ホンダが軽自動車造りの原点に回帰し、プラットフォームからパワートレインまでを一新することによって開発されたNシリーズの第1弾「N BOX」に試乗しました。 (横浜みなとみらい周辺)
N BOXのエクステリア。写真のカスタムには、専用デザインのフロント&リアバンパー、カラードサイドシルガーニッシュ、カラードテールゲートスポイラー、ドアミラーウインカーなどが標準装備されています。
アイポイントの高さをミニバン並みに設定することなどで、見晴らしのよい前方視界を実現したインテリア。写真はカスタムで、ピアノブラック調インパネガーニッシュや専用メーターなどが採用されています。
室内の広さが一目でわかるような箱形デザインが採用されているN BOX(ベースグレード)のエクステリア。厚みのあるボディとパノラマキャビンなどで、ミニバンらしさを表現しています。
N BOX(ベースグレード)のインテリア。数々のミニバンを開発してきたホンダならではの多彩な収納スペースも特徴のひとつです。
約90°に開くフロントドアと同社のフリードよりも広い開口部(640mm)を持つリアスライドドアが採用されています。
大型リアシートには、左右独立式のセンターアームレストを採用。簡単な操作でチップアップでき、大型犬用のキャリーバッグや子供用自転車などが搭載可能です。
リアシートを前に倒せば、フラットで広大なスペースが出現。大開口のテールゲートとあいまって、27インチの自転車をハンドルやサドルを持ったまま一緒に乗り込むことができます。
駐車や路肩寄せをサポートする「ピタ駐ミラー」や後方視界支援ミラーなどが採用され、車両の死角を最小限に減らす工夫が随所に見られます。
新開発された直列3気筒660ccDOHCのS07A型エンジン。従来型エンジンに比べてボアピッチを短縮、シリンダーブロックやカムシャフトなどの薄肉化、エアクリーナなどの軽量化、などによりエンジン単体で約15%の軽量化を実現。バルブクリアランスを自動にゼロ調整するハイドロリックアジャスターが、ホンダの軽自動車として初採用されています。写真はNAエンジンで、最高出力43kW/7300rpm、最大トルク65Nm/3500rpmの性能を発揮し、低燃費に貢献するアイドリングストップシステムも搭載されています。
カスタムターボパッケージに搭載されるターボエンジン。最高出力47kW/6000rpm、最大トルク104Nm/2600rpmの性能を発揮します。
新型S07A型エンジンと軽自動車専用に新開発されたCVTのカットモデル。軽量コンパクトで、衝突時にエンジン自体がクラッシャブルゾーンになるように設計され(補機類が内側に潰されるなど)、安全性能が確保されていることも特徴です。
パワートレイン系を極力前方に集約し、ホンダが特許を持つセンタータンクレイアウトを採用することで、広大な室内スペースを実現したNシリーズのプラットフォーム。今後、様々なボディ形状に対応できるといわれています。
1966年に量産軽乗用車として発売されたN360が、ホンダ製軽自動車の原点です。そのキャッチコピーは、「先ず客室から設計をはじめました」と掲げられていました。限られた寸法のなかで最大限のスペースを確保するというM・M思想(マンマキシマム・メカミニマム=人のためのスペースは最大に、メカニズムのスペースは最小にすることで、人を中心としたホンダのクルマ造りの原点)に立ち返ったうえで、環境性能など現在のユーザーニーズをプラスした次世代の軽自動車としてNシリーズが開発されました。
試乗できたモデルはNAエンジン搭載車でしたが、滑らかな加速が特徴で、アクセルペダルをさほど踏み込まなくても、通常の流れに乗れるスピードで走行でき、大人4人が乗車しても不満がないと思われます(試乗時は大人3人乗車+撮影機材を積載)。また、軽自動車のスーパートールワゴンに属されるモデルにも関わらず、しっかりと剛性が感じられるハンドリングで、後席の乗り心地も快適でした。
リアシートのアレンジ操作が容易なことも特徴のひとつ。シートスライド機構などがないぶん、女性ひとりでもチップアップやフルフラットが可能な設計になっています。
メーカー希望小売価格は、124〜178万円で、FFのほかに4WD車も用意されています。
(レポート・写真:小堀 和則)