トヨタのコンパクトスポーツとして注目を集めてきたコードネーム「FT-86」の名称が、「86(ハチロク)」と正式に発表され、そのプロトタイプモデルが披露されました(11月27日・富士スピードウェイ)。
2000GTなどのトヨタオブスポーツと呼ばれるクルマのエッセンスを随所に取り入れたというエクステリアデザイン。ロングノーズ&ショートッデッキのスポーツカーらしいシルエットが形成されています。
トヨタスポーツ800の志向を受けついだという水平対向エンジンとAE86の86をモチーフにしたエンブレムを取材陣にアピールする、豊田章男代表取締役社長。
超低重心のパッケージングにより、400mmというトヨタ車としては最も低いヒップポイントを実現したコックピット。365mmの最小径ステアリングホイールや前後左右のGに耐えられるシートなど、スポーツドライビングに対応できるように設計されています。
リアシートは大人2人が座れるスペースを確保。シートバックを倒せば、ゴルフバッグ2個や走行会などで必要になる工具やタイヤ4本が搭載できます。
富士重工業の水平対向エンジンをベースに、トヨタの直噴技術である「D4-S」を組み合わせた2リッター水平対向DOHCエンジンを全車に搭載。最高出力147kW(200PS)/7000rpm、最大トルク205Nm(20.9kgm)/6600rpmという優れた動力性能と、低燃費を両立した最新鋭のユニットに仕上げられています(写真は左ハンドル仕様)。トランスミッションは、トヨタ・アルテッツァのものを徹底的に見直したという6速MTと、パドルシフトを備え、スポーツドライビングにも対応できる6速ATが選択可能です。
参考出品されていた左ハンドル仕様車。TRDなどによる数々のチューニングパーツが装着されたスペシャル仕様で、タイヤはポテンザのRE86を採用。
富士スピードウェイのショートサーキットを疾走する86。
モーターショーなどの数々のイベントでプロトタイプが展示され、注目を一身に集めていたFT-86が、今年の第42回東京モーターショー2011で発表されます。世界初の水平対向エンジン搭載のFRスポーツとして操る楽しさと圧倒的な低燃費を実現した「トヨタスポーツ800」、世界に日本製スポーツカーの性能をアピールした「トヨタ2000GT」、軽量コンパクトなFRスポーツとして若者から絶大な支持を得た「カローラ・レビン/トレノ(AE86)」のエッセンスを凝縮したスポーツカーとして開発されています。発売は来年の春に予定されていますが、若者にも手に入れられる価格設定を期待したいものです。
(レポート・写真:小堀 和則)