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浅間ヒルクライム


浅間外輪山にとりつく道、チェリーパークラインを駆け上がるイベント、浅間ヒルクライムが今年も5月28日、29日に開催されますが、昨2015年のイベントの様子を紹介します。


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長野県小諸市のチェリーパークラインは、小諸市郊外から高峰高原ちかくの車坂峠まで駆け上がります。ゴール付近の車坂峠は標高約2000mあり、天然のカラマツ林も存在します。ルート沿いのカラマツは植林だと思いますが、杉や檜の林では味わえない爽快さを感じられます。
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ゴール付近まで上がってくると、眼下に雄大なパノラマが広がるようになります。正面には八ヶ岳、天気がよほどよければゴール近辺では富士山も見えます。ただもちろん運転中にそこまでは目に入りません。写真のクルマはロータス・エリーゼ。
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走れるイベントなので比較的新しいクルマが多い印象でしたが、なかには古いクルマもあり、元気よく走っていました。これはモーリス・マイナー。
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これはアストンマーティンV8ヴァンテージ。このイベントはメーカーやインポーターの参加が充実しているのが特徴です。地元の協力も得て、多くのスポンサーもあり、イベントとして充実している印象でした。あるインポーターに聞いたところでは、単なるパレードではなく、走れるイベントだからこそ参加しているとのことでした。もっともイベントとしては、あくまで競走ではありません。
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走行時間にはコースは閉鎖され、ナンバーなしの競技専用車両の参加枠もあり、純レーシングカーも走ります。ただ、走り方はいろいろで、フォーミュラカーでもゆっくり走るクルマもありました。コースに向いている、向いていない、ということもあるだろうとは思います。
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見ごたえのある走りをしていたのはラリーカーでした。これは全日本チャンピオンの奴田原文雄選手の三菱ランサーですが、ほかにWRCでも活躍した新井敏弘選手のスバルWRXも参加して、同じようにいい走りを披露していました。こういう山岳路に最も慣れているのはラリードライバーと思いますが、トップドライバーはこういう走りをしていても余裕があるのだろうと思います。
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ヨーロッパ車が多い印象でしたが、国産車も新旧が参加していました。これは往年の"Z遣い"柳田春人氏の乗るフェアレディZ。有名レーシングドライバーやジャーナリストはほかにも多く参加していました。
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ナンバーなしのフォーミュラカーのなかにはこんな往年の名車も。ゴールドリーフカラーのロータス59。
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4輪がほとんどですが、2輪も参加しています。やはり新旧のさまざまなマシンが走ります。浅間といえばオートバイ、と連想する人も多いかもしれません。
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サイドカーも何台か走りました。実物の走りを見る機会はなかなかあるものではなく、見ごたえがありましたが、勇敢な乗り物です。
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パドックは車坂峠付近にあるアサマ2000パークというスキー場の駐車場です。後に見えるのがゲレンデ。
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パドック(駐車場)で、デモ走行が行われました。これはラリーの新井選手のスバルWRX。プロフェッショナルな名人芸にギャラリーからは歓喜の声が上がっていました。
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GMジャパンはイベント中にシボレー・コルベットZ06コンバーチブルの発表を行いました。当然ヒルクライムでも走行していました。エンジン音が特別でした。
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爽快な高原の地で行うイベントで、参加者も観客も十分に充実した休日を楽しめるようでした。参加者としてはやはり、走って楽しめるイベントということは魅力だと思います。ただあくまで競走ではないので、ラリーのような純競技と同じようにコース管理されてはいません。2015年はクラッシュがあり、初日の2本目が中止されました。極論として、競走であればクラッシュはあるもの、という考え方があるかもしれませんが、競走でないこういうイベントでは魅せる走りをするにしても、大人の余裕をもってということが重要なのだろうと思います。そのほか印象としては、ゴール付近の駐車場から観覧スペースまでシャトルバスが運用されていますが、コース途中に駐車場や展望台のようなスペースがほとんどないルートということが、少し残念ではあります。しかしとにかく活き活きと走る新旧のクルマを見られるのがこのイベントの見どころと思います。麓の小諸市内でパレードを見ることもできますが、ワインディング路での走りを見るには、同じ道をいちど頂上までクルマで走っていくことになり、それもまたイベント観覧の楽しさと思います。
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余談ながらレポーターはかつてフランスでローカルなヒルクライムイベントを取材したことがあります。ローカルといっても今でいうスーパーフォーミュラぐらいまでのマシンが参戦する本格的な純競技イベントで、有名なチュリニ峠にも近い、モンテカルロラリーのスペシャルステージの一部を使用したコースでした。ヨーロッパではヒルクライムが欧州や各国の選手権としてもシリーズ化されており、盛んです。フランス国内にも自転車レースのツールドフランスでも知られるモンヴァントゥーなど、いくつか有名なコースがあり、おそらくほとんどは公道を使用していると思います。イベントの中には、ラリーのスペシャルステージを短く切ったようなコースもあり、タイムアタックなので、カテゴリーとしては、ラリーに近いかなというイメージです。ラリーでは走る区間も広範囲にわたるので運営が大変ですが、ヒルクライムはコンパクトなので、ラリーよりも開催が楽で、参加者も参加のハードルが低いということがいえます。ヨーロッパの自動車イベントの充実度には追いつかないにしても、日本でもスポーツとしてのヒルクライムは開催が可能なのではないかと思います。もちろん、浅間ヒルクライムは、そういった純競技イベントとは趣旨が違うわけですが、なにはともあれ、日本では画期的なこのイベントが、今年も充実して行われることを願っています。
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(レポート・写真:武田 隆)


リポーターについて

武田 隆(たけだ・たかし)

1966年東京生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科中退。出版社アルバイトなどを経て、自動車を主体にしたフリーライターとして活動。モンテカルロラリーなどの国内外モータースポーツを多く取材し、「自動車アーカイヴ・シリーズ」(二玄社)の「80年代フランス車篇」などの本文執筆も担当した。現在は世界のクルマの文明史、技術史、デザイン史を主要なテーマにしている。著書に『水平対向エンジン車の系譜』 『世界と日本のFF車の歴史』『フォルクスワーゲン ゴルフ そのルーツと変遷』『シトロエンの一世紀 革新性の追求』(いずれもグランプリ出版)がある。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。

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