【新刊情報】『食堂車の明治・大正・昭和』(新装版)を2024年7月下旬に刊行します。
この度弊社では、2024年7月下旬に『食堂車の明治・大正・昭和』(新装版)を刊行します。
1899年に山陽鉄道(後の山陽本線)で営業を開始した日本の食堂車は、太平洋戦争の一時期を除き、一世紀以上にわたって、長距離移動をより快適にするサービスを旅行者へ提供してきました。著者のかわぐち つとむ氏によれば、食堂車によるサービスを支えるために従事した従業員はのべ100万人に達するそうです。
著者は、日本国有鉄道(国鉄)に勤務し、27年間列車食堂営業に携わった方で、本書は、自身の体験と収集した資料や文献をもとに、“列車食堂営業史”としてまとめられた、類のない書籍といえます。
本書は、2002年の初版刊行後しばらく品切れ状態が続いていたところ、皆様から再刊のご要望を頂戴するようになり、このたび新装版としての刊行を決定いたしました。新装版の刊行にあたっては、著者のかわぐち つとむ先生のご了解をいただき、編集部で内容の再確認を行ないました。
日本で初めての食堂車が登場したとされる1899年5月25日から、食堂車が本来の役目を終えるまでの歴史は、鉄道史や食文化の観点からも重要なものであると考えます。ご活用いただければ幸甚です。
『食堂車の明治・大正・昭和』(新装版)
かわぐち つとむ 著
A5判 244ページ 定価:3,080円(本体2,800円+税)
ISBN978-4-87687-419-4
【目次】
1.明治時代
1-1.事始めは山陽鉄道(山陽本線)
•「みかど」の成り立ち
•みかどの営業開始日のこと
•当時の食堂車の設計
•明治時代の食堂車に関する随筆
1-2.官設鉄道の列車食堂の始まり
•営業開始のいきさつ
•営業許可会社の選定と食堂車の様子
•料理の内容と従業員の服装など
•食堂車に使用された車両
•直営制の導入とその失敗
•3等急行車で和食を採用
•有力食堂車営業企業の活動
1-3.明治の民営鉄道における列車食堂
•讚岐鉄道(土讚線)
•関西鉄道(関西本線)
•北越鉄道(信越本線の一部)
•成田鉄道(成田線)
•南海鉄道(南海電気鉄道)
•北海道炭礦鉄道(室蘭・函館本線の一部)
•北海道鉄道
•九州鉄道(鹿児島本線ほか)
•日本鉄道⑴東北本線
•日本鉄道(2)奥羽本線
1-4.国有化鉄道の列車食堂
•明治終わり近くの食堂車の様子
•食堂車に関する取扱手続の制定
1-5.明治時代の列車食堂営業者の経歴
2.大正時代
2-1.鉄道省運輸局のころ
2-2.大正時代の食堂車両
•食堂車連結列車の編成
•大正時代の新製食堂車
2-3.食堂営業に関する様々な制約と命令
•公報通報解説について
2-4.食堂経営の収支と価格の設定
•食堂車の消費単価
•食堂車の営業料金額算出
•大正末期の収支
2-5.進む和食化と大衆化
•洋食から和食化へのあゆみ
•食堂車利用大衆化への兆し
•定食の価格変動(和食を中心として)
•食堂車の販売価格値下げと営業実態
2-6.世相を反映する食堂車の様子
•食堂従業員の違反行為
•凶暴なボーイ事件の顛末
•多忙を極めた乗務記録の例
3.昭和時代初期
3-1.不況の中での営業活動
•販売価格の変動(〈燕〉設定の前後)
•食堂車の設備改善
•列車食堂からの撤退と新規参入
3-2.昭和初期における営業活動
•列車内営業の取扱手続と販売品
•食堂車案内票と車内放送設備
•展望車の飲料サービス
•車内販売の様子
•食堂車女子乗込み従業員の採用と食堂車連結列車群
•営業収入の上昇と食堂営業列車の増加
•戦時色を強める世情の中で
3-3.「日本食堂」の誕生と戦時体制への突入
•新会社「日食」創業の経緯
•新会社•日本食堂の誕生
•日本食堂創業直後の動き
•戦時体制の中での営業休止
4.昭和時代中期
4-1.戦後の窮乏の中での営業再開
•終戦後の列車供食の復活
•営業再開前後
•〈へいわ〉の誕生直後の食堂車
•〈つばめ〉の運行開始と食堂車
•列車食堂に対する不満の声
4-2.列車食堂営業の複数営業の時代の始まり
•独占打破の機運が高まる
•相次ぐホテル企業の参入
•列車食堂の継続経営条件
•列車食堂営業の営業料金制度改正
•食堂車の連結増強
4-3.電化•電車化のさきがけのころ
•相次ぐ新型車両の投入
•収支内容と人件費用
•にぎり寿司提供のビュフェの失敗
•上越線に〈とき〉誕生と急行列車運転
4-4.食堂車からビュフェ車へ
•ビュフェ車量産化へ
•列車内食事サービスと弁当車内販売会社
•車内販売会社などの列車食堂営業進出
•鉄道弘済会の参入
•電車ビュフェの多様化
•走るレストラン風景など
•中央•上信越線サハシ165・169形
•新幹線開業直前の列車食堂
•青函連絡船内の食堂営業
5.昭和時代後期
5-1.東海道新幹線開業直後の営業
•東海道新幹線の開業と列車食堂
•新幹線ビュフェの問題点と駅弁ブーム
•新幹線開業にともなう設備投資など
•駅売弁当の車販とビュフェ営業の対抗
•列車食堂営業の発展と消長
•列車内サービス体制の整備
5-2.日本万国博のころの営業活動
•経済成長と旅行の大衆化
•食堂車乗務の女子サービス係の声
•食堂•ビュフェ車連結増強の波紋
•食堂車販売品のレシピ研修
•外食産業のはざまで
•東海道• 山陽新幹線食堂車への取組み
•列車内食事サービス対応の変遷
•新幹線本格的食堂車開業とその実績
•新幹線岡山開業から博多開業のころ
•昭和50年代の列車別売上高等の分析
•食堂車•ビュフェ車非営業の増加
5-3.新幹線博多開業以降の列車食堂営業の衰退
•サービス体制見直しの具体化
•駅売弁当の社会的位置
•列車食堂営業の衰退
•営業者複数制の問題点
•低調な列車食堂営業成績
5-4.1980年代•東北地方を中心にした営業活動
•めし屋兼飲み屋ふうの大衆メニュー
•新幹線開業前の東北•上越方面食堂営業
•夜行特急〈さくら〉の列車内営業内容
•東北•上越新幹線のビュフェ営業
5-5.新幹線における新しい試み
•西へ伸びる東海道•山陽新幹線
•100系電車2階食堂車
5-6.消えゆく食堂車
•ブルートレインの食堂営業廃止へ
•昭和60年代の外食産業事情
•カフェテリア車の出現
•〈北斗星〉〈トワイライトエクスプレス〉の誕生
•平成時代に歩み始める列車食堂営業者
【弊社よりの通信販売はこちら】
https://grandprix-book.jp/visit/
【amazonによるご購入はこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/4876874190?tag=grandprix06-22&linkCode=as1&creative=6339