トップページ>>【編集部より】新刊『軽自動車における低燃費技術の開発 スズキのモノづくり哲学と技術の開発』の刊行の経緯をお伝えします!

【編集部より】新刊『軽自動車における低燃費技術の開発 スズキのモノづくり哲学と技術の開発』の刊行の経緯をお伝えします!

【編集部より】新刊『軽自動車における低燃費技術の開発 スズキのモノづくり哲学と技術の開発』の刊行の経緯をお伝えします!

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本書刊行までの経緯

 
 2012年(平成24年)8月に、スズキ主催の低燃費化技術の説明会が東京で催された。スズキによって開発された新しい技術に興味を持った私は、その内容を知るために参加したのだが、それぞれの技術者の方々の説明を聞いているうちに、軽自動車を主力とするスズキならではの、ユニークな発想からなる技術であることがわかった。

 一般的に軽自動車は、普通乗用車に比べて販売価格は安く設定されている。排気量やボディサイズなどに制限はあるが、普通乗用車と比べてもエンジンやボディなどを構成する部品点数は、大きく変わらないにもかかわらず、価格は低めの設定である。当然、軽自動車の数倍もする価格設定のクルマとは異なり、開発や製造原価などにかけられる費用は限られてしまうことになる。もし高価な部品や材料を用いて製造すれば、そのまま商品の価格に転嫁することになり、庶民に一番身近な自動車でなければならない軽自動車とはかけ離れたクルマになってしまうのである。

 軽自動車の開発には、常にこうした課題にも取り組む必要があることは、以前、開発責任者の方に直接お聞きしたことである。そうした面で、現在スズキが推進している"スズキグリーン テクノロジー"の一連の技術は、ハイブリッド技術の中で余分なコストを抑え、無駄を排除した"低燃費化技術"だといえるだろう。このことは、本書を読んでくださった方にも理解していただけたと思う。

 過去の話しになるが、1977年(昭和52年)頃の日本の自動車市場では、軽自動車の販売不振が深刻な状況になっていた。当時の排気量が550ccの時代の軽自動車は、今とは異なり性能も安全性も、普通乗用車と比べてかなり劣っていたことが、その大きな原因であった。その軽自動車に対する逆風を見事に打破したのは、47万円という思い切った低価格でデビューした1979年登場のスズキアルトであった。このアルトは、価格が安いだけでなく、実用性も高く、発売後は大きな反響をもって受け入れられ、軽自動車のマーケットは再び活気を取り戻したのである。
 また、1993年(平成5年)にデビューしたスズキワゴンRは、軽クラスのハイトワゴンとして新しいジャンルを切り開くことになり、今ではダイハツムーヴなどと共に軽自動車にとってはなくてはならないクラスとして確立している。
 また2013年(平成25年)にデビューしたスズキハスラーも、今までにはないユニークなデザインの"クロスオーバー"として、新しい軽自動車層を開拓している。このようにスズキは、軽自動車の分野に新しい風を吹き込んできた、軽自動車のトップメーカーと言っても良いだろう。

 技術説明会の会場内で "スズキグリーン テクノロジー"というスズキ独自の技術を、一般のユーザーの方々によりわかりやすく解説したいと考え、すぐにスズキ広報部の神原圭吾氏に相談したところ快諾していただいた。また本の制作にあたっては、技術者の方々の取材を含めて、資料などもご協力をいただけることになった。執筆と取材に関しては、こうした技術解説の第一人者である御堀直嗣氏と相談したところ、御堀氏も同じようなお考えを持たれていて、執筆を引き受けていただけることになり、刊行の運びとなった。

 最後になりますが、本書をわかりやすく丁寧な解説にまとめてくださった御堀直嗣氏に感謝します。
 また、御堀氏の取材に快く対応していただいたスズキ株式会社 常務役員 四輪技術本部長の笠井公人氏、本書の編集に関して完成の最後の最後まで協力をしてくださった広報部の神原圭吾氏に厚く御礼申し上げます。

グランプリ出版 小林謙一

リポーターについて

武田 隆(たけだ・たかし)

1966年東京生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科中退。出版社アルバイトなどを経て、自動車を主体にしたフリーライターとして活動。モンテカルロラリーなどの国内外モータースポーツを多く取材し、「自動車アーカイヴ・シリーズ」(二玄社)の「80年代フランス車篇」などの本文執筆も担当した。現在は世界のクルマの文明史、技術史、デザイン史を主要なテーマにしている。著書に『水平対向エンジン車の系譜』 『世界と日本のFF車の歴史』『フォルクスワーゲン ゴルフ そのルーツと変遷』『シトロエンの一世紀 革新性の追求』(いずれもグランプリ出版)がある。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。

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