クルマのメカニズム

ハイブリッド車の技術とその仕組み
多様化する新時代のシステム

著 者:飯塚昭三

本体2,000円+税

A5判/208頁/978-4-87687-379-1/2020年11月発売

最新動向と技術の全貌を多くの図版を用いて詳述する、他に類書のないハイブリッド解説書の決定版!

ハイブリッドと一口に言っても、その方式は各メーカーの持つ技術や用途に応じて、多岐に及ぶようになってきた。本書では日本メーカーはもちろん、海外のメーカーも含めたハイブリッドシステムの最新動向に目を配るとともに、モーター、インバーター、バッテリーなど主要構成部品と基本的原理についても分かりやすく解説する。最終章ではモータースポーツにおけるハイブリッドの動向も詳述。2014年刊行の同書を大幅に加筆した増補二訂版。

目 次
まえがき

序 章 排出ガス規制とそれへの対応
ますます厳しくなる排出ガス規制/排出ガス規制に対応する技術/ディーゼル車への逆風/燃費規制とCO2規制はイコール/企業平均燃費による「CAFE」規制/燃費計測モードの世界統一化で厳しささらに/CAFE燃費規制への対応策/タンクtoホイールとウェルtoホイール/ライフサイクルアセスメント(LCA)とは/期待されるハイブリッド車

第1章 クルマの究極の姿とハイブリッド車
有望な次世代車はなにか
次世代車はモーターで走る/日本と欧米の対応の違い
ハイブリッド車とは
2つの動力源を使い分ける

第2章 ハイブリッド車の特徴
モーターの特性
ゼロ回転から最高トルクを発生
ハイブリッドカーはなぜ燃費がよいのか
エンジンとモーターのシナジー(相乗)効果/高効率に使えるエンジン/エネルギー回生は当たり前
モーターの大きさと数の意味
小モーターでも効果は大/大モーターは多彩な制御で高効率が可能
電池の大きさの意味
回生電力を捨てる

第3章 ハイブリッドカー誕生の技術的背景
ニッケル水素電池と交流モーターの登場

第4章 ハイブリッド車の歴史
日野のハイブリッドトラック・バス開発
動力計の発想から生まれたHEV/リターダーをモーターに置き換える
乗用車用ハイブリッド車
認識を改めた欧米メーカー/日本が先行するハイブリッドカー/シボレーボルトがPHEVで追撃
プラグインHEV(PHEV)の可能性
一時代を担うプラグインHEV/PHEV(プラグインハイブリッド車)の大きな意義/PHEVの燃費計算

第5章 ハイブリッドシステムの種類と特徴
ハイブリッドシステムの種類
シリーズハイブリッド―エンジンは発電に専念/パラレルハイブリッド―エンジンをモーターがアシスト/シリーズパラレルハイブリッド(コンバインドハイブリッド/スプリットハイブリッド)―多彩な組み合わせの制御が可能
機構によるハイブリッドの分類
モーターを挟む/独特の機構トヨタのTHS/これ以外の独自方式
その他のハイブリッドシステム
ストロングハイブリッド、フルハイブリッド/マイルドハイブリッド/マイクロハイブリッド/Sハイブリッド(スマートシンプルハイブリッド)/e-4WD

第6章 ハイブリッドシステムの構成パーツ
モーターの基礎知識
モーターが回る基本原理
磁極の吸引と反発を利用/モーターが回るもうひとつの原理/磁束のゆがみを戻そうとする力が働く/左手がモーター、右手が発電機/リラクタンストルクとは
モーターの基本構造
電磁石と永久磁石、その組み合わせ
モーターの特性
右下がりが基本の性能曲線/回転数は周波数で決まる/駆動用として主流のモーター/磁石をローターの中に埋め込む/突極がリラクタンストルクを生む
インバーター等
インバーターはなぜ必要か/コンバーターはなぜ必要か/モーターの電圧制御
ハイブリッド用エンジン
高効率エンジンの技術傾向/エンジン効率の基礎知識/アトキンソンサイクルエンジン(ミラーサイクル)/フリクションを減らす数々の手立て/トランスミッション
電池(バッテリー)
電池の基礎知識
電池の原理/エネルギー密度と出力密度/1次電池と2次電池/キャパシターの基礎知識

第7章 メーカー別ハイブリッドシステム
日本はハイブリッドを要に小型からEV化/欧州で普及拡大する48Vマイルドハイブリッド/米国連邦規
制と加州のZEV規制/EVに舵を切ったものの…中国は
■トヨタ
THSⅡ(トヨタハイブリッドシステムⅡ)
量産ハイブリッド車の誕生と進化/エンジン/モーター/発電機/バッテリー/動力分割機構/動力分割機構の動作/パワーコントロールユニット/回生ブレーキ/フットブレーキとの協調/システム制御/最高の効率で走行するために
14代目クラウンのハイブリッドシステム
FR用THSの概要/エンジン自体の改良 ◆その後のトヨタのHEV

【詳解:THS の動力分割と変速作用について】

■ホンダ
IMA
簡易ながら効果大きい1モーター方式
i-DCD
デュアルクラッチトランスミッションに組み込んだ独自の1モーター方式/i-DCDの機構、重要な役割演ずる1つのプラネタリーギヤ/エンジン、バルブ休止機能を持たせた理由
i-MMD
世界最高効率を標榜/i-MMDの特徴・3つの走行モードを持つ/i-MMDの機構・基本はシリーズハイブリッドだが、他の走行パターンも可能/燃費カムでアトキンソンサイクルを達成。切り替えで高出力も発揮/プラグインハイブリッド/三菱アウトランダーPHEVとの比較
SH-AWD
3モーターといっても「1+2」 ◆その後のホンダのHEV

■日産
FF、FR用ハイブリッドシステム
小型車ではEVに注力するもHEVもラインナップ/FR用ハイブリッドシステム/FF用ハイブリッドシステム ◆日産のその後のHEV

■三菱
アウトランダーPHEV
EVに近いハイブリッド車として登場/概要―2モーター方式を突き詰める/ハイブリッド機構/走行モード ◆三菱のその後のHEV

■SUBARU
スバルXV HYBRID
走りを重視した、スバル独自開発のハイブリッド/システム構成 ◆その後のスバルのHEV

■その他のメーカー
スズキ
鉛バッテリーの簡易HEV/スイフト レンジ・エクステンダー/スズキの簡易ハイブリッド ◆スズキのその後のHEV
マツダ
HEVへの対応は? ◆マツダのその後のHEV
ダイハツ
現状HEVはトヨタのOEMのみ
BMW
3社共同で重量級のハイブリッド開発/BMWアクティブハイブリッド/BMW i/2モード・アクティブ・トランスミッション/主な走行パターン/動力の流れ ◆その後のBMWのHEV
フォルクスワーゲン
TSIエンジン+1モーターの組み合わせを拡大 ◆その後のVWのHEV
アウディ
ZF社との共同開発のシステム ◆その後のアウディのHEV
ダイムラー
1モーター2クラッチを大型車から ◆その後のダイムラーのHEV
ゼネラルモータース
シボレーボルト/メカニズム/作動モード/電池、モーター、エンジン ◆その後のGMのHEV
フォード
日本製の機構を使ったエスケープ ◆その後のフォードのHEV
プジョー
世界初のディーゼルハイブリッド ◆その後のプジョーのHEV
ボルボ
ディーゼルハイブリッドのプラグイン ◆その後のボルボのHEV
その他
◆その後のその他のHEV

第8章 モータースポーツとHEV
どのようなレースにハイブリッド車は参加しているか
最初のレーシングハイブリッド車は北海道で/早くも本格的レーシングハイブリッド・スープラHV-R
WECにおけるハイブリッドマシン
4輪駆動のアウディ、後輪駆動のトヨタ/モーター性能を生かす後輪回生/協調回生技術にたけているトヨタ/回生エネルギーの蓄え方の違い/2014年、規則改定で4輪回生・アシストのTS040登場 ◆トヨタのWECマシンのその後
アウディの2014マシンは空力と軽量化が主で基本は変わらず ◆アウディのWECマシンのその後
ポルシェ919ハイブリッドの参戦
GT300レースにおけるハイブリッドマシン
GT300マシンは市販車とは全く異なる怪物/モーターがギヤボックスの脇に付く「MUGEN CR-Z GT」/動力分割装置と発電機を外したプリウスGT
F1におけるハイブリッドシステムの搭載
KERSからERSへ。その意味するところ

参考文献