JAIA輸入車試乗会2022(シボレー・カマロSS)

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JAIA(日本自動車輸入組合)の主催する試乗会で、乗ったクルマをレポートします。今回はシボレー・カマロSS。

半世紀以上の歴史を持つスペシャルティカーのカマロ。今の時代ではもうスポーツカーという表現で収まりそうです。ただリアルスポーツ志向をどんどん極めるコルベットに比べれば、少年の心をくすぐるような、わかりやすいカッコよさを持っています。なにしろ「トランスフォーマー」のクルマです。

欧州車志向の見方をしたら、少し演出が多いようにも思えますが、純粋なスポーツカー心を感じさせます。リアから見ても、前からと同じような存在感があります。

コックピットのデザインは、肩ひじはらない感じですが、超高価格スポーツカーではないし、これがよいのだと思います。カマロの伝統的なところもあるようです。

走行モードで「トラック」を選ぶと、ステアリングはかなり重くなり、片手だと交差点で曲がるのも大変になるくらいです。

メーターパネル。トラック・モードを選んだときの表示。それを表す「Tr」の文字も見えますが、走行中でもわかりやすい表示です。あくまで古典的なデザインで、油圧や水温計などが液晶でも4連で並ぶのが泣かせます。

後席はこんな感じ。前席を前に出せば乗れるかもしれませんが、試しませんでした。たとえ座れないとしても、荷物置き場に使えるので、実用性は2シーター車とは大きな差があります。

御神体のエンジン。6.2リッターのV8で、OHVというのがまた泣かせます。ベーシックなLT RSのエンジンは直4の2リッターで、そちらが現代の世界標準だとすると、こちらのV8は、古代世界がここにだけ保存されているようなもの。

もちろん最新技術によるエンジンで、扱いやすいしフィーリングも洗練されています。ただ、目玉はその迫力で、瞬発力というか爆発力が大変なもの。アフターファイアなどの演出も万全で、トラック・モードで一瞬試しましたが、シフトアップ時には破裂音が出て、アクセルをはなすと雷鳴のようにバリバリと鳴ります。有料道路でしたが肝を冷やしました。

ほんの短い試乗でしたが、まさに100万ドルのエンジンという感じ。これで“車体込み”で729万円は安い。ちなみにスペックは333kW(453ps)/617Nm。2リッターでも202kW/400Nmあるので、本来6リッターも必要ないのですが、そういう問題ではないわけです。

足回りは、マグネティクライド付きなので、走行モードにより硬さが変わります。違いを確かめたく、トラック・モードで田舎道を、エンジン音で迷惑をかけないよう、ゆるゆると走ってみました。さすがに相当の硬さですが、ゆっくり走っているとツーリング・モードでも、それほど差はない感じです。しかもボディ剛性も高いので、大きな不快感はありません。

ただ人家のないところで、少し速度が乗ったカーブを通過し、ブレーキをぐっと踏んでみると、はっきり違いました。トラック・モードの場合はロールもしないし、ノーズダイブもほとんどなく、さすがサーキット走行用とうたうモードでした。

(レポート・写真:武田 隆)

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