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第31回JAIA試乗会レポート

先日、自動車関連の出版業界では恒例となっているJAIA(日本自動車輸入組合)輸入車試乗会が開催されました。最新の輸入車のなかから試乗できたクルマを紹介します(2月2日から4日・大磯ロングビーチ)。

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韓国CT&T社製の「e Zoneセダン」。モーターのみで走行する完全な電気自動車で、試乗車にはリチウムイオンバッテリ搭載車が用意されており、1回の充電あたりの走行距離は最大で100km。価格は225.7万円ですが、最大で72万円の購入補助金が受けられます。


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インテリアは普通のクルマとあまり変わりませんが、シフトレバーをDに入れたあとにインパネに設置されているスイッチで、前進・後退を決定します。後ろにモーターを積んでいるため、挙動は一昔前のRR車に近い感覚で、慣れないと若干怖いかもしれません。クルマとしての完成度は決して高くはありませんが、シティコミューターとして割り切るのであれば、面白いクルマだと思います。最高速度も60km/hに設定されていますしね・・・。


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ベイビーアルファこと「アルファ・ミト」。デュアルクラッチトランスミッションのTCTやアルファD.N.Aと呼ばれるドライブセレクトを搭載しています。
コンパクトカートは思えないほど存在感のあるスタイリングも魅力です。


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電子制御の油圧システムで吸気バルブを自由自在にコントロールするマルチエアエンジンは、TCTなどの最新テクノロジーとあいまって様々な走行シーンに対応。エコドライブからアルファらしさを感じさせるスポーツドライビングまでを1台で楽しめるクルマに仕上げられていました。


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7速ツインクラッチトランスミッションのPDK(ポルシェ・ドッペル・クップルング)を搭載したポルシェ・ボクスター。2011年モデルは価格が大幅に引き下げられて610万円となりました(それでも高嶺の花ですが・・・)。


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写真ではわかりずらいですが、シフトレバーにはPDKの刻印が刻まれています。ステアリングに設けられているスイッチでも変速可能です。レポーターなどの立場では、数年に一度しか試乗できない(もちろん買える訳もないですが・・・)ポルシェですが、スポーティで官能的にもかかわらず扱いやすいという最も難しい分野を両立しているクルマづくりには、感動せざるを得ません。


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クルマに詳しくない方でもMINIの存在はご存知だと思います。そのMINIに待望の4ドア、しかもパワフルなターボエンジンや4WDシステムまで装着したモデルが「MINIクーパーS クロスオーバーALL4」です。注目度が高いためか、試乗中パーキングに止めていたところ、たくさんの人が集まってしまいました。


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MINIというブランド、4ドア、たくましいSUVスタイルのルックス、カッチリとした走行性能など、どこを取っても非の打ち所のないクルマですが、全幅で1790mm、メーカー希望小売価格で366万円からでは、もはやMINIとはいえないのでは? 若者に乗ってもらってクルマを所有する喜びや運転の楽しさを満喫してもらいたいモデルにぴったりなのですが・・・。


輸入車はよくも悪くも日本車にはない個性が特徴です。クルマに乗れば日常の疲れも忘れてしまうようなモデルもたくさんあります。また、価格面で折り合いがつかなくても保証が充実している認定中古車もありますので、クルマを購入する際は、輸入車も選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。

レポート・写真:小堀 和則

リポーターについて

武田 隆(たけだ・たかし)

1966年東京生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科中退。出版社アルバイトなどを経て、自動車を主体にしたフリーライターとして活動。モンテカルロラリーなどの国内外モータースポーツを多く取材し、「自動車アーカイヴ・シリーズ」(二玄社)の「80年代フランス車篇」などの本文執筆も担当した。現在は世界のクルマの文明史、技術史、デザイン史を主要なテーマにしている。著書に『水平対向エンジン車の系譜』 『世界と日本のFF車の歴史』『フォルクスワーゲン ゴルフ そのルーツと変遷』『シトロエンの一世紀 革新性の追求』(いずれもグランプリ出版)がある。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。

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