JAIA輸入車試乗会2025(ポルシェ・タイカン・クロスツーリスモの印象)

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毎年恒例のJAIA輸入車試乗会。ポルシェ・タイカン・ターボ・クロスツーリスモの印象。名前はターボですが、BEVです。

クロスツーリスモはタイカンのクロスオーバーSUV的モデルになりますが、車高が低く、スポーツカーのシューティングブレークという趣。通常のタイカンよりも、ルーフが長く伸びたこちらのほうが、粋な雰囲気のようでもあります。

ブレーク(ワゴン)であっても、リアから見ても、911を御神体とするポルシェ流スタイルのデザインとなっています。高出力EVは東西に多数ありますが、さすがにポルシェ製はオーラが違います。全長は4970mm、全高は1430mm、全幅は1970mm。車重は2330kg。

2023年のJAIA試乗会でも乗っていますが、その後の小変更により、細部のデザインが少し変わっています。

タイヤはグッドイヤー・イーグルF1。フロントのサイズは265/35R21、リアは305/30R21。ブレーキはセラミック製のPCCBで、キャリパー込みのオプション価格は101万6000円。このクルマは車両価格が2306万円で、オプションが総額813万円。オプションだけで高級車が買えます。

コックピットのデザインもポルシェの伝統に従っており、モダンで機能的。超高価格車になっても、機能主義的な哲学なのがさすがポルシェと思います。

メーターパネルは液晶。今回は試しませんでしたが、当然いろいろ表示を変えられます。

センターモニターは横長。走行モードを画面で変更できます。SUVということなので「Gravel」モードがあり、これを選ぶと車高が上がります。試乗中は気付きませんでしたが、カーブ走行中に姿勢を変化させるなど、高度なアクティブサスペンション性能を持つようです。「ポルシェアクティブライド」がそれで、オプション価格は121万1000円。このほか、やはり気付きませんでしたが、オプションのリアアクスルステアもついていたようです。

前回も書きましたが、「Sport」と「Sport Plus」では走行中のサウンドの演出が入ります。EVらしく、かつ高出力車らしい未来的で迫力のあるサウンドが室内に流れます。SF映画のEVが走る場面などでよく聞かれる音です。今回新たに気づいたのは、停車してからも、ボォ〜という音が鳴り続けていること。エンジン車のアイドリングのように、機関がまだスタンバイ中なのを感じさせます。

走った印象としては、田舎道を低い速度で走っても、乗り心地が洗練されているというのがまずひとつ。高度なアクティブサスであれば、それも簡単なことかもしれませんが、その感触はやはり好ましいもので、機械的部分の洗練がそもそもないとできないことかとも思います。

広い道で一瞬だけフル加速しましたが、血の気が失せそうな加速レベルなのは承知しているので、コンマ数秒でアクセルから足を離します。この加速も、2024年2月のマイナーチェンジで、パフォーマンスが向上しているようです。前回試乗時は最大680psでしたが、今では最大884ps(通常707ps)。ローンチコントロールをオンにすると最大値が可能になりますが、そのときトルクは890Nm、0-100km/h加速は以前が3.3秒に対し、2.8秒になっています。

大きな性能向上ですが、もはや違いなど感知できない世界。ちなみにセダンのタイカン・ターボGTだと最大1034ps、0-100km/hが2.3秒。EVの性能向上は天井なしの世界で、4WDの電子制御が進化しているので車体は安定はしていますが、もはや現実世界とは無縁のレベル。ポルシェの真価はそこでないとも思いますが、速いEVがいとも簡単にというか次々と出てくるので、対抗上、仕方がないことなのでしょうか。

シートはリアも快適で、膝スペースも十分あります。全長・ホイールベースが長いうえにEVなので、そこは余裕だと思われます。気になったのは、このガラスのルーフ。妙な模様です。なにか仕掛けがありそうだと思ったら、「バリアブルライトトランスミッション」と称するもので、電気的操作で瞬時に透明と不透明を切り替え可能なものでした。ちなみにこの機能が付く「固定式パノラマルーフ」は、オプション価格75万6000円。

ポルシェの真髄である走りは今回はほとんど味わえませんでしたが、とにかくいろいろと驚く部分の多いクルマでした。ハイテク装備全部入りみたいな感じですが、それらがすべて“ポルシェ品質”になっているといえるようです。

(レポート・写真:武田 隆)

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