JAIA輸入車試乗会2023(メルセデスAMG C43 4MATIC)

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毎年恒例のJAIA輸入車試乗会。今回はメルセデスAMG C43。CクラスのAMGモデルで、最新のCクラスの高出力モデルということになりますが、新技術の採用も注目点です。

最新メルセデスの傾向に沿った、すっきりしたボディ表皮のエクステリア。グリル形状が通常のCクラスとは異なり、縦線パターンに加えて、富士山型の台形グリル形状になっています。AMG特有のものですが、スポーティな佇まいのこのセダンボディに合っている印象。

ダッシュボードまわりは、通常のCクラスとあまり大きくは違わない。赤いステッチなどもありますが、それほどは目立ちません。違いは、細かいスイッチ類やメーターパネルの表示にあります。

ステアリング上にたくさんのボタン類。右下と左下の、青く光っている丸いボタンが、ベーシックモデルにはないものです。

この右下ボタンは、走行モード選択用で、今は「C」でコンフォートモードです。左下ボタンでは個別に各メニューを変更できます。

タイヤはミシュランのパイロット・スポーツ4S。フロントは245/40ZR19。リアは265/35。ZRですが、S+モードでも締まっているとはいえ、しなやかさがあり、コンフォート・モードではしなやかそのもの。

エンジンは、4気筒です。先代ではV6だったのが、ついにAMGでも直4の2リッターに。ただしスペックは増強されており、408psあります。エンジンのカバーにはハンドクラフトした人の名前が刻まれています。ハンドクラフト・エンジンはAMGのこだわり。

このエンジンはBSGによるマイルドハイブリッドであり、スターターモーターからベルトで駆動アシストします。48Vなのが新しいところ。

S+モードにすると、アクセルを抜いたときに、ゴボゴボ唸るなど迫力があります。まわしても快音になりますが、これは室内ではスピーカーで増幅しているようです。落ち着いて走るとやはり4気筒らしくはあります。ただ、大きなV6を積んでも前が重くなるだけだろうなと、今の感覚では思ってしまいます。必要な大パワーを4気筒で確保する時代。

フロントフェンダー部には、「TURBO ELECTRIFIED」のロゴ。ターボエンジンにたかがマイルドハイブリッドでELECTRIFIEDとは、電動化礼賛の時代だからとはいえ、大げさだな、と思ってしまいそうですが、実は文字どおりの「電動ターボ」です。

この電動ターボ。ターボの排気の圧が弱いときに、電動でタービンを回して十分な過給を行います。これはF1由来とうたっており、要はF1のMGU-Hの技術に通じるものです。MGU-Hは、市販車に応用がきかないなどの理由で2025年いっぱいで廃止されますが、メルセデスはだいぶシンプル化した形で市販車にも似た技術を使っているわけです。

結果的には低速でも十分力があるエンジンになっています。それにはマイルドハイブリッドもある程度貢献しているかもしれません。このほか、9段ATには、トルコンのかわりにクラッチを使っています。

価格は1116万円と高価ですが、高級スポーツセダンとして文句のない実力と洗練度。4月末の時点で、メーカーサイトにはこのセダン版はなくなっています。高出力のセダンというのは、日本では絶滅危惧種。欧州では、まだ需要がありそうに思えますが、内燃エンジンを使うハイブリッドが、彼の地では「絶滅危惧」の状況。これほどの高度な技術を駆使して、洗練された高性能を得ているわけですが、この技術をヨーロッパは本当に近々禁止にしてしまうのか。それで喜ぶのはその技術がない中国だけではないか、と、思ってしまいます。

(レポート・写真:武田 隆)

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