JAIA試乗会2019(メルセデスS400d)

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今年もJAIA輸入車試乗会に参加しました。今回は1日のみの参加で7台に試乗しました。メルセデス・ベンツ S400dについて、印象を記します。

 

同じ直列6気筒ブロックを積むAMG E53にも乗りましたが、まずはS400dから。Cクラス→Eクラス→Sクラスと、そのまま大きくしたような相似形デザインですが、Sクラスはやはり落ち着いて見えます。破綻がない端正なデザインで、力強くもあり気品もあり、新しくもありオーソドックスでもあり。

 

ドイツらしいシルバーのボディは、惚れ惚れするものがあります。朝陽を浴びて輝いていました。

 

コクピットは夜になると、アンビエントライトで妖艶になりますが、昼間は落ち着いています。かつてのメルセデスの機能主義に徹したデザインから比べると優美に感じますが、よく見るとやはり無用な装飾はなくすっきりしています。大面積の液晶画面、それに曲線を使ったデザインなどに新しさを感じさせますが、さすがに老舗メルセデスの落ち着きがあります。懲りすぎて自意識過剰ぎみの高級車ブランドもありますが、そこは王者の余裕を感じます‥。

 

新しい音声認識機能もありますが、今回の試乗では「運転」に徹しました。ステアリングホイール上のスイッチ(左側)で、ComfortSportなどの走行モードも変換できます。ダッシュボードやセンターコンソール上にスイッチがあると走行中の操作に注意が必要ですが、これは即座にできてよいです。

今回、前日に試乗したチームから、S クラスはワインディングでステアリングが機敏でなかったという感想を聞いていましたが、たぶんComfortのまま走っていたのだろうと思います。日本的な低速の田舎道ではたしかにComfortのままだと比較的ゆるゆる走る感じでした。しかしSportを選ぶと、足回りが締まるほか、ステアリングも重くなってダイレクト感が増し、反応が早くなります。運転の仕方次第では俊敏に回頭し、コンフォート重視のイメージがあるメルセデスのしかもSクラスで、タイトなワインディング路でも機敏に走るのに少し驚きました。

 

センターコンソールには、モニター画面上の操作ができるダイヤルがあります。これは近年のメルセデスの定番で、他ブランドでも似たものがありますが、やはり使い勝手はこの手にかぎります。手元でブラインドで操作できるのがいちばんです。画面のタッチパネルは危険性があるといつも思います。タッチで操作するには、ダイヤルの手前のマウスみたいなものでできるはずですが、今回は使いませんでした。その左側には走行モードのダイヤルがここにもあります。

 

エンジンは直列6気筒です。S400dなのでディーゼルですが、乗っている間は、ガソリンのように感じます。車外で聞くとディーゼルとわかります。メルセデスは直列6気筒を復活させました。直6でも全長を短くできるようになったこともあり、最近は、エンジン縦置きのFRでは直6が見直されています。メルセデスでもモジュラー化で直列4気筒とブロックを共用するようになっています。

 

今回S400dを試乗したのは、このエンジンに興味があったからです。想像どおり、非常にスムーズで申しぶんないものでした。ディーゼルということを考えるとやはり感嘆します。ただ、Sクラスは遮音や振動対策もかなり充実していて、直6という以前にどんなエンジンを載せても室内は静かなのではないかという気もしないではありません。エンジンの音質としては、やはりV6とは違う直6らしい音です。

 

試乗車は、オプションのAMGラインプラス装着のため、タイヤが標準より2インチアップの20インチでした。前245/40R20、後275/35R20と、前後でサイズが異なります。標準は前後とも245/40R18です。以前乗ったSクラスはとろけるようなソフトな乗り味が印象的で、今回はそれに比べればやや普通な気がしましたが、タイヤにも理由があったのかもしれません。とはいえとくにComfortではひたすらなめらかで、まったく硬いようなことはなく快適そのものでした。

 

高速道路を走ると、がぜんスタビリティの良さが目立ち、すばらしいのひとこと。水を得た魚です。日本の狭い田舎道など、Sクラスにとっては諸外国の大邸宅の敷地内連絡路と同じような存在かも(?)。アウトバーンに比べればはるかに低い速度ですが、安定したまま超高速まで快適に走るのでしょう。目地段差の越え方なども完璧、と思いました。

 

スペックは直列6気筒エンジンが、ディーゼルターボで340ps71.4kgm、車重は2150kg。少なくとも日本に入るSクラスの中でいちばん“非力”ですが、車重1.5トンに換算しても240ps50kgmぐらいだから、ほぼ陸の王者といえる動力性能です。全長は5155mm、全幅は1915mmで、体格もセダンとしては陸の王者です。車両本体価格は1183万円、試乗車はオプションや保証など込みで1453万9200円、価格も王者でした。

  

(レポート・写真:武田 隆)

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