JAIA輸入車試乗会2024 (BMW 523i)

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毎年恒例のJAIA輸入車試乗会。今回はBMW 523i。とくに内外装が従来と雰囲気を変えたのが印象的です。

フロントビューは、最近のBMWの傾向で、やや角がごつごつした印象。キドニーグリルも前型よりも存在感を増していますが、よく見るとグリル内の上半分は風をとおさない単なるパネルで、縦方向の格子は“模様”にすぎない。

アンダーグリルもあるので冷却性能は十分なのでしょうが、機能的に必要なくても、“視覚的”には、大きなグリルにしたいということなのでしょう。純EVでも大きなグリルを持たせているわけです。

リアからの印象は、変わりました。当日会場で見かけて、どこのブランドのクルマかと一瞬思ったほど。従来よりだいぶすっきり、クリーンになりました。最近のクルマは、プレスラインを極力減らして、プレーンなボディ表皮になる傾向です。テールランプも薄型になっています。

リアでもうひとつ、おやっ?と思ったのは、リアデッキが尻下がりなこと。メルセデスでは横から見て弓状のシルエットを好むので、尻下がりスタイルがありましたが、BMWセダンでは珍しい気がします。BMWはトレンドの先を行くことがあるので、これはなにか、新しいトレンドの先がけなのかと思ってしまいますが、空力に関係するのか、それとも車高が少し高くなった影響もあるのか・・・・・・。

2023年のモビリティショーで展示された次世代車のスタディ、“ノイエクラッセ”でも尻下がりだったので、今後のBMWはこうなるのかもしれません。ふりかえると先代モデルも、ややその傾向はありました。

この角度からだとロングノーズ、ショットデッキが強調されます。全高は1515mmあり、先代より35mmほど高いようです。新型5シリーズはBEVも同じボディで設定があるので、床下にバッテリーを置く関係で車高が少し高くなったのかもしれません。ただ新型5シリーズは、全長・全幅もサイズアップしています。

内装も大きく変化。まずステアリングが「円」ではなくなりました。上下を平らにしただけでなく、左右も握りやすいように変形しています。またダッシュパネル全体がすっきりしたデザインになっています。横長のカーブドディスプレイに合わせたデザインと思われます。

そしてダッシュパネルを、左右いっぱいドアにまで、クリスタルのバーが貫いています。昨年乗った7シリーズでもありましたが、5シリーズも採用してきました。

このクリスタルのバーはドライブモードを変更すると色が変わります。スポーツモードでは赤になりました。

クリスタルは、シフトセレクターや、モニターのコントロールダイヤルにも使われています。このダイヤル式のコントローラーが残されているのは歓迎すべきこと。BMWは音声操作が優れているので、スイッチ類は極力廃していますが、ナビの地図の操作など、身を乗り出して画面にタッチしなくても操作できるコントローラーがあると、やはり非常に便利で、安全運転につながります。

走った印象としては、上質で快適、かつ適度にスポーティ。プラットフォームは前型の継承でも、いろいろブラッシュアップはされている模様。今回ノーマルモードでしか走らなかったとはいえ、高級車として洗練されていました。

エンジンは2リッター4気筒で、ミラーサイクル採用など環境性能も追求しているようですが、パワーは十分あり、スムーズきわまりない。新型5シリーズは目下、日本ではガソリン車はこの523iだけ。ほかはBEVとディーゼル。BEVのi5はM60だとトータル601ps/820Nm、そうでない2WDモデルでも340ps/430Nm。対して523iはトータル190ps/310Nmなので、比較すれば悲しいほど控えめですが、BEVのほうが“異常”なわけで、十二分なパワーであり、よく加速します。

とくにフィーリングがよく、あえてガソリン車に乗る価値を見出せる、楽しさ、気持ちよさがあります。ただ遮音が効いており、スポーツモデルのような豪快さはない。ガソリン車とはいえ、正確にはマイルドハイブリッドであり、ほとんど意識できませんが、低速で若干のプラスのパワーを得ているはずです。

価格は車両本体が798万円。5シリーズは高級車になりますが、高額車揃いのこの試乗会のなかでは、適度な価格といえるでしょうか。

(レポート・写真:武田 隆)

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