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メガーヌ・ハッチバック・ゼンに試乗


メガーヌ・ハッチバック・ゼンに試乗した印象です。フランス車の気どらないよさ、乗り心地のよさに、魅力を感じました。

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メガーヌはゴルフなどと同じCセグメントに属しますが、ハッチバックモデルの場合、ルーフラインに傾斜があり少しクーペ的なスマートさがあります。このフロントマスクはマイナーチェンジ後の顔で、ローレンス・ヴァンデンアッカー時代の新ルノー・デザインを象徴します。シンプルで明快で、少しスポーティーな感じにもなったと思います。

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ちなみにマイナーチェンジ前のフロントマスクはこう。独自性のあるデザインで、モダンな印象でした。Aピラー途中から始まる峰が、外輪山のようにノーズのエンブレムを経由してボンネットを一周し、盾型の台地を形成しています。現行型ではこれを巧みに修正して、違う顔に仕立てています。

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リアビューはこのような感じ。ルーフがBピラーより後方で下がっています。しかし後席のヘッドルームについては、心配ありません。

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後席です。ヘッドルームは十分確保されています。

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前席。ファブリックのシートはソフトさがあり、座り心地は良好でした。高級感云々のクルマではないですが、好ましい簡潔さがあります。

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ダッシュボードは、スマートなデザインです。ナビは残念ながらパネルが後付けになりますが、ダッシュボードのなだらかなスロープのデザインが、爽快です。スイッチ類などの品質感がドイツ車などには及ばないかもしれませんが、全体に好感のもてるデザイン、という印象です。素朴ですが、やはりフランスならではのデザイン・センスが発揮されていると感じます。

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メーターパネル。中央にデジタルで速度計が表示されます。左側がタコメーター。デジタルとアナログの折衷です。モデルによっては速度計部分もアナログになるので、デジタル部分も丸を基本にデザインされているようです。どうせならデジタルの数字はもっと大きければよいし、左のタコメーターの数字もやはり少し小さいと思います。ただ、速度計がデジタル、回転計がアナログというのは、一般論として見やすい組み合せではないかとは思います。

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後部の荷室。実用車として十分確保されています。

乗った印象では、乗り心地がよいと感じました。首都高速の荒れて段差の大きい目地や、角があるマンホールなど、難易度の高い段差では、若干不快なショックがあり、ダンパーの初期入力領域が対応できていないような印象でしたが、ふつうの凹凸はよくいなしており、乗り心地はよい、という感想です。距離を走るとダンパーもこなれてくるのかもしれません。メガーヌはやはり足がよい、といえそうです。ゼンはベーシックモデルですが、ルーテシアのゼンだと、低速で乗り心地がソフトで良好でも、高速に入ると少し物足りなさを感じたのが、メガーヌのゼンはさすがに車格が上なだけあり、高速でもしっかり感がありました。意識して運転しているとやはり、ルノーらしいワクワク感というか、独特の感触があるようです。

ゼンは日本におけるメガーヌのベーシックモデルですが、フランスでは、ごくふつうに乗られるファミリーカーのはずで、よくも悪くも気どったところがなく、好ましいけれども、華もあるわけではない、というクルマと思います。フランス好き、ルノー好きの目で見ると、やはり独自の魅力がありますが、それほどでもない人にとって、ほかのクルマとの差異がわかりにくいかもしれません。しかしいちどよさがわかると、ひかれるものがあるクルマ、と思います。

長く乗ると味わいを感じるのではないかとも思います。フランス人の乗り方から考えても、多少道の荒れた街道などをよいペースで運転するときよさを発揮すると思います。通勤に毎日クルマを使い、朝と夕方急ぎ足で走るような生活で、このクルマのよさがにじみ出るのではないでしょうか。


(レポート・写真:武田 隆)


リポーターについて

武田 隆(たけだ・たかし)

1966年東京生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科中退。出版社アルバイトなどを経て、自動車を主体にしたフリーライターとして活動。モンテカルロラリーなどの国内外モータースポーツを多く取材し、「自動車アーカイヴ・シリーズ」(二玄社)の「80年代フランス車篇」などの本文執筆も担当した。現在は世界のクルマの文明史、技術史、デザイン史を主要なテーマにしている。著書に『水平対向エンジン車の系譜』 『世界と日本のFF車の歴史』『フォルクスワーゲン ゴルフ そのルーツと変遷』『シトロエンの一世紀 革新性の追求』(いずれもグランプリ出版)がある。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。

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