新型アルピーヌA110が日本上陸

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新型アルピーヌA110市販モデルが、ついに日本にやってきました。

6月22日、フランス大使館で発表会が催されました。みごとな緑の庭園でした。自動車の歴史の表舞台から一度は消えた、名門フランスの代表的スポーツカー・マークの復活。クルマ界にとって歓迎すべきことです。

実車の印象は、写真で見るのと大きく違いはありません。ただ、横に並んだ元祖A110と比べると、その違い、ではなく、その忠実な再現ぶりに驚きます。もちろん現代の流儀に即して再現していますが、元祖へのこだわりは思った以上に高い。最新の1台のクルマとしても、リバイバル作品としても、相当念入りにデザインされているという感想をもちました。

リバイバルがよいかどうかは、人それぞれ感じ方はあります。それはさておきますが、少なくともこの形は、中身のクルマとしてのできを、じゃまするものではなく、むしろ本質を体現しているのだと思った次第です。

元祖A110は、なんといってもコーナリングマシン。アルピーヌ=アルプスで、ワインディングロードを俊敏に駆け抜けるためのマシン、というのがアルピーヌ。もちろんアルピーヌ創始者のジャン・レデレは、単なるモータースポーツ愛好家ではなく、ビジネスの野心も持っていたので、4人乗りモデルなどもつくっていたことがありましたが。

アルプスを走るアルピーヌの代表作はひとえにA110。そのクルマの動的な潜在的能力が、新型A110にしっかり表現されていると思った次第です。コンセプトカーの写真を見たときからそう感じましたが、今回来日したエクステリアデザイン担当のデヤン・デンコフ氏の話を聞いて、彼自身がそのことを意識してデザインしたということが確認できました。新型A110は、本来のアルピーヌとはなにか、A110とはなにかをしっかりわかったうえで、開発されているようです。アルピーヌがアルピーヌをつくるのだから、あたりまえともいえますが、世の中、往々にしてそうでないこともあり・・・。

乗ってこそのクルマだろうと思います。商品説明を聞いても、資料を読んでも、そういうクルマと思うしかありません。そして外観も、そのアルピーヌの走りをじゃましておらず、慎重にオリジナルの世界観を再現しているので、乗り手の気分は悪くなるはずがないと思うわけです。

アルピーヌにはA110だけでなく、A310もあり、GTAもありました。とくにA310には、当時のジャン・レデレの思い入れが直接入っていたはずです。将来的にA310なども復活するのかと、最初は思いましたが、少なくとも、現状はそれを考える状況ではないようです。それはディエップ工場にした投資を回収してからの話。そもそも「復活」版ばかり次々と作るというわけでもないだろうし。

当分はA110でバリエーションを増やしていくのでしょう。いずれは高度な競技ベースのようなモデルの開発も、うまくいけば期待できるかも。アルピーヌがモータースポーツをしない、というのはありえない。ワンメイクレースは既に始まっています。

(レポート・写真:武田 隆)

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