フロンクスに試乗した印象。インド製ですが、日本市場向けにもしっかり開発されており、コンパクトなクロスオーバーSUVとして好印象でした。
なによりいいと思わせたのは、エクステリアのデザイン。オーソドックスな直線基調のシルエットながら、プレスラインやフェンダーまわりの造形などが、しなやかかつ力強さもあります。気をてらわず比較的オーソドックスながら、いろいろな要素のバランスもよく、好ましいと感じます。
リアのフェンダーの張り出しなどかなりボリューミーですが、四角基調だからか、トゥーマッチな感じがなく、クロスオーバーSUVとしてちょうどいい感じ。
全長は3995mmで、ほぼちょうど4m。このサイズは意外にほかにないようです。こちらは2WDモデルです。
フロントマスクも精悍でスマート。現代的ですが、やりすぎな感じもなく、好ましい印象です。
リアのフェンダーまわりの、ショルダー部分の張り出しなどがよくわかります。直線的でありながら、曲線や曲面もあって、適度に筋肉質な張りがあります。プレスラインは比較的多く、フロントも、フェンダー上部付近でエッジの立った線が3本ありますが、うるさくなくスマートに見えます。
内装も、安っぽさはなく、適度に上質感を感じさせるデザインです。
こだわった部分としては、SUVらしいタフさも表現して、センターパネルまわり部分を左右から挟むシルバーのオーナメントというかトリムで、金属っぽい造形にしたとのこと。しなやかに曲がったフレームのような金属とのことで、衝突時の乗員の安全にも配慮しながらうまく造形しているようです。
メーターパネルは、もはや古典的というべきアナログの実際に針が動く、“機械式”メーターで、今や貴重なものです。デザインはオーソドックスで落ち着いて、好ましい。ACC(アダプティブクルーズコントロール)やLKA(車線維持支援)などの先進安全装置の表示も、しっかり中央にあります。
ヘッドアップディスプレイも装備。先進安全装備を始め、装備類はかなり充実しているようです。
内装はブラックとボルドーの2トーン。シートの形状や表皮はインド向けと同じだそうですが、2トーンの色分けは異なり、日本のほうがこだわりがあるようです。実際インド仕様をネットで見てみると、たしかに日本仕様のほうが、高級感というか、しゃれた配色のデザインでした。
前席の座り心地は、座面と背面にファブリックを使っているので、摩擦力のおかげで落ち着き、フィット感があります。センターコンソールは比較的張り出していますが、膝を休めるのによく、右左にコーナーを攻めるキャラクターではないですが、ニーレストにちょうどよい感じです。
後席は足元スペースは問題なく、ヘッドルームも十分ありますが、座面長さが短めで、背面は包まれ感があまりありません。乗り降りで頭を気にする必要もありそうです。ただ後席でも振動やロードノイズが抑えられていて、その点は好印象です。
クーペスタイルのSUVと謳っており、リアゲートは上半が寝ていますが、荷室スペースは十分。床はもう一段下にスペースがあります。
エンジンは1.5リッターの4気筒。スイフトの新しい3気筒が非常に快適なエンジンですが、やはり4気筒は排気量もあるとはいえ、ひとクラス上のエンジンという印象。回しても心地よい感じです。マイルドハイブリッドなので、若干モーターアシストもあるし、力は十分です。もっとも、試乗中、電動アシストがあることは忘れていました。
シフトレバー手前のスイッチで、モードをSPORTにすると、よりキビキビと走り、活発なキャラクターに変わって、クルマとしての印象がよくなりました。よく走る好ましいコンパクトカーという印象です。
高速には乗らず、街中など下道のみでしたが、乗り味は、総じて悪くありませんでした。日本向けに足回りを仕立てたそうです。タイヤは195/60R16。比較的、控えめなサイズです。とくにSUVだと、とかくスタイル重視で、太い大径のタイヤを履きがちですが、このようにタイヤハウスに対して余裕があり、最小回転半径も4.8mに抑えていて、Uターンが楽でした。
2WDのほうが1070kgと軽量で、心もちよく走りますが、1130kgの4WDのほうが、自然と振動などが目立たなくなり、上質感を感じました。4WDは日本専用の設定とのことです。
インド製ですが、たまたまインドで製造している、と考えるのが妥当なようで、日本がしっかり関与して、日本仕様も念入りに仕立てたようです。また逆に、日本車というよりも、ヨーロッパ車のようなデザインテイストとも言える気もします。ただ、ヨーロッパでは売っていないそうで、インド以外では日本とオーストラリアだけだそうです。
(レポート・写真:武田 隆)