個人的には思いましたが、STIを象徴するこれなら腑に落ちます。もちろん、どちらもあくまでショーカーのひとつにすぎず、スバルやSTIを象徴する存在ではないとは思いますが‥‥。

モーターショーでのショーカーがWRXのS4に相当し、今回の「STIコンセプト」がWRX STIに相当するというのが、おおかた妥当な見方と感じます。まだ次期WRXだとはスバルは言っていないようですが‥‥。

このほかスバルでは、レヴォーグとBRZの市販車に設定された「STIスポーツ」の展示が目につきました。スポーティーなラインとなる「STIスポーツ」の今後の展開に期待したいところです。

(レポート・写真:武田 隆)

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