クルマのメカニズム

自動車用エンジンの冷却技術

著 者:橋本 武夫

本体2,200円+税

A5判/173頁/978-4-87687-384-5/2021年6月発売

どんなにエンジンの改善が進み、新システムが採用されても、使用される地域や、高速走行、渋滞走行等のさまざまな走行条件において、それらを適温に保ち、支障が出ない冷却システムが必要不可欠である。本書では、自動車メーカーで一貫して車両冷却・熱害実験に従事してきた著者が、自動車用エンジンの冷却性能に絞って、実例を示しながらわかりやすく説明する。

目 次

はじめに
序論
冷却性能要因図
第1章 エンジンの熱発生源
1.1 冷却水放熱量(冷却水に放出される熱量)
1.1.1 冷却水温の影響
1.1.2 空燃比(混合比)の影響
1.1.3 吸入空気温の影響
1.1.4 潤滑油温の影響
1.1.5 循環水量の影響
1.1.6 不凍液の影響
1.1.7 ターボチャージャの影響
1.1.8 点火時期の影響
1.1.9 EGR還流率の影響
1.1.10 エンジン補機の影響
(1)クーラコンプレッサ
(2)パワーステアリング
(3)エンジン冷却ファン
(4)オートマチックトランスミッション(AT)のオイルクーラ
1.1.11 エンジン表面からの対流放熱量について
1.1.12 油水温と冷却水放熱量の関係
1.1.13 冷却水放熱量試験方法
(1)最も簡単な方法
(2)リカルド法その1
(3)リカルド法その2(加圧型)
1.1.14 エンジン表面からの対流放熱量の測定
1.1.15 電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)
(1)EVについて
(2)FCVについて
1.1.16 冷却水放熱量まとめ
1.2 潤滑油放熱量(潤滑油に放出される熱量)
1.2.1 冷却水温の影響
1.2.2 給油量の影響
1.2.3 メタルクリアランスの影響
1.2.4 エンジン回転数の影響
1.2.5 オイルパン油量の影響
1.2.6 ターボチャージャの影響
1.2.7 ピストンオイルジェット
1.2.8 オイルクーラ
(1)水冷式
(2)空冷式
1.2.9 その他の部品
(1)メタルの種類
(2)オイルポンプ
1.2.10 潤滑油放熱量の測定法
1.2.11 潤滑油放熱量まとめ

第2章 冷却メカニズム
2.1 冷却系部品
2.1.1 ウォータポンプ
(1)ウォータポンプの特性
(2)ウォータポンプ性能に影響する要因
(3)キャビテーション
(4)冷却水路系水抵抗の推定
(5)冷却系の圧力について
(6)ベーンシール
(7)単体試験法
(8)ウォータポンプまとめ
2.1.2 冷却ファン
(1)ファン単体性能
(2)車載時の冷却ファン性能
(3)冷却ファンまとめ
2.1.3 ラジエータ
(1)ラジエータの種類
(2)ラジエータの材質と板厚
(3)ラジエータ性能に影響する本体要因
(4)ラジエータ性能に影響する外的要因
(5)計測・試験法
(6)ラジエータまとめ
2.1.4 サーモスタット
(1)サーモスタットの基本構造
(2)サーモエレメントの構造
(3)サーモスタットの種類
(4)サーモスタットの性能
(5)サーモスタットまとめ
2.2 通気率
2.2.1 フロントエンドの影響
(1)フロントグリル開口率の影響
(2)バンパ形状の影響
(3)エンジンフード(ボンネット)先端の影響
(4)エプロン形状の影響
(5)ラジエータ空気抵抗の影響
(6)キャブオーバ車の場合
2.2.2 エンジンルームの影響
(1)エンジン容積比の影響
(2)ラジエータ後面とエンジンとの間隙の影響
(3)エンジンルーム内の空気の抜け方
(4)ラジエータコアサポートパネル通気孔の影響
2.2.3 通気率まとめ

第3章 熱発生源に影響する要素
3.1 車両諸元
3.1.1 走行抵抗の影響
3.1.2 トランスミッション形式の影響
3.1.3 最終減速比の影響
3.2 使用環境条件
3.2.1 気象条件
(1)外気温
(2)湿度
(3)日射
(4)路面輻射
(5)気圧
(6)外気風
3.2.2 その他の影響
(1)登坂路の影響
(2)慣らし運転の影響
(3)前方走行車両の影響
(4)運転条件
3.3 熱発生源に影響する要素まとめ

第4章 オーバヒートとその対策の変遷
4.1 オーバヒートとは.
4.2 1960年代のオーバヒート
4.3 不凍液によるオーバヒート
4.4 通気率低下によるオーバヒート
4.5 レース用エンジンのオーバヒート
4.6 その他のオーバヒート
4.7 オーバヒートを未然に防ぐための手法
4.7.1 天皇御料車の冷却について
4.7.2 プロトタイプレーシングマシン
4.7.3 冷却風の出口風の流れを変える

参考文献
索引