11月20日にお台場旧車天国2016が開催されました。当日は天気もよく、人もクルマも、大賑わいとなっていました。
会場は、船の科学館駅前の広場。"国産の旧車"が比較的多い印象ではありますが、外国車も多く、写真で見えるように、ダンプカーやトラックのような車種も展示されて、なかなか楽しいイベントです。
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プリンス・モータリスト・クラブによる、プリンスのマイラー/クリッパーの生産50年を記念した展示。これはマイラー。スカイラインなど当時のプリンス乗用車を彷彿とさせるヘッドランプ形状です。こういう商用車は、日頃写真などでも見る機会が少ないので、新鮮です。マイラーは、ノンスリップデフ(いわゆるLSD)を備えることから、「ノンスリップ マイラー」というのが宣伝文句だったようです。
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こちらはクリッパー。これは2代目で、上記マイラーよりは世代が新しく、丸さがテーマのシンプルでモダンなデザインが印象的です。一番右が初代モデルですが、2代目のほうが明快なデザインで、傑作といってよいように思います。
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商用車の紹介が、続きますが・・。これはトヨタのマスターライン。トヨペットと呼ぶべきでしょうか。なかなか洗練されたデザインで、商用車にしておくのはもったいない感じです。生産台数が少なかったのか、あまり知られていない車種と思います。荷台には古い2輪車が大量に積まれていました。
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もうひとつ商用車。会場の隅にとまっていたニッサン・キャブスター。名前がキャブスターだとは今回初めて知りました。ついこのあいだまで、路上でふつうにあった、といいたいぐらいの雰囲気ですが、初登場は1960年代なので、意外に古い時代のクルマのようです。「なんの変哲もない」商用車の典型のようですが、今日ここで出会うとぐっとくるものがありました。
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一転してこちらは、ロータスの一団。直線基調のシンプルなデザインのクルマが、きれいに一直線に並べられています。手前から6台ぐらいがエスプリの初代モデルのようですが、ジウジアーロのデザインは、まさに折り紙細工というべき雰囲気で、前衛的。ボンドカーにはぴったりという感じです。
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エスプリと並んで「直線基調の二大巨頭(?)」という感じのアストンマーティン・ラゴンダ。実に特別感のあるクルマです。
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これはフォード・ブロンコの初代モデル。(かつての)ビッグスリーのSUVとしては元祖的存在のクルマです。初登場は1965年ですが、これは1970年代中盤の末期のモデルで、内装なども「1970年代的」な雰囲気を醸していました。きれいにレストアされて、オーナーは楽しんでいるようでした。
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ブロンコと初登場年が1年ちがい(1966年)の、ダイハツ・フェロー。四角基調のデザインが同時代を感じさせますが、なかなか立派なスタイリングです。夕日を浴びて輝いていました。もちろん軽自動車ですが、スペックも立派で、FRの4輪独立懸架です。しかも前がダブルウィッシュボーンで、リアがスウィングアクスル。1930年代にメルセデス・ベンツが採用を始めた組み合せです。
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これは、マツダのルーチェ・ロータリークーペ。ちょっと珍しいクルマです。初期のロータリー搭載モデルのひとつで、駆動はFWD。フラッグシップとなるべくつくられたモデルで、前輪駆動なのは先進性を打ち出すためだったかと思われます。当時前輪駆動はまだ珍しく、技術も成熟していなかった時代でした。クルマを見に来ていた別の個体のオーナーの方の話では、前後重量配分が極端に前寄りなのだそうです。エンジンはほかのロータリーとはハウジング径が異なる13Aを搭載しています。相当高価なモデルで、少量の生産に終わっています。スタイリングはジウジアーロです。
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ルーチェ・ロータリークーペのフロントのエンブレム。ロータリー・エンジンをかたどったものですが、上級モデルだけはこの金色だったのだそうです。おそらく「スーパーデラックス」ではないかと思われます。このクルマは、ロータリーエンジン車の扱いに実績のあるガレージ・スターフィールドの星野さんが最近整備した車両で、ロータリー50周年も意識しているとのことでした。
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ニッサンのセドリックの一団。警察官の人形は同時代のものでしょうか。
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こちらはアメリカのポリスカー。本物を輸入したものでナンバーが付いています。ポーズをとる金髪のポリスマンは所有者のJEEP CAFE TOKYOの和田さん。映画などのために車両を提供しているとのことで、このクルマには来日したトム・クルーズも乗ったそうです。当日うっかりクルマのことを聞き忘れましたが、車両はシボレーのフルサイズ車で、カプリースだと思います。1970年代後半に、一連の石油危機に対応してアメリカ車がいっせいにダウンサイズしたときに口火を切ったのがこのGMのフルサイズでした。1980年代に入ると、ほかのアメリカ車はさらに小型化され、大半がFWD化されて合理化されましたが、シボレー・ブランドのフルサイズはこのまま10年間存続し、次のモデルでもRWDを維持しました。そのためポリスカーにも使われたのではないかと思います。日本のクラウンなどと似た状況でしょうか。
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最近レストアなったばかりの「くろがね四起」が展示されていました。非常にきれいに復元されていましたが、ボディ外板などはオリジナルだそうです。日本初の四輪駆動といわれています。実物はとても小さいという印象でした。
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1954年のトヨペット・トラック。詳細は不明ですが、なんとも存在感がありました。
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東京の国立を拠点とするAutomobile Club Japanの集まり。谷保天満宮旧車祭も主催しているそうです。車種はなんでもありの自由な会ということですが、手前の水色のクルマは会長の是枝さんのルノー・ドフィーヌ・ゴルディーニ。この車名ドフィーヌは、皇太子妃という意味ですが、その男性形名詞はもとをたどるとイルカです。そのせいか(?)、このクルマは少しイルカっぽい感じがします。
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(レポート・写真:武田 隆)