フェアレディZの印象

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

だいぶ前に試乗したものですが、フェアレディZに乗った印象です。

試乗したのは6年前の2015年春のこと。グレードがなんであったかメモが見つからないのですが、6MT仕様でした。

先代モデルよりはロングノーズ傾向が強まり、ショートホイールベースとなっていますが、ことさらロングノーズには見えません。個人的にはそこが気に入りました。Zなのに、ですが‥。ルーフは前端から一直線に後方へ向けて落ち込んでいます。

Zはなんといっても初代のS30型がご神体です。昨年コンセプトモデルが発表された次期型では、Z32型などのモチーフも入っているようですが、初代へいっそう回帰しているかと感じました。最近はスポーツカーでもコンパクトカーでもEVでも、ルーツのデザインへの回帰が大盛況です。それからすると、このZ34型はモダンさが勝っていますが、それはそれで、ふつうに良い感じです。

室内は、外観と同じで、現代的スポーツカーを、奇をてらわずにデザインしたような印象。この当時特別モデルのニスモを除けば車両価格が300〜400万円台だったので、内容からすれば大バーゲン。この内装はもちろん高額なクルマには見えませんが、安っぽさはなく、十分よいと思った次第です。

荷物スペースはこんな感じ。それなりの荷物は積めそうです。

エンジンはVQ37の3.7リッターで、出力は336ps。今どき貴重な重厚感のあるV6で、エンジンの存在感があります。高速で低めの回転で流していると、スムーズこのうえない。いっぽう高回転まで回すとお祭りのような賑やかさ。可変バルブタイミングが切り替わるのか、途中でカムに乗る感じもありました。もっと快音のエンジンは多々あると思いますが、十二分の魅力を感じた次第です。

このクルマには、シフトチェンジ時に自動で回転を合わせるシンクロレブコントロールが付いています。最初それを知らずに乗って、ヒールアンドトーをやっていたところ、どうも回転が上がってしまう感じでうまくないと思っていたら、クルマが勝手にブリッピングをやっていたのでした。

これは、どうシフトしてもピタリと回転を合わせてきます。試しにいろいろやってみたところ、2→N→3のふつうのシフトアップなら、ふつうに回転が下がるように調整します。じゃあちょっとフェイントしてやろうと、2→N→2とやってみると、ワンッと吹かしてしっかり回転を合わせます。直線のあとのタイトコーナーみたいな状況で、5→2と飛ばして落としてみても、ウワンッと大きく吹かしてちゃんと合わせます。

運転に熱中してくると、足が自然にヒールアンドトーをやってしまうので、そういうときは解除していたほうがよいかもしれません。ずっとこれをつけっぱなしでやっていると、MTの微妙なシフト操作の習慣が変わってしまうかもしれません。

山間路も走りましたが、後輪駆動のスポーツカーとなると、ひとまず限界付近の特性を知りたいものですが、狭い道で多少がんばってみたところで、そうそう挙動が出るわけでもなく、運動不足の人間のほうがすぐ息切れ‥。Zはアメリカンで鷹揚、というイメージがあったのですが、最新のZは、スポーツカーとしてはやはり本格的のようです。ただ、限界が高いだけでなく、しっかりバランスがとれていて、乗りやすそうだと思った次第。

初代Zは、低価格でジャガーなどの欧州スポーツカーのようなクルマを実現したことで、爆発的にアメリカで売れました。ただ安いだけでなく、そのスタイリングもツボを心得ていて、人々の心をつかみました。

現代のZも、スポーツカーの最大公約数のようなところがあり、リアルスポーツでもありながらも、むずかしくなく乗れ、しかもあまり自己主張の押し売りがないところがよいと思います。なにより、乱立する超高額のスポーツカーよりずっと安い。ヘリテージを強調する次期型Zですが、Zらしい持ち味も維持しているとよいなと思う次第です。

(レポート・写真:武田 隆)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする