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フォルクスワーゲン試乗(ゴルフGTIクラブスポーツなど)

フォルクスワーゲン試乗の続き。ゴルフGTIクラブスポーツ(ストリートエディション)、パサートGTEヴァリアント、ゴルフ・トゥーランR-Lineについて報告します。

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これはゴルフ・トゥーランR-Line。タイヤは225/45R18。外観は細部がR-Lineならではの仕立てで、オレンジのカラーリングもあって、なかなかアクティブな印象です。最近のフォルクスワーゲンのシャープに掘られたプレスラインのボディに映える色と感じます。クロームのモール類もよく合っている印象。
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直前に乗ったのがGTIクラブスポーツだったこともあり、やはりミニバンの大柄な感じを受け、コーナリングでの動きもゆったりしています。ただそれは比較してのことであって、このクルマのリズムに慣れてくれば、実に気持ちよくスムーズに走れる感じでした。洗練されているのはトゥーランのベースモデルと変わらず。走れる上質なミニバンとしてよい印象でした。
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ゴルフGTIクラブスポーツ・ストリートエディション。外観はふつうのGTIよりも、いろいろなものが追加されています。エアロパーツが付いて少し派手ですが、それでもさすがにシックだとも思います。
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シックと思うのは、たとえばこの「クラブスポーツ」のロゴの入り方。モダンです。比較が適当かどうかですが、たとえば日産のニスモバージョンなどもエアロパーツを付けて、ワンポイントのアクセントを入れていますが、このクラブスポーツはもっと大人の仕立て方という印象です。同じドイツでもメルセデスのAクラスあたりのAMGだと、もう少しややガンダムっぽい感じなので、ゴルフはやはり抑えめな仕立てが哲学なのかと思います。
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シートはより硬派なトラックエディションとは違い、ヘッドレスト一体型のレカロではありませんが、サポートは充実しています。通常のGTIでおなじみのチェック柄をアレンジしたようなストライプ柄で、スポーツタイプ車としてはこのほうが気分に合うかなという気がします。2本のストライプの間に施されたハニカム柄も、GTI特有の意匠。
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ステアリングはやや太めのバックスキンで、握り心地は良好でした。メーターは280km/hまでふってあります。日本ではほとんど使えない数字が並んでいることになりますが、クルマに対する想像力だけはふくらみます。ゴルフの計器類はもともと機能的デザインで、精緻ではありますが、殺風景ともいえるものです。GTIではそこに赤が加わり、このクルマはふつうのGTIよりもさらに赤が増えて、GTカーとしてはよい感じ。
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エンジン出力は265ps。しかるべきモードを選んでフルスロットルにすると、シフトアップ時にビビッ、ババッとアフターファイアの音がします。通常エンジン音は車内では比較的抑えた音量で、聞こえてくる音は、高精度に空気をぎゅっと圧縮しているのが伝わるような感じです。力がみなぎっている雰囲気があり、実際加速のトルクも相当なもの。
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ステアリングの手応えは意外に軽めに感じました。日本の交通の速度域でハンドリング云々を言おうとしても、ウサイン・ボルトの散歩をあれこれ言うようなものでしょうか。そういう意味では、また比較が適当かどうかさておきですが、たとえばほぼ日本向けモデルといってよさそうな日産ノートのニスモバージョンなどのほうが、日本の公道では、すぐに本来の領域を体験できそうではあります。
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そんなこんなで、このクルマには場違いな後席の印象を述べると、意外に乗り心地が悪くない印象でした。トラックエディションだともっと硬いはずですが、逆にノーマルのGTIはもっとソフトだったかと考えると、ちょっと驚きです。
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ちなみにこのクルマはFFです。発進加速で期せずしてタイヤが空転することはありましたが、おそらくデバイスも効いてステアリングの乱れなどはありませんでした。
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このくらいの馬力のFF車は珍しくなくなっているし、実際試したわけではありませんが、クルマの印象からすると、おそらく洗練されたまま高速域までこなしていきそうです。
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ここまでのパワーは日本では使いきれない、とは思いますが、この硬派に徹した仕立ての流儀にしびれるいっぽう、ドイツのフォルクスワーゲンらしい、そしてゴルフらしい理知的な感じがしっかり保たれているところが、このクラブスポーツ・ストリートエディションの魅力です。
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実用性もふつうのゴルフとほぼ変わらず、日頃性能をもてあますことになるとしても、ともに暮らすためのハードルは高くないクルマだと思った次第です。ただしもちろん限定発売のモデルであり、ゴルフ自体、その後つい先ごろ5月に日本でもマイナーチェンジモデルが導入されています。
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これはパサートGTEヴァリアント。プラグインハイブリッドです。発進などモーターのみでこなすと、とうぜん非常に静かでスムーズ。Eモードを選んで加速するとかなり長いことモーター走行が続きました。とはいえエンジン音も静かです。エンジンがかかると液晶のメーターが初めてタコメーターに切り替わりますが、それによって初めてエンジンがかかったことがわかるというくらい、車内は基本的に静かで遮音が効いています。
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パサートで注目はこの内装。最近のクルマは、水平線基調のダッシュボードデザインがトレンドですが、パサートはその嚆矢ではないかと思います。このクルマは内装が白で、よけいに清潔さ、優美さが目立ちます。水平基調のデザインは室内の広さを強調しますが、実際にこのクルマは広いです。乗り心地は、このGTEは「GT」を名乗るだけあり、少し硬めです。随所で絹のような滑らかさも感じましたが、それを味わうには通常のパサートがさらによいかと思います。
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(レポート・写真:武田 隆)

リポーターについて

武田 隆(たけだ・たかし)

1966年東京生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科中退。出版社アルバイトなどを経て、自動車を主体にしたフリーライターとして活動。モンテカルロラリーなどの国内外モータースポーツを多く取材し、「自動車アーカイヴ・シリーズ」(二玄社)の「80年代フランス車篇」などの本文執筆も担当した。現在は世界のクルマの文明史、技術史、デザイン史を主要なテーマにしている。著書に『水平対向エンジン車の系譜』 『世界と日本のFF車の歴史』『フォルクスワーゲン ゴルフ そのルーツと変遷』『シトロエンの一世紀 革新性の追求』(いずれもグランプリ出版)がある。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。

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