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【新刊情報】『改訂新版 ターボチャージャーの性能と設計』を2025年12月下旬に刊行します。

【新刊情報】『改訂新版 ターボチャージャーの性能と設計』を2025年12月下旬に刊行します。

このたび弊社では、『改訂新版 ターボチャージャーの性能と設計』を2025年12月下旬に刊行します。

陸上輸送を目的とする原動機は、大気汚染防止法の順守や地球温暖化抑制のためにターボチャージャーを採用してきました。ディーゼルエンジンでは高出力・省燃費と排出ガス浄化の手段として、ガソリンエンジンでも小型・軽量、高効率、省燃費を目指して用いられてきました。しかし、これからの環境対応を考えると、これまでとは違う燃料を用いた原動機を模索する必要に迫られています。
昨今の“カーボンニュートラル”に向けた動きを見ると、化石燃料に替わる水素燃料をグレー・ブルー・クリーンの 3 段階で市場投入する計画や、アンモニアを新合成法で安価に供給する動きも見受けられます。さらに、二酸化炭素と水素で合成する気体及び液体燃料の実用化の動きも見られます。
“カーボンニュートラル”を見据えた原動機は、高出力(単位容積当たり)で経済性(含むランニングコスト)に富み、新燃料は輸送に安全で安価なことに加え、単位質量当たり、及び単位容積当たりエネルギー密度も重要な要素になると考えます。ターボチャージャー技術は、このような分野で大いに活躍の場があります。
さらに、ターボチャージャー技術は、陸上輸送用途はもちろんのこと、燃料電池、空気冷媒冷凍サイクル、水冷媒冷暖房機、ヘリウムガス循環送風機、汚泥処理用送風機、吸引式掃除機など、数え上げると限りない分野に裾野を広げています。

本書の著者、浅妻金平氏は小松製作所において長くディーゼルエンジンの燃焼、ターボチャージャー、ガスタービンの研究・開発などに従事されたのち、ギャレットターボ社でターボチャージャーの製造・販売に携わられました。その後エッチ・ケー・エス(HKS)の技術顧問として活躍をされるなど、ターボチャージャー技術に長きにわたり関与されてきた方です。
本書の目的は、ターボチャージャー技術を多くの人に届け伝えることにあります。ターボチャージャー技術に関することはもちろんですが、組立品質や品質保証活動など、著者が実務を通して得てきた知見も知ることができる、貴重な書籍です。
本書は、『ターボチャージャーの性能と設計』(2014年2月28日刊行)の全面的な内容の再検討と、新たな項目の大幅な追加を実施し、2022年に改訂新版として刊行しました。今回はその装丁を一新し、新装版として発売いたします。

本書は、今後さまざまな可能性を持つターボチャージャー技術について、実務に従事されている方々をはじめ、この分野に広く興味のある方々などへの格好の参考書として、ご活用いただければ幸いです。

グランプリ出版 編集部

『改訂新版 ターボチャージャーの性能と設計』(新装版)
著者:浅妻金平
仕様:A5判並製/480ページ(PUR製本)
定価:6,600円(本体6,000円+税)
ISBN978-4-87687-436-1

【目次】
第1章 過給の歴史と発展
1.1過給機能と過給機
1.2ターボチャージャー装着エンジンの特徴
1.3過給の歴史と展望
1.3.1過給機の誕生
1.3.2ガソリンエンジン用途過給機の黎明期
1.3.3ディーゼルエンジン用途過給機の黎明期
1.3.4国産過給機の草分け
1.3.5過給化した小型・高出力エンジン出現の時代
1.3.6省燃費追求の時代
1.3.7種々過給方式を試みる時代
1.3.8排出ガス浄化とターボチャージャー
1.3.9風変わりなターボ・チャージシステム
1.3.10ターボチャージャーとターボ式スーパーチャジャーの特性
1.3.11展望

第2章 熱と気体の流れ
2.1空気の物性
2.2気体の状態方程式と状態量
2.2.1理想気体の状態方程式と状態量
2.2.2理想気体の内部エネルギー、比熱、エンタルピ
2.2.3半理想気体として取り扱う気体の定圧比熱
2.3エントロピ
2.4一次元流れ
2.4.1エネルギー流れの基礎式
2.4.2音速と衝撃波
2.4.3断熱流れ
2.4.4臨界状態と臨界流れ
2.5気体の状態変化
2.5.1可逆断熱圧縮・膨張仕事による状態変化
2.5.2ポリトロープ変化
2.6気体の流動

第3章 ターボチャージャー付ディーゼルエンジン
3.1 過給ディーゼルエンジン
3.1.1熱効率と複合サイクル
3.1.2定常性能
3.1.3出力修正
3.1.4加速応答性能
3.2過給エンジン性能改善の試み
3.2.1複数台過給機の並・直列結合
3.2.2可変翼機構を取り入れたターボチャージャー
3.2.3エネルギー補給するターボチャージャー
3.2.4通路面積可変や通路切り替え機構ターボチャージャー
3.2.5ターボチャージャー組み込み部品の改良
3.2.6動力回収を兼ねたターボチャージャー
3.2.7ターボチャージャーの低騒音化
3.3ターボチャージャーのマッチング

第4章 遠心コンプレッサ
4.1構造と特徴
4.2コンプレッサ性能と基本パラメータ
4.2.1圧縮仕事と効率
4.2.2基本パラメータ
4.2.3特性曲線と大気修正
4.3設計に必要な知識
4.3.1コンプレッサ
4.3.2ディフューザ
4.3.3ハウジング
4.4コンプレッサの設計

第5章 ラジアルタービン
5.1構造と特徴
5.2タービン性能と基本パラメータ
5.2.1膨張仕事と効率
5.2.2基本パラメータ
5.2.3特性曲線と修正式
5.3設計に必要な知識
5.3.1タービンロータ
5.3.2ベーンレス・タービンハウジング
5.3.3タービンノズル
5.4タービンの設計

第6章 軸および軸受、軸シール
6.1軸系
6.1.1軸系の主要寸法
6.1.2ねじ部と軸段付き部強さ
6.2すべり軸受
6.2.1ジャーナル軸受
6.2.2スラスト軸受
6.3ころがり軸受
6.4軸シール

第7章 振動、強度および材料
7.1回転軸の曲げ振動
7.2回転体の振動と強度
7.2.1コンプレッサホイール
7.2.2タービンロータ
7.3材料
7.3.1コンプレッサホイール
7.3.2タービンロータ
7.3.3その他主要部品

第8章 加工と組立
8.1部品の製作と検査
8.1.1タービンロータ
8.1.2コンプレッサホイール
8.2動バランス修正作業
8.2.1動つり合い理論
8.2.2シャフト付タービンロータ単品の動バランス修正作業
8.2.3コンプレッサホイール単品の動バランス修正作業
8.2.4回転体組立品のつり合い良さの確認作業
8.3組立作業

第9章 品質確認試験
9.1品質確認行為の重要性と開発ステップ
9.2コンポーネントの品質確認試験
9.2.1振動、強度、熱衝撃試験
9.2.2回転安定性試験
9.2.3軸シール試験
9.2.4空力性能試験
9.3ターボチャージャー組立品の信頼・耐久度試験
9.4エンジン装着信頼・耐久度試験の監視行為

第10章 市場の使われ方調査と品質保証活動
10.1品質保証と担当者の責務
10.2市場の使われ方調査
10.3ユーザサポート
10.4品質不具合の未然防止
10.5市場品質不具合の撲滅

付録資料
付表1熱力学・流体力学に用いる単位と次元
付表2乾き空気の定圧比熱、相対圧および比エンタルピ
付表3燃焼ガスの定圧比熱、相対圧および比エンタルピ
付録 補足説明資料(AからF項)
ターボチャージャー設計図面
ターボチャージャーの性能試験(性能計算プログラムと成績表の作成)
トラブルシューティング
ターボチャージャー補修時の点検・検査項目と判断基準
補修ターボチャージャー取り付け作業時の注意事項

参考文献
索引

【弊社よりの通信販売はこちら】
https://grandprix-book.jp/visit/

【amazonによるご購入はこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/4876874360?tag=grandprix06-22&linkCode=as1&creative=6339