JAIA輸入車試乗会2023(BMW 330e Mスポーツ)

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毎年恒例のJAIA輸入車試乗会。BMWのPHEV、 330e Mスポーツに試乗した感想です。

3シリーズはマイナーチェンジして、フロントデザインなどを少し修正。グリルの縦線がダブルバーになったほか、ライト外形も少し変わっています。

気になったのが、このエンブレム。下地のグレーの車体色と合わせてアールデコ的とでもいうような雰囲気です。赤と青なので、Mスポーツと電動という、ハイブリッドな意味合いのものかとも思いましたが、M社創立50周年のものでした。青がBMW、赤がモータースポーツを表し、その融合で紫も入っているということのようです。

これはM社初期の1970年代のデザインのようです。アールデコは1920年代前後のことですが、そもそもBMWのロゴがその頃最初にデザインされていたので、アールデコ的というのも、あながち間違いでもなさそうです。

マイナーチェンジでダッシュボードのデザインは大きく更新されました。iX以降の新世代デザインとなり、カーブドディスプレイがお目見え。スポーティモデルにはややそぐわないデザインと思ってしまいますが、機能的にはメーターが見えれば問題ないわけです。その証拠にM3でもこのデザインを採用しています。

エンジンは2リッター4気筒で、これにモーターが加わります。システムトータルでは、292ps、42.8kgm。ちなみにモーター単体で109ps、25.5kgmなので、昔の3シリーズならこれだけでも1台ぶんカバーできている感じ。

さて走った印象ですが、292ps/42.8kgmのパワフルさに感心しました。今回はPHEV云々よりも、3シリーズのスポーツセダンとしての存在価値に、魅かれました。SUV的に車高が高めのEVばかり乗った中で、低いセダンタイプのクルマの、昔ながらの良さに、ほっとした次第。まさに「ただいま」という感じ。

踏めば太いトルクですっと出るという特性は、モーターアシストが効いているのだろうし、EV走行も可能でしたが、そういうのは今回は関心がいかず、とにかく、BMWらしい、スポーツセダンらしい走りに、やはりこれがいちばん、と思ってしまった次第。

車重が1820kgと、非電動グレードより300kg弱重いので、本気でとばすと重さが気になるかもしれませんが、ちょっとくらいの走りでは、シャシーの素性のよさから、スポーティーさに感心するばかりです。ダンパーは可変で、スポーツモードではそれなりに締まった足になり、そうでなければかなりコンフォートです。走りは洗練されている。気になったのはブレーキタッチで、低速域でカックンと感じるときがありました。再生ブレーキとの連動の問題なのかわかりませんが。

Mスポーツの太いステアリング。BMWではステアリングは押して回すという考え方で、この太い握りを採用しているようです。女性など手の小さい人には太すぎるとよく言われますが、ソフトスキンで、スポーツタイプらしいステアリングの感触だと思うので、個人的に嫌いではありません。

PHEVなので、使い方次第では、相当燃費はよいはずで、それでいてパワフルで、旧来のBMWらしさ、スポーティーモデルらしさが味わえる。価格は車両本体で710万円。安くはないですが、この内容では今では標準的価格ということになるのでしょう。こういう「内燃エンジン付き」の昔ながらのスポーツセダンが、いつまで存続するのか、欧州発のニュースに接するたびに、不安が増してくる今日この頃です。

(レポート・写真:武田 隆)

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