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ホンダ・ヴェゼルの印象

ホンダ・ヴェゼルに試乗した報告です。ホンダの意欲が感じられる、内外装デザインなどに注目しています。

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ヴェゼルは最近注目されるコンパクト・クロスオーバーというべきカテゴリー。試乗したこのボディカラーでは、比較的オーソドックスに見えますが、デザインにはかなり、力が入っています。

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昨2013年12月の青山での発表会の様子。ヴェゼルのコンセプトに合わせ、茶色いジャケットで登場した伊東社長。車台が共通というわけではないようですが、ヴェゼルは、フィットと多くを共用し、広義には兄弟車のような存在です。スクリーンには、グローバル・コンセプト・シリーズとして、日本導入も予測されるシティも加えて、3車が映されています。フィットとともに、ヴェゼルも海外への導入が予告されました。一種のいわゆる世界戦略車です。

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壇上は峯川専務。画面には1980年代のプレリュードと、90年代のインスパイア。ヴェゼルは、ホンダとしては久々のスペシャルティカーということになるようです。コンパクト・クロスオーバーは、トレンドに敏感で、しゃれた遊びの要素を持たせたクルマが定番的のようです。


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デザインの説明図。「クーペ・エモーション」と「タフ・ファンクション」のクロスオーバー、とのタイトルで、SUVのタフさと、クーペの優美さを併せ持つデザイン、と理解できます。「Exciting H Design」の文字も見えますが、現在のホンダのデザインの標語です。

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ルーフラインは後席ヘッドルームを確保する実用的なラインですが、サイドのウィンドウグラフィックで、前席重視のクーペのように見せています。前後のタイヤ周辺がボリュームを持ってふくらみ、SUV的な力強さを表現。

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ヴェゼル最大の見せ場が、このプレスライン。「Exciting H Design」を標榜する最新ホンダ車の多くが、ボディサイドに強調されたプレスラインが彫り込まれていますが、ヴェゼルの場合、今まで以上に大がかりなラインが入りました。通常の(水平の)ベルトラインと斜めに交差しており、大胆です。

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この交差する付近の造形は、バターナイフでマーガリンを繰り返し削ったような感触です。この造形をつくるのは、クレイモデルのモデラーによる手仕事ですが、かなり大胆な曲面です。以前、ある機会に、ホンダのモデラーの人に、最近のホンダ車全般の話として、彫りが深い造形が多いけれどどうですかと聞いたところ、たしかに大変だけれども、新しいことに挑むチャレンジなので、やりがいを感じる、という答でした。その「気概」は、多分、社内で形成、醸成されたもので、ホンダとして、現在そういうコンセンサスで、デザイン開発、ひいてはクルマづくりをしているのだろうと思われます。また別のときにこのヴェゼルに関わったデザイナーの人に聞いたところでは、ホンダの「エキサイティング」なデザインについては、乗る人のことを考えながら、まず自分達もエキサイティングになって、気持ちを高揚させて、感情移入してデザインする、とのことでした。工業製品である自動車の開発でも、気持ちが大事のようです。
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そのプレスラインですが、サイドのウィンドウ上端のラインと合わせて「アーモンド型」を形成していますが、その末端の部分は後席ドアの把っ手として処理されています。この手の処理は、クライスラー(ランチア)・イプシロンなど、最近よくありますが、クルマとしても、近いものがあると思ったのがシトロエンのDS4です。

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これがDS4。DS4は車格がもう少し上で大きく、駆動が2WDのままですが、やはり「クロスオーバー的」なスタイリングの仕立てです。車高が高めで、タフに見えると同時にクーペのようなウィンドウグラフィックにしているということで、手法がヴェゼルに似ています。DS4は、ルーフライン後半部分にちょっとした段差をつけ、前側から見た時に、ルーフが後下がりのファストバックに見えるよう工夫しています。しかし実際はヴェゼル同様に後席ヘッドルームを犠牲にせず、後席居住性を確保するルーフラインです。室内空間をしっかり広くとるというクルマづくりは、シトロエンでもホンダでも、伝統といえます。両社はそれぞれ、自国内ではメーカーとしての創業が後発組で、かなりの「新しもの好き」である、という点も含めて、共通点が感じられます。

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DS4とヴェゼルは、そのルーフラインと、サイドのボディの彫り込みなどのスタイル重視ということで、似ていますが、「アーモンド型」の大胆なプレスラインを入れたヴェゼルのほうが、クーペ的なウェッジシェイプというべきシャープさをうまく出しているようにも思います。ただ、見る角度や車体色によっては、全体にずんぐりとしてジャガイモかカバのような感じにも見えます。日産のジュークもそうですが、小型SUVをちょっと流線型っぽく仕立てようとすると、角が丸まって、結果的にそうなるようです。
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リアのデザインは、ボディサイドのような劇的さはないですが、同様に「アーモンド型」のプレスラインでデザインされています。

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クーペ風の外観でありながら、後席居住性を与えていることがわかります。側面図で見ると、Aピラーは寝ていますが、ルーフラインは、あまり後下がりになっておらずワゴン的なまっすぐに近いラインであり、ウィンドウグラフィックやプレスラインでクーペ的なルックスを強調していたことがわかります。とはいえ、ルーフはただまっすぐなわけではなく、後端を少し下げて空力考慮の造形になってもいるようです。ヴェゼルは高速域での空力性能に関しては、重視しているようです。
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後席と、後部の荷室が広いのは、フィットでおなじみのセンタータンク・レイアウトが効いています。図でも、前席の下に燃料タンクが配置されているのがわかります。

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このくらいの角度だと、ルーフがクーペ風の弧を描いてスマートに見えるようです。
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発表会場で、デザイン関係のある重鎮の方と話す機会があり、顔つきについては、ホンダのこの手の顔としては、だいぶよくなった、とのコメントでした。注目の、サイドのプレスラインについては、機能のとしての意味のないデザイン(ライン)であるので、やはり疑問は感じるというニュアンスでした。
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その言葉は重みがありますが、ヴェゼルは、クルマ全体として考えると、機能としては、実用車として空間設計が優等生であり、そのうえで、車体表面の線一本でクーペの気分が味わえるなら、安いものではないか、という考え方もできなくはない気もします。ただ、この線は、あきらかに"作為的な線"であり、そういうものに対して、懐疑的に見る、という感覚が、不思議と一般的に、世の中にあるようです。
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ヴェゼルの場合、その後、慣れると意外にこの派手なプレスラインも、たいしたこともなく見えてくるようでもあります。ひとつには、自動車全般が、プレスラインのオリンピックのような状況になっていることもあるかもしれません。上記の続きで、そのときのコメントでは、ヨーロッパ車(とくにBMWあたり)に触発されて、日本車もプレスラインに凝る、デザインに凝る傾向が強くなっており、ヨーロッパが今や抑え気味になり始めているが、日本人はいちどやろうとすると極端になるので、まだ続いてしまっている、ということでした。

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ちなみにこれは、兄弟分の一足先に開発されたフィット。やはり「Exciting H Design」を標榜し、ヴェゼルと同じように、サイドに大胆な彫り込みがあります。ただ、ヴェゼルとは造形の質感がだいぶ違い、ヴェゼルがエレガントな "曲面"や"曲線"を重視した彫り込みなのに対し、フィットは直線と、平面で造形しています。この違いはフィットが、純大衆車で、若々しく活発であるようにデザインされたためかと思われます。

これもまた、以前にホンダのまた別のデザイナーの人に、ホンダらしさの表現として、ドイツ車のようにデザインに統一性をもたせることはないのかと聞いたところ、ドイツ車は顧客層が狭い(高級で台数が少ないという意味)からそのようにすることができるわけで、アイデンティティで統一規則をもたせるとデザインに自由度がなくなると言っていました。ホンダらしさの表現としては、我々はいろいろそういうものを持ち合わせており、デザイナーは仕事をしているうち皆そういうのを受け継ぐようになる、とのことでした。ブランドとしての統一性の戦略を、メーカーとして明白に打ち出しているわけではないとのことです。

どのホンダ車も、ホンダらしさがたしかに感じられると思いますが、とくに近年のホンダ車は、よくよく観察するとクルマのタイプごとに、デザインのテイストを見事に変えており、それぞれそれなりに高い完成度に仕上げられています。社内に中小企業がいくつもあるような感じですよ、とのことでしたが、この作り分けと、それぞれの完成度やオリジナリティの高さは、それ自体は賞賛に値すると思います。

日本車では最近、マツダがデザインのアイデンティティを統一する方向になっています。ホンダの場合、規模の大きい生産、車種展開のために、作り分けのデザインで展開しているわけで、概ね日本車はこの方向性です。
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ヴェゼルは、看板色として3色を設定しており、発表会時には、その説明もありました。この3色にかぎらず、ヴェゼルはシックでモダンな外装色を揃えており、いわゆるヨーロッパ的な渋みのある色を展開しているようです。
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これは、「ルーセブラック」。カラー担当の方に聞いたところ、つやっぽいブラックの内装で、それに合う外装色として、少しグレー的な黒になっているとのことです。

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これは「モルフォブルー」。少し若いイメージだそうです。

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3色のうち目をひいたのは、この「ミスティグリーン」。明るい感じを出しつつも、少しイギリス的なものも意識していなくはないそうです(イギリスを意識していますか、という聞き方をしての、答でしたが)。渋みがありつつ、明るく活気もある、というねらいのようです。"大人"ではあるけれど、"若さ"も、ということになるようです。かなり凝った色で、外装デザインの開発と平行して、開発されたそうです。

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グリーンの場合の内装は、これ。各所に使われるパッド類の茶色が、目に付きます。この茶色については、英国の茶色よりは、少しオレンジを入れているそうで、やはり、しぶみと活気のある色とのことでした。この茶色(ジャズブラウン)は、今までホンダになかった色で、外装がグリーンの車両用に開発したけれど、他色でも選べるとのことです。

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これも同じ車両。ダッシュ面がソフトパッドになっていますが、内装担当の人によると、ソフトパッドをこれだけ多用したのは、ホンダとしては今までにないそうです。センターコンソールが橋脚タイプになっていますが、これは、シフトとハンドブレーキを電動にしたからできたものです(ハイブリッド車の場合)。
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ヴェゼルは、基本的に全世界向けで、北米や、ヨーロッパ市場も、意識されているようです。その点はフィットも同様ですが、若い人も意識しているとはいえ、フィットよりは、もう少し大人のイメージとのことです。とくに、ヨーロッパの人に認められることを意識したそうで、走り、趣味面、文化面などで洗練されたヨーロッパのクルマをひとつの指標として開発した部分があると、内装担当の人は言っていました。

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ダッシュパネルほかのソフトパッドが、この写真の車両のように周囲と同色の黒だと、比較的オーソドックスなデザインという印象です。室内は全体に落ち着いたデザインで、近年のホンダ車でしばしば指摘されている"ガンダムっぽさ"がなく、良好な印象です。

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ハイブリッド車のスピードメーター。この状態では右に、ハイブリッドのエンジン、バッテリーの状況が図示されています。メーター中央部の青い部分は、立体的なグラフィックです。

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スポーツモードでは、メーター照明色が赤になります。

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これはガソリン車のもので、立体的なグラフィックなどがなく、ふつうです。

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ハイブリッド車のセンターコンソールのシフトレバー。マウスのようで、十分に今日的ですが、シフトモードの選択などの機能はほとんどなく、走行中はほとんど触ることはないので、もっと端に追いやって、いっそナビパネルのコントロールダイヤルをここに置いてもよいかという気がします。現在では、この空間をそのように使うクルマが多くなっています。ちなみにシフトを手動でチェンジするには、パドルシフトを使います。

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後日乗る機会のあったノンハイブリッドのモデルのもの。昔ながらのATのシフトレバー。シフトゲートに沿ってガチャッと大きくレバーを操作するのが、なつかしいと思った次第です。

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ハイブリッド・システム。フィットと同じi-DCDで、デュアルクラッチタイプです。フィットと基本的に同じで、車体が少し重く、少しパワー重視のため、ガソリンエンジンを、フィットより大きい1.5リッターにしています。4WD仕様でも、デフから後にリア駆動システムが付くだけで、ハイブリッド部分は基本同じだそうです。
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これはオートサロン出品車。この塗装だとボディラインがよくわかりますが、市販の現実性はないそうです。ヴェゼルは、車体の色によって、見え方が変わります。今回試乗した通常のシルバーでは、せっかくのボディの立体的造形がいまひとつ感じにくく、ふつうに見えますが、さきほど紹介した深みのあるシックな色などだと、立体の造形がゴージャス、エレガントに見えて、鑑賞に値します。

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上のクルマの内装。せっかくのソフトパッドなので、このように、もっといろいろな色を設定すればよいとも思いますが・・・。

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ハイブリッドの4WDでありながら、この荷室の広さ。燃料タンクをセンタータンクレイアウトにしたおかげで、後部のこの荷室フロアの下にリチウムイオンバッテリーを積みながら、フロア高さを低く抑えることができています。奥行きも十分にあります。ホンダはかの創業者の時代から、メカミニマム/マンマキシマムを意味するMM思想を重視し、空間効率の高さを守っていますが、ヴェゼルもそのひとつです。


【走りの印象】
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試乗車は、グレードはハイブリッドXの4WDでした。走りについては、今回、高速道路移動が主体でしたが、一度比較的舗装の荒れた山道を、少し活発に走る場面がありました。そのときの予想外の、走りの良さに、驚きました。荒れ気味のワインディング路でも、実に安定してコーナリングをこなし、そのうえ乗り心地も滑らかさを保ったままで、快適でした。タイヤは215/60R16のダンロップENASAVEです。正確にはなにが功を奏しているか判断はつきませんが、メーカー資料を見ると、フロントには、副ダンパー付きのような振幅感応型ダンパーと、高負荷時に伸び側ストロークを抑えるリバウンドスプリングを備え、そのほか前後のロール特性にも配慮してセッティングしているなどの説明があり、コーナリングの安定性にそれなりに焦点をあてて開発されたかと思われます。

大きさもコンパクトで、フィットよりは、上級のしっとり感があり、パワーも余裕がある感じです。基本的には、完全なマニュアルシフトモードにはなりませんが、パドルシフトをいちど操作すると、しばらくは選択したギアを保持して、マニュアルシフトで行けます。けっして走りの良さを売りにしているクルマではなく、シフト装置関連も走り派には若干物足りないものですが、そこそこ十分ハイレベルな走りの性能も持っているということで、先ほどのヨーロッパ市場に認められることを意識したという言葉が、思い出されます。しかし、なにより、ワインディング路に楽しみを感じられる仕上がりということは、意外でした。
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ハイブリッド車には、燃費重視の運転を支援するペダル機構「リアクティブフォースペダル」が備わります。簡単にいえば、アクセルを踏んだとき、燃費のよいところで、アクセルペダルが重くなってそこでペダルを止めるように促す仕組みです。実はなんの意識もないまま乗ったときは、気づかなかったのですが、後日もう一度短時間乗った時に注意してしてみると、たしかにアクセルを踏み込んだときに、途中で一回ひっかかりを感じるところがありました。スポーツモードを選択しているときは、アクセルペダルの反応がよりシャープになり、そもそも踏み方も強くなるので、ほとんど感じられないようですが、とくにエコなECONモードを選択すると、アクセルの反応がダルになり、踏み方もおだやかなことが多く、反力が来るところがはっきり感じられます。

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リアクティブフォースペダルの実際の構造。通常のアクセルペダル機構の上方に、アクチュエーターがあり、ペダルに反力をかけます。コンピューターで燃費のよいところをその都度判断するので、単純にアクセルの踏み角で重い箇所があるというのとは違います。
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メーターパネルの表示の画面選択をすると、リアクティブフォースペダルの表示が出て来て、これによって、あ、今効いたのだ、ということが確認できます。今は停止状態なので、ブルーの角度表示が出ているだけですが、実際に反力がかかると、上の解説図のように、グリーンで反力がかかったことが示されます。


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ヴェゼルは、ヘッドランプのレンズカットが今どきのLED装着車らしく、宝石のようでもあるし、ロボットのようでもあります。

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発表時の、青山本社のショーウィンドウ展示。ハイブリッドにかけて、2面性があるということをアピールしています。モード界にも訴えるような、スタイリッシュを売りにした展示でした。
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昨2013年12月に発売されたヴェゼルは、発売後ハイブリッド・システムのリコールがあったりしましたが、路上で見かける機会が多くなっており、非常に好評のようです。かつてSUVで最も売れていたニッサ・エクストレイルよりはひとまわり小さく、日本の事情に合っているようです。そしてタフギアというよりは都会派的なクルマの面が強く、それでいて、同じニッサンのコンパクト・クロスオーバーの開拓者ジュークほどは、とんがったデザインではなく、実用派がふつうに買える範疇に収まっているといえそうです。
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ヴェゼルもデザインには凝っていますが、4WD、ハイブリッド、コンパクトな大きさ、積載能力の高さ、など、ある意味実用性能の面でオールマイティに充実した商品といえそうです。スタイリッシュな外観も、あくまでそこそこスタイリッシュという範囲であり、大胆さもありますが、車体色などによっては意外とふつうに落ち着いた外観にも見えます。4WDもあまり悪路走破性は特別なものはなさそうですが、雪には効果があるはずです。雪の多い地方や山間部でも使えるクルマで、都会でも十分映えるところがある、ということで、日本や世界の路上を走りまわるクルマとしての資質を、十分に備えたクルマといえそうです。走りの楽しさまであるから、まさに全部入りのクルマ、という印象です。
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(レポート・写真:武田 隆)


リポーターについて

武田 隆(たけだ・たかし)

1966年東京生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科中退。出版社アルバイトなどを経て、自動車を主体にしたフリーライターとして活動。モンテカルロラリーなどの国内外モータースポーツを多く取材し、「自動車アーカイヴ・シリーズ」(二玄社)の「80年代フランス車篇」などの本文執筆も担当した。現在は世界のクルマの文明史、技術史、デザイン史を主要なテーマにしている。著書に『水平対向エンジン車の系譜』 『世界と日本のFF車の歴史』『フォルクスワーゲン ゴルフ そのルーツと変遷』『シトロエンの一世紀 革新性の追求』(いずれもグランプリ出版)がある。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。

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