ジャパンモビリティショー2025

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ジャパンモビリティショー2025

会場で目についた車両の展示をいくつか紹介します。

レクサスの6輪車、LSコンセプト。ミニバンの後輪を2軸にすることでタイヤの径を小さくし、3列目シート部分の広いフロアを実現したものです。レクサスは、センチュリーのブランドを上に新しく創設することで、革新的な新しいアイデアを提案するブランドであることを強調していくようです。この車両は真剣に開発しているということで、将来の市販化もあるのかもしれませんが、市場のニーズに対して、ゼロベースの技術で、新型車を開発して提供するというのは、トヨタのひとつの伝統であるように思います。過去には、セルシオ(ミドシップミニバン)、ターセル/コルサ(縦置きエンジンのFFコンパクトカー)などもありました。

3列目席が、一人前のゆったりしたスペースなのは、フルサイズミニバンでも、従来にはほぼなかったのではないかと思います。内装は竹などのサステナブルな素材などを使っています。竹素材は、レクサスが積極的に使おうとしているもので、ほかのコンセプトカーにも使われています。

今回いちばんおもしろいと思ったのは、トヨタのIMVオリジン。アフリカの農村部の人のためのクルマとして開発しているといいます。アフリカでは一部の富裕層を除くと、自動車を持つことはできず、オートバイに荷物を満載したりして使用しているとのことで、そういった人たちが買えるように、オートバイとクルマの中間くらいの価格で、なおかつ整備がしやすく、耐久性が高まるよう、極力シンプルな機構でつくっています。低コストと耐久性のために、トヨタの既存のパーツも極力流用しています。

シンプルな機構として、ラダーフレームのフロア下にエンジンを置くFR方式の採用が有力で、EVの可能性もあるということですが、この車両はデザインの提案的なものなので、パワーユニットは搭載されていません。目下、これの原型のようなテスト車をアフリカで実際に走らせているそうです。

シンプルな機構は、現地での組み立て生産も想定されており、総合的に「アフリカ市場」を育てていくことで、トヨタにとっての新たな市場開拓も視野に入れているとのこと。慈善事業ではないので、ビジネスとしてしっかり考えられているようです。トヨタは、センチュリーやレクサスで、華々しいショーカーを多数展示していましたが、こういうクルマも真剣に計画していることに、世界トップメーカーの懐の深さを感じました。

これはスズキ・ブースの展示で、アメリカのグライドウェイズ社との協業で開発している、自動運転車両です。専用軌道を走る一種の都市交通システムで、基本的には道路さえあれば、自動運転で走行できます。ただしもちろん専用軌道なので、モノレールとタクシーの中間のような存在です。アメリカではすでに複数受注されており、シリコンバレーのサンノゼ市などで実用化に向かっています。スズキは車両製作のノウハウを持つので、まだどうなるかわからないとのことでしたが、スズキが生産を担当する可能性があるようです。

専用軌道での自動運転は、センサーの類も比較的シンプルでよく、現実性が高いといえます。近年スズキは、国内外のスタートアップ各社との協業で、各種の自動走行車両を製作しており、JMSではスズキ・ブースのほか、Tokyo Future Tour 2035のコーナーでも、車両が複数展示されていました。

自動運転車両は、自動車メーカーでは、あまり多くなかったですが、いすゞが、BEVのフルフラットバスのエルガEVをベースにした、自動運転車を展示していました。近々、神奈川県の平塚で、お客を乗せての運行を始めるとのことです。ちょっとした驚きですが、アメリカなど海外では自動運転は始まっているので、日本でもこれから増えていきそうです。もちろん非常用に乗員が常に乗るようですが、今後2027年度には大型トラックも、高速道路の一部で実用化が始まる予定のようです。

このバスには、LiDAR、カメラ、ミリ波レーダーが計37個搭載されていますが、これらを使った自動運転システムについては、Tear IVという企業が担当しています。Tear IVは日本の企業で、この分野では広く展開しており、今回のJMSでも、Tear IVによる自動運転車両がいろいろなブースで多数展示されていました。

最後は、自動運転とは対極的な車両。スバルブースに展示されていた、その名も「スバルGLファミリー・ハックスター」。スバルオブアメリカで企画されたもので、3代目レオーネがベースですが、アメリカではスバルGLワゴンとして売られていたので、このような「車名」になったようです。EJ型エンジンの2.3リッターを搭載し、最大出力は862psとされています。

この車両は、「ジムカーナ2022」で走ったものです。かつてケン・ブロックが一世を風靡した「ジムカーナシリーズ」を、ケン・ブロック亡きあと、近年はトラビス・パストラーナが実践。パストラーナは、フリースタイルモトクロス出身のスーパースターで、“クレージー”なことではケン・ブロックを上回る印象。マイアミで撮られた「ジムカーナ2022」の映像は必見です。

(レポート・写真:武田 隆)

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