東京オートサロン2024で気になった展示。今回は、HKSのe-ハイエース。
ハイエースの電動化コンバージョンですが、電動化だけでなくカーボンニュートラル燃料も想定するという欲ばりな仕様で、名称は「e-ハイエース・マルチエナジー・コンセプト」。
車体下に置かれた鏡をとおして見た、フロア下の様子。左側がフロント。エンジン(黒いカバーに隠れて見えない)は元と同じ位置にあり、その後方(写真右側)のトランスミッション位置にモーター/ジェネレーターが組み込まれハイブリッド化されています。写真右手前の黒い箱がバッテリー。バッテリーの横に並ぶのが燃料タンク。
上の写真には写っていませんでしたが、最後尾にCNGなど用のタンクを持ちます。排気管はマフラーを通す場所がそのタンクなどでふさがれるためサイドから出しています。音の問題などはこれから検証とのこと。
このe-ハイエースの特徴は、バッテリー容量が大きくEV航続距離が長いので、燃料タンクは小さめであり、レンジエクステンダーEV的な性格であるとのこと。
エンジンは元のものほぼそのままで、バイフューエル化に必要な改造のみしています。燃料としてはCNGやLPGなどの気体燃料と、カーボンニュートラルの液体燃料の両方に対応するとのことで、まさにマルチ・エナジー。
HKSは、2022年からいすゞ・エルフのバッテリー交換式EVを、実証実験でファミリーマートの配送用に提供しており、そのバッテリーパックをこのe-ハイエースにも流用しています。バッテリーのセルはバッテリーメーカーのもので、HKSがパック化。
このe-ハイエース、上記の走行関係のシステムをすべて床下に収めるので、フロアは元のハイエースと変わらないのが特徴。車内に置かれていた、黒いペール缶が気になりました。
これは、「CNRフューエル」と称するカーボンニュートラル燃料。まだ開発段階ですが、HKSがレース用ガソリンで培ってきた技術を活かして独自開発しています。今後のニーズに対応したもので、レース業界、チューニング業界も、脱炭素がよりいっそう求められているようです。
e-ハイエースはまだ開発が始まったばかりとのことですが、今後の展開に注目です。
(レポート・写真:武田 隆)