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ボルボから5ドア・プレミアム・スポーツコンパクトの新型車V40が発売に!

ボルボ・カー・ジャパンは、5ドア・プレミアム・スポーツコンパクトの新型車V40を発表し、同日発売しました。(2月19日・グランドハイアット東京)


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ボルボ・カー・ジャパン代表取締役社長アラン・デッセルス氏により紹介されるV40。THE ALL-NEWを謡う意欲的な新型モデルです。

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ボルボ・カー・グループのシニア・セーフティ・エンジニア、ステファン・ライバーグ氏により、ボルボの安全哲学や技術が紹介されました。この図はV40の安全装備の一例、BLIS(ブラインド・スポット・インフォメーション・システム)とLKA(レーン・キーピング・エイド)についての説明です。

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V40は、力の入った開発という印象で、安全装備でも、世界初、ボルボ初を謡うものが複数あります。低速域用自動ブレーキシステムの「シティ・セーフティ」は、従来30km/h以下だった作動域を50km/h以下へと拡大し、これは世界初になるとのことです。

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もうひとつ安全装備の「世界初」が、6万円のオプションで設定できる「歩行者エアバッグ」。歩行者と衝突したとき、ボンネット内に収容されていたエアバッグがふくらみ、歩行者の頭部への衝撃を軽減します。エアバッグ放出のためにせりあがったボンネットも、同時に衝撃吸収の役を果たします。コストなどのためにほかのメーカーがまだ採用していないものを、あえて採用してきたところに、ボルボの「安全」に対する姿勢、V40に対する力の入り方が感じられます。衝突した対象物が人間かどうか判断するためのセンサーの開発が、難かしかったようです。衝突物がボールのように小さいものや、トナカイのように大きなものの場合、反応しないようになっています。このほか、安全性能ではユーロ NCAPで史上最高スコアを記録したとのことです。

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その後、ボルボ・カー・ジャパン、マーケティング部ディレクターの若林敬市氏による、製品紹介がありました。これはボルボ・ブランドについて説明したパネルです。

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V40は、輸入車市場で盛り上がりを見せるCセグメントへの本格参入で、ボルボにとって、チャレンジになります。ヨーロッパのライバルに対して、優位に立つべく、積極的な姿勢で開発されたことがうかがえます。燃費もボルボ史上最良とのことで、1.6リッター直噴ターボエンジン搭載で、16.2km/リッターを達成。ちなみに出力は132kW、240Nm、変速機は6速デュアルクラッチ式で、ブレーキエネルギー回生システムや、エンジンStart/Stop機構なども備えます。

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日本市場でのライバルとの価格比較。価格もかなり戦略的で、ベースグレードのV40 T4が269万円という設定です。比較車種、ブランド名は示されていませんが、グレードを見るとだいたいわかります。主としてドイツ車が並んでいます。V40はライバルと比較して、低い価格設定であることが示されています。

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外観デザインも、「プレミアム・スポーツ・コンパクト」にふさわしく、意欲的にデザインされている印象です。既発売のS60やV60と似たテイストですが、ウェッジシェイプでスタイリッシュさをより強めています。フロントウィンドウの傾斜もかなりあるように見えます。ショルダーライン上のリアドア付近に付けられた彫りこみは、1960年に2ドアクーペの「P1800」として登場し、その後1970年代に2ドアスポーツワゴンにボディを改変された「1800ES」など、一連のモデルへのオマージュとのことです。こういった彫刻的プレスラインは最新デザイントレンドに沿っているかとも思われますが、伝統的なボルボらしさを感じさせるように仕上がっているようにも見えました。

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全体の印象は、優美なラインも使ってスタイリッシュですが、レンガとか言われていた頃の、ここ数十年間で培われたボルボらしい硬さを感じさせる風合いも守っていて、バランスよく完成しているようです。メーカーでは「ダイナミックなクーペフォルムとモダン・スカンジナビアン・デザインの融合」と謡っています。全長は4370mm、ホイールベースは2645mm。

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フロントは、V60やS60と共通性のある顔つきですが、ボンネットまわりは微妙な曲線も感じられる立体的なもので、なおかつまっすぐノーズが伸びているようにも見えます。低く安定した感じを醸し出すようにバンパー下部のエアインテークがデザインされているとのことです。

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リアまわりは、最近のボルボ特有のデザインになっています。このリアのデザインも、上述のかつての2ドアスポーツセダン「1800ES」のモチーフが活かされているようです。ボルボは1966年に発表した140シリーズで初めて四角いボディを採用し、以来長年の間、四角いボディというのがボルボのアイデンティティとなっていましたが、「P1800」〜「1800ES」はその前の世代のモデルで、モダンになりながらもまだ丸さが残されていたボディでした。今後のボルボがぐっと丸くなるわけでもないとは思いますが、半世紀続いた四角いボディから、スタイリッシュさのあるボディへと転換しているなかで、今回のV40というのは、ちょうどかつての「1800ES」とある種同じように、四角さと丸さが融合されたボディ、と捉えることができるのかもしれません。

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内装も色使いなどにスカンジナビアン・デザインを感じさせるよう配慮されているとのことです。メーターパネルはカラー液晶で、気分に応じて「Elegance」(上)、「Eco」(中)、「Performance」(下)の3種の画面に切り替えることができます。「Performance」を選ぶと、そのモードにふさわしいというべき赤色になり、メインのメーターはタコメーターに切り替わり、その中央にデジタルで速度が表示されます。こういった演出があるいっぽうで、基本的には視認性を重視して、シンプルに必要な情報のみを表示するよう配慮されているようです。またRSI(ロード・サイン・インフォメーション)を装備しており、カメラが道路の制限速度標識を読みとって、メーター内にその数字を表示するほか、スピードメーター表示にもそれを反映させるようになっているとのことで、やはり安全重視の思想が感じられます。

テールゲートを持つコンパクトモデルは、かつてボルボのオランダの支社でつくられていたことがあり、現行でもC30が存在していますが、今回のV40は、激戦のハッチバック車市場で真っ向勝負するものです。力の入った開発で、日本市場でも、ドイツあたりのプレミアムなコンパクトカーと好勝負になるのではないかと思われます。

(レポート・写真:武田 隆)

リポーターについて

武田 隆(たけだ・たかし)

1966年東京生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科中退。出版社アルバイトなどを経て、自動車を主体にしたフリーライターとして活動。モンテカルロラリーなどの国内外モータースポーツを多く取材し、「自動車アーカイヴ・シリーズ」(二玄社)の「80年代フランス車篇」などの本文執筆も担当した。現在は世界のクルマの文明史、技術史、デザイン史を主要なテーマにしている。著書に『水平対向エンジン車の系譜』 『世界と日本のFF車の歴史』『フォルクスワーゲン ゴルフ そのルーツと変遷』『シトロエンの一世紀 革新性の追求』(いずれもグランプリ出版)がある。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。

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