オートサロンで気になった展示を報告します。ダイハツ・ブースでは、コペン・プロトの進化版、それにミラ・イースのターボ搭載車の、細かいところを取材してきました。

ミラ・イースのターボ仕様。ダイハツのワークス・モータースポーツ部隊というべきD-SPORT Racingによるチューニングとされています。ターボのほか、5速MTの採用が最大の特徴ですが、さらにフロントLSD、ロールバー、専用ECUなどが標準装備とされ、競技ベース車両として販売されるようです。

競技ベース車両なので、各パーツは競技参戦のために交換するのが前提で、そのためシートをはじめ、ほとんどがノーマルと同じ素の状態になっています。競技ベース車の基本です。

これは2025年オートサロンに展示されていた車両。このときはボディのフロント周りに冷却のための風穴が多く開けられていたのが目立ちました。

ところが今回の車両は、ベースの標準ミラ・イースとまったく同じボディです。この点を開発者に聞いてみたところ、D-SPORTのパーツに交換して冷却用の開口部を設定することができるようです。ただボディワークの変更は、出場イベントによって規則が異なり、たとえば全日本ラリーではダメで、D-SPORT & DAIHATSUのチャレンジカップではOKとのこと。まあチャレンジカップぐらいであれば、ノーマルのボディでも大丈夫でしょう、とのことでした。勝手な推論ですが、まずこの車両が市販されたのち、エボリューションモデルが追加されたらおもしろそうです。

こちらはK-OPEN ランニングプロト2。昨年秋のモビリティショーで展示されていたコペンのプロトタイプの進化版です。ボンネットが開いていますが、開けたのではなく、ボンネットをつくるのが間に合わなかったのだそうです。

というのも、このプロト2は、ホイールベースを延長して、ロングノーズ化しているので、ボンネット形状も当然異なりますが、モビリティショーから2か月しかたっていないので、まだ開発途中。しかし展示して、クルマ好きの生の声を聞きたいということで、製作中にも関わらず出展したとのことです。

これはモビリティショーでのプロト1。基本的にボディは現行コペンのままでした。ただ、中身は別物で、FR化されていたのが目玉です。

そしてこれが、そのとき横に展示されていたK-OPENのデザインスタディ。ロングノーズボディですが、今回のプロト2は、このプロポーションに近づいたといえそうです。

ホイールベースが55mm延長されています。リア部分では少し縮めているとのことで、フロント部分はかなり伸ばしているようです。その伸ばした部分の跡がまだ残っています。写真の「DAIHATSU」の「T」の辺りです。コペンはボディ外板が着せ替え可能な樹脂ボディなので、こういったボディ形状のアレンジが楽にできたそうです。

ホイールベース延長の理由は、FRの縦置きエンジンの搭載位置を後方寄りにして、フロントミドシップを徹底化するため。見てのとおりです。ちなみに補機類がついていないのは、展示でわかりやすくするためではなく、やはり単純に補機をつけるのが間に合わなかったからとのこと。

エンジンはプロト1が67度傾けていたのが、このプロト2では40度にまで起こされています。プラグ交換の整備性のためと、ターボの大型化への対応のためとのこと。そのかわり起こしたヘッドの下にターボや触媒を置くことで、重心は低く保たれているようです。エンジンの前側にステアリングギアボックスがはっきり見えていますが、ステアリングロッドは前輪ハブの前側につくいわゆる「前引き」になっています。ちなみに幅広の水平対向エンジンを積むGR86(スバルBRZ)は、ステアリングギアボックスをエンジンの後方に置いて、ステアリングロッドは「後ろ引き」で、その前にエンジンを置いているので、このコペン・プロト2のほうが、よりいっそうのフロントミドシップだといえそうです。重量配分は86の場合はやや前寄りですが、このコペン・プロトは50:50くらいになるのかもしれません。

ちなみにこれが、プロト1のエンジンルーム。

ホイールベースを延ばしたことで、ペダル周りやダッシュボードの配置などは、より改善されてスポーツカー的になっているようです。現行コペンは、2シータースポーツカーの外観ながら、乗るとFFハッチバック車が元であることを感じさせますが、このコペンプロト2では、FRスポーツカーらしい着座感覚なのではないかと想像します。

リアはサスペンションがストラットに変更されています。走り重視であれば理想はダブルウィッシュボーンということになりますが、もろもろ考えてストラットを選んだようで、ダブルウィッシュボーンは重くなるのだそうです。またコストやスペース面でもダブルウィッシュボーンは軽自動車には適さないといえるかもしれません。ストラットはアライメント調整がしやすいし、ストロークも長くとれるとのこと。そもそもダブルウィッシュボーンには及ばなくても、ストラットは十分に優れた形式といえ、あのポルシェも911ではフロント、ボクスターでは前後に使っています。

リアサスペンションが見やすいように、車体下に鏡が置かれていました。レーシングカーのようないかにも長いアーム類が見えます。プロト2では開発がオールダイハツとなって、クルマづくりの体制が強化されているのだそうです。
(レポート・写真:武田 隆)

