キャデラック・リリック発表、BEVを積極展開

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キャデラックは日本市場にBEVモデルの投入を始めました。BEVモデルは右ハンドルが用意されるのが注目です。

この3月に、新型BEVのリリックが日本初公開されました。縦長のヘッドランプほか、最新キャデラックらしいフロントマスク。1100万円の高級BEVモデルで、艶のある黒の塗装が印象的です。

全長約5m、ホイールベース3mの大きな車体で、高級車の風格を感じさせます。

リアまわりのデザインが特徴的。一見テールゲートが大型ガラスハッチのようですが、Cピラー後方の部分はボディ同色パネル。テールランプはフロントと同様に縦長ですが、1967年型エルドラードのテールランプのオマージュとのこと。

これが1967年型エルドラード。テール部分は見えませんが、キャデラックのDNAがこの頃から今まで受け継がれているのを感じることはできるかと思います。それにしても半世紀の間に、クルマの形が大きく変わったのを思い知らされます。

ダッシュボードには、33インチという大型の曲面ディスプレイ。ステアリングシステムは精緻な制御を行うトルクオーバーレイを導入し、正確なハンドリングを実現しているとのこと。フロントサスペンションはキャデラックとしては初のマルチリンクを採用。走りの良さが想像できます。

前後2モーターの4WDで、前後重量配分は50:50。システム最大出力は384kW(約522ps)、610Nm。

リリックの注目点は、右ハンドルであること。今後のBEVは、右ハンドル仕様がすべて用意されるとのことです。これは右ハンドル市場を、キャデラックが重視することからの展開のようです。イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、そして日本がそれに相当します。

GMとしてはひとあし早く、シボレー・コルベットで、史上初めて右ハンドル仕様を設定し、新規ユーザーが大幅に増えているそうです。

リリックは7月に予定されているデビューフェアに合わせてデリバリーが始まる見込みです。

リアシートは広さを感じさせます。ホイールベースが長いので、足元も余裕がありそうです。長いホイールベース間にバッテリーを敷き詰めており、その容量は95.7kWh。航続距離は510km。CHAdeMO対応で、日本市場へしっかり適応。

外観から想像できるとおり、リアの荷室も十分な広さがあります。容量799リッターで、後席をたためば1722リッターとなります。

会場にはもう1台、オプティックも展示されていました。リリック展示車と色も同じで一見似ていますが、全長4.8mとひとまわり小さいBEV。2026年に導入予定とのことです。

BEVではさらに、ビスティック(上写真)、リリックV(下写真、リリックの高出力モデル)も合わせて、今後日本に導入予定とのことです。

発表会には、米本国からグローバル・キャデラックのバイス・プレジデント、ジョン・ロス氏(右)と、GMアジア・パシフィックのプレジデント&マネージングディレクター、ヘクター・ヴィラレアル氏(中)もかけつけ、日本市場への力の入り方を感じさせました。左はGMジャパンの若松 格社長。

GMは2015年頃に、キャデラック・ブランドへの投資を強化する方針を打ち出したとのこと。世界のEV市場は最近落ち込んでいても、プレミアムEVは伸びると見ており、日本市場に対しても積極的姿勢のようです。キャデラックのBEVは76%が新規顧客だとのこと。

ブランドの強化といえば、キャデラックは2026年からF1への参戦が決まっています。最初はフェラーリ製パワーユニット搭載ですが、2026年からF1は新規定採用なので、当初は大混乱も予想されます。2029年からはGM自前のPUが搭載される見込み。BEVではないですが、電動の強度なハイブリッドです。F1への挑戦で、今後のキャデラックのさらなる活性化が予感されます。

また、すでに2023年から欧州のルマンをはじめとする耐久レースにも参戦しています。その前からアメリカでの実績があるわけですが、ルマン24時間では、フェラーリ、ポルシェ、トヨタら強豪と伍して、強さ、速さを見せています。

かつてキャデラックは、日本でもかなりの存在感がありました。ダイナミックさも身につけた21世紀のキャデラックが躍動することが期待されます。

(レポート・写真:武田 隆)

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