自動車工学の基礎理論
本体2,400円+税
A5判判/240頁/978-4-87687-369-2/2019年10月発売
日産で、日本車初のデイトナ優勝マシンのエンジンなど数々のエンジン設計を手掛け、その後大学教授として学生とともにル・マンに挑んだ著者による、自動車工学の入門書。「なぜ?」「どうして?」事象をめぐる様々な質問に、材料力学、機械力学、流体力学、熱力学の4力学を駆使して、明快に回答していく。全体で400点にも及ぶ著者手描きの図版で、難解な力学理論が視覚的に理解できる。若手エンジニアや学生に最適の書。
目次
はじめに
第1章 物理と化学と熱力学
1-1. トルクや出力の単位kgmゃps はなぜ使われなくなったのか
1-2. エンジンのトルクと出力(馬力)、どちらが大切か
1-3. 燃料のもつ熱エネルギーはどうなってしまうのか
1-4. エンジンはなぜガスの圧力を使うのか
1-5. 空気を急に圧縮するとなぜ温度が上がるのか
1-6. ディーゼルエンジンは圧縮するだけでなぜ火が点くのか
1-7. オットー/ ディーゼル/ サバテの各サイクルのちがいは何か
1-8. シリンダーの中で火炎はどのように伝わって行くのか
1-9. 造物主がきめた空気中の酸素濃度21%の恵みはなにか
1-10. アルミのヘッドの燃焼室やピストンが融けないのはなぜか
1-11. クルマを運転していて心地よい音と騒音とはどこがちがうのか
1-12. 加速度と速度と走行距離の間にはどんな関係があるのか
1-13. 車速が2 倍になると制動距離はそれ以上になるのはなぜか
1-14. 放電したバッテリーに希硫酸を足すだけではなぜ回復しない
第2 章 エンジン
2-1 性能
2-1-1. 正味平均有効圧Pme、図示平均有効圧Pmi、摩擦平均有効圧Pmf とはなにか
2-1-2. ガソリンエンジンで使われるMBT とLBT とはなにか
2-1-3. ポンピングロスとはなにか
2-1-4. 圧縮比を上げると熱効率が改善されるのはなぜか
2-1-5. 空気の体積効率と充填効率、どちらが大切か
2-1-6. ガソリンの理論空燃比が14.7 なのはなぜか
2-1-7. ガソリンエンジンのノックとディーゼルのノックはどうちがうのか
2-1-8. 冷却水温が低すぎるとなぜ悪い
2-1-9. 冷却水温が高すぎるとなぜ悪い
2-1-10. 吸気や排気の慣性効果とはなにか
2-1-11. 高速エンジンでは低速トルクが犠牲になるのはなぜか
2-1-12. エンジンを高速で回すとなぜ燃費率が悪くなるのか
2-1-13. 高速で走るとなぜ燃費が悪くなるのか
2-1-14. 空燃比が薄いとなぜパワーが出ないのか
2-1-15. 急速燃焼のメリットとデメリットはなにか
2-1-16. 高過給の小排気量エンジン車の燃費が良いのはなぜか
2-1-17. 成層燃焼はなぜリーンバーンエンジンに有利なのか
2-1-18. シリンダー内のガス流動とその目的はなにか
2-1-19. トルクがフラットなだけでは良いフィーリングにならないのはなぜか
2-2 構造
2-2-1. 火花点火エンジンでディーゼルのように大型のものがないのはなぜか
2-2-2. ピストンは室温ではなぜ楕円状をしているのか
2-2-3. 直列6気筒エンジンはなぜ静かなのか
2-2-4. フライホイールを軽くするとエンジンの吹き上がりが鋭くなるのはなぜか
2-2-5. バルブのジャンプとバウンスのちがいはなにか
2-2-6. 点火プラグの熱価はなぜ大切か
2-2-7. 点火プラグのギャップはなぜ大切なのか
2-2-8. ディーゼルエンジンにスロットルバルブが無くてもよいのはなぜか
2-2-9. ターボエンジンでインタークーラーが要るのはなぜか
2-2-10. 高膨張比エンジンとはなにか
2-2-11. フロントグリルを外すとオーバーヒートを防げるか
2-2-12. マフラーや触媒を取り外すとどのくらいパワーアップするのか
2-2-13. 排気管を太くすると本当にパワーアップするのか
2-2-14. エンジンオイルの基本的な作用とはなにか
2-2-15. エンジンオイルを入れすぎるとなぜ悪いのか
2-3 応用
2-3-1. エンジンが吸入した空気の体積と排気の体積とではどちらが大きいか
2-3-2. 排気の圧力が吸入空気量の二乗に比例して増大するのはなぜか
2-3-3. ガスエンジンはガソリンエンジンよりパワーが出ないのはなぜか
2-3-4. 一般にディーゼル車がガソリン車より燃費が良いのはなぜか
2-3-5. ディーゼルエンジンは低速トルクが太いというのは本当か
2-3-6. ガソリンエンジンではなぜ急速燃焼が有利なのか
2-3-7. ガソリンにほかの燃料を混ぜてパワーアップできるか
2-3-8. 含酸素燃料はなぜパワーが出るのか
2-3-9. エンジンの排気量が大きくても燃費の良いクルマがあるのはなぜか
2-3-10. ターボとスーパーチャージャーとではエンジンの特性はどうちがうのか
2-3-11. 低速ギアで走行するとなぜ燃費が悪くなるのか
2-4 排気
2-4-1. 窒素酸化物はなぜ発生するのか
2-4-2. ゴーストップがあるとどのくらいCO2 やNOx の排出が増えるのか
2-4-3. 触媒の転換効率とはなにか
2-4-4. なぜ三元触媒は理論空燃比で作動するのか
2-4-5. 空燃比が薄いのになぜディーゼルエンジンは煙が出やすいのか
2-4-6. 空燃比が薄くてもなぜCO が発生するのか
2-4-7. EGR をすると窒素酸化物が減るのはなぜか
2-4-8. メタンガスを燃料に使うとなぜ環境に良いのか
第3章 シャシー
3-1. ハンドルを切ったときなぜ内側の車輪が余計に切れるのか
3-2. コーナリング時に前輪の向きと進行方向が一致しないのはなぜか
3-3. コーナリング時にキャンバーが変わるようにしてあるのはなぜか
3-4. ショックアブソーバーの作動原理はなにか
3-5. ショックアブソーバーがコーナリング特性に与える影響はなにか
3-6. コイルスプリングを切って短くするとバネ定数が大きくなるのはなぜか
3-7. ブレーキはなぜ焼けるのか
3-8. ディスクブレーキが多く使われるようになったのはなぜか
3-9. ドラムブレーキの自己サーボ作用はなぜ発生するのか
3-10. 静的バランスと動的バランスとはどうちがうのか
第4章 走行性能
4-1. クルマが走るときどんな抵抗が働くのか
4-2. コーナリング時にクルマにはどんな力が働くのか
4-3. タイアが発生させる力の限界は何できまるのか
4-4. 雪やぬかるみからの脱出にはなぜ高速ギアが有利なのか
4-5. ブレーキング時のスリップに一旦踏力を緩めるのが良いのはなぜか
4-6. 重心を下げるとなぜコーナリング特性が良くなるのか
4-7. なぜFF はアンダーステア、FR はオーバーステアになりがちなのか
4-8. タイアはどのように変形しながらサイドフォースを発生するのか
4-9. カウンターを当てるとなぜクルマを立て直せるのか
4-10. 急加速や坂を登るときなぜFF よりFR が強いのか
4-11. ブレーキはなぜフロントが先にロックするようになっているのか
4-12. タイアの空気圧が減るとなぜ燃費が悪くなるのか
4-13. 燃費の良い運転方法とは
4-14. なぜブレーキはフロントのほうが強くなっているのか
4-15. 発進直後の加速はなぜMT 車に比べてトルコン車のほうが良いのか
4-16. 余裕駆動力があるとなぜ運転しやすいのか
4-17. 少し腕を曲げるようにしてハンドルを握った方が良いのはなぜか
4-18. 音のエネルギーが2倍になっても3ホンしか大きくならないのはなぜか
第5章 空力
5-1. 最高速度はなぜパワーの1/3 乗にしか比例しないのか
5-2. レーシングカーではなぜ床下の形状が大切なのか
5-3. レーシングカーが後ろを向いた瞬間に飛び上がるのはなぜか
5-4. 空力パーツの目的と原理はなにか
5-5. スリップストリームを使うとオーバーヒートしやすくなるのはなぜか
第6章 耐久・信頼性
6-1. エンジンやクルマの寿命をきめる要素はなにか
6-2. ベアリングが焼き付くメカニズムはどうなっているのか
6-3. ミスファイアが起こるとなぜ触媒が焼損するのか
6-4 エンジンやクルマの剛性と強度はどうちがうのか
第7 章 歴史と展望
7-1. エンジンやクルマはいつ発明されたのか
7-2. 動弁系の変遷とエンジンの進化の関係を知りたい
7-3. 将来エンジンの熱効率はどこまで改善されるのか
7-4. エンジンやクルマは本当になくならないのか
参考文献
おわりに