毎年恒例のJAIA輸入車試乗会。ポルシェ・タイカン・ターボ・クロスツーリスモの印象です。
タイカンのクロスツーリスモ。ポルシェらしい顔つき、ポルシェらしい車体デザイン。前後ホイールアーチの樹脂製のプロテクターが、「クロス」である証。車高が低いですが、クロスオーバーSUV的モデルというわけです。ポルシェではこれをCUV（クロス・ユーティリティ・ビークル）といっています。
リアから見ると、ワゴンタイプボディなのがわかります。といっても、フェンダー張り出しにボリュームがあり、ポルシェらしくスポーティカーという趣き。
メーターパネルは液晶で、画面が湾曲しています。センターディスプレイは、ダッシュパネルの中にはめられて、すっきりしたデザイン。横長のパネルが横に2枚並ぶイメージ。センターコンソール上の空調操作なども液晶パネル。時計だけがアナログです。
前席は背面を見てもわかるようにしっかりしたつくりで、フィット感のあるシート。後席は着座位置がやや高めでも、ルーフが後方まで伸びていて、ガラスルーフのおかげもあってヘッドルームは十分。足元も広い。
乗った印象では、ボディ剛性、サスペンション剛性が盤石。当然足は締め上げられていますが、田舎道を流して走る程度で、本領発揮の高速域でなくても、硬さに不快感がなく、大きめのギャップを越えてもタイヤが暴れず、しなやかで優秀。
ドライブモードは「チャージ」「ノーマル」「スポーツ」「スポーツ・プラス」があり、ダンパーの硬さも変わりますが、車高も上げることができ、そこはCUVならでは。ただ、ふつうに走るかぎり、クロスオーバーSUVという感覚はほとんどない。
試乗車はタイカン・クロスツーリスモの中でも、ターボを名乗る高出力モデル。通常のタイカンや、本国にはさらに速いターボSがありますが、スタッフによると、もはやパワーの違いはわかんないですよとのこと。ちなみにローンチコントロール使用時は、このターボでは最大出力680ps、ターボSでは761psになります。
空いた広い道で、発進時に一瞬だけアクセルを床まで踏んでみましたが、尋常でない加速Gに、すぐアクセルを戻してしまった次第。以前に兄弟車のアウディRS e-tron GTで感じた加速をさらに上回るものでした。ローンチコントロールを使っていないので最大出力は625psで、0-100km/hが3.3秒という性能は出ていないと思いますが、最大トルクの860Nmは出ていたかもしれません。
EVの加速力は、モーターのでかいのを積めばすぐ出るもので、ほかにも速いクルマはありますが、ポルシェの高性能はただの加速力だけではなく、やはり畏怖の念を感じます。
もうひとつ印象的だったのは、音。スポーツプラスモードなどにすると、出力特性などが変わると同時に、音も劇的になります。ひとことでは説明しづらいですが、いかにもポルシェの高性能EVというような音。ヨーロッパの高級EVは音に凝っています。EVにとって音は大事で、音があるかないかで、運転する気持ちがかなり変わります。
（レポート・写真：武田 隆）