2022年のオートサロン。メーカー・ブースの展示で気になったものを、見ていきます。今回は三菱とダイハツのブース。
三菱のブースでは、軽のEVが展示。軽のEVはもっぱらパートナーの日産が注目されていたので、三菱が先に公開するとは少し意表をつかれました。外観はほぼeKクロスそのままです。
クルマの下側を見てみると、電池のようなものが見え、どうやら中身も本物のEVのよう。ほぼこのまま市販化されそうですが、少なくともこの車両はFWDのよう。軽EVはとにかく価格を抑えることが課題のはずで、価格の高くなる4WD仕様はないのかもしれません。
日産のほうは2年ほど前の2019年東京モーターショーで軽EVコンセプトのIMkを展示していました。あちらは市販車のデイズに似てはいたものの、専用ボディ。アリアから始まる新世代デザインのようなので、たぶん市販車もそれに沿った形のボディになるのでしょう。専用ボディパネルとなるとコストはそのぶん増えるので、三菱版のほうが価格が安くなったりするのでしょうか。
三菱はビジョン・ラリーアート・コンセプトというアウトランダーPHEVベースのコンセプトカーも展示。このたび復活したラリーアートの旗揚げ役で、絶えていたラリーアートの新しい世界観を、模索しながら構築するその第一弾と思ってよさそうです。三菱のデザイン部長が自ら指揮して開発したとのことでした。
いっぽうで、かつてのラリーアートを思い出させるアクセサリーパーツも開発されました。エクリプスクロスと、アウトランダーに、ラリーアートスタイルと銘打ったカスタマイズドカーが展示されており、これはコンプリートで新車が買えるし、パーツでも装着できるようです。モータースポーツ分野でおなじみだったブラック/グレー/レッドの配色や、マッドフラップが特徴です。
ダイハツのブースでは、昨年末発表のハイゼット/アトレーが展示の主役。オートサロンとしてはやや地味な、基本は商用のモデルですが、昨年はモーターショーもなかったので、こちらで展開されたのか。コンセプトカーとしては、アトレーのデッキバンをキャンピングカーに仕立てた車両が目立っていました。アトレーにも初めてデッキバンが設定されたようです。
こちらはノーマルのアトレー。新型ハイゼット/アトレーは、商用車ながらCVTを採用したのがニュース。かつてCVTの先駆者スバルがサンバーで一時採用したものの、すぐ撤廃された経緯があり、それがなければ軽商用車初のCVTとPRできたと、担当者が語っていました。技術の進歩でCVTもできがよくなり、フル積載でもCVTのほうがMTよりスムーズに走るのだそうです。
会場には歴代ハイゼットが展示されていました。ハイゼットは2020年に60周年を迎え、今回の新型発売でそれに沿った展示がなされていたという経緯です。
一番右にあった初代ハイゼットは、このようにボンネットタイプ。1960年発売で、この前までは3輪のミゼットだったわけです。ボンネットタイプなので運転室は快適ですが、当時は乗用車がまだ普及を始めたばかりの時期で、「ビジネスとレジャーを結ぶニューファミリーカー」がうたい文句だったようです。しかしもちろん荷室容積はキャブオーバータイプより劣り、次の2代目から変更されました。その後もスペース効率の改善を続け、最新型もボディ形状をより四角くして、スペースを広げているようです。
(レポート・写真:武田 隆)