プジョー508に試乗

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プジョー508の試乗会で、短時間ながら、ディーゼルのGT blue HDiと、ガソリンのGT Lineに乗りました。

最近プジョーはSUVに力を入れていましたが、久々にセダンで存在感を出すモデルです。プジョーに限らず、セダンそのものが減っているので、貴重な選択肢になりそうです。SUV全盛時代のセダンは、とにかくまずスタイリングを精悍にすることに、どのメーカーも目の色を変えて取り組んでいますが、プジョーはその点で力を発揮したようです。いかにもよく走りそうなプロポーションでありながら、気負いすぎたところがなく、しかも存在感があります。

内装も充実しています。プジョー特有のi-コクピットで、小径ステアリングの上からメーターを見ます。ステアリングは上と下が真円から削られていますが、回しても違和感はとくに感じません。いちおう10時10分の位置で握りやすいよう、握り部分の造形が作り込まれています。

走ってみると、とにかくボディ剛性が高く、ライントレース性が高く、思い通りに走れる印象です。しっかりスポーティーな走りを楽しめる仕立てになっています。乗り心地も悪くありません。とくに低速域でのソフトさが印象的でした。

後席もつきあげ、振動、騒音などなく、快適です。ただしクーペ風のスタイリングのため、ヘッドルームは余裕がありません。座高が高めでも頭が当たることはないようですが、圧迫感は少しあります。

トランク式セダンに見えて、ハッチバック式です。ファストバックなので、荷室の高さはそれほどないですが、かなりの広さです。ハッチは樹脂製で、軽量化に効いていそうです。

ディーゼルのエンジンルーム。2リッターのもちろんターボで、177ps、400Nm。出力は1.6リッター・ターボのガソリンのほうがやや高めで180psありますが、トルクはそちらは250Nmなので、ディーゼルのほうが力はあります。室内では、あまりディーゼルらしく感じませんが、ガソリンのほうが静かさでは上回るかもしれません。外で聞くとさすがにディーゼルであることはすぐわかります。

コンソール上のスイッチで、ドライブモードを変更できます。日本仕様はすべて電子制御可変ダンパーを装備しています。スポーツモードのほうがやや締まっている感じで、ステアリングも重くなるので、ワインディングではやはりスポーツモードが良さそうです。

この角度から見ると、FF車のプロポーションと感じますが、角度しだいでもあり、とくに気になりません。フロントまわりの造形などはなかなか魅力的です。“デビルマン”のデイタイムライニングライトも、入れ方がうまいのか意外に漫画チックになっていません。

後ろから見るとFF云々な感じはなく、ひきしまって、かつ伸びやかです。ファストバックですが、アウディA5やクラウンなどのように明確な6ライトボディではなく、キャビンが大きい感じがありません。ただそのぶん後席頭上に余裕がないのですが。とにかく精悍な佇まいです。外寸はあまり大きくなく、全長は4750mm。無駄に大きくなくスポーティーでよいし、外への圧迫感もないです。迫力には欠けるかもしれませんが、周りからも好印象をもたれるタイプの気がします。やはりプジョーとはそういうクルマなのでしょう。

実はこれを書いたあと、広報車を借り出して、山間路など少し長距離も走りましたが、低速域でのソフトさと、少し攻めたてて走ったときのしなやかさが印象的でした。またあらためて報告できたらと思います。

(レポート・写真:武田 隆)

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